インタビュー

吹越満 吹越満/田治見久弥・要蔵・庄左衛門(三役)

横溝正史原作の『八つ墓村』に御出演されての感想をお願いいたします。

『八つ墓村』と聞いた時、ふと“どんな話だったかな?”と思いました。横溝先生の作品はたくさんあるので“助清が出てきたのは、あれっ?『犬神家の一族』だったよな?”とか考えていたら、スタッフから“ほら、頭に懐中電灯をつけているアレです”と言われて“あっ、そうか”と。『八つ墓村』には、そうしたビジュアル的な印象が強いですね。また、過去に映像化された時、出演されていたのは誰だったっけ? なんていうことも考えました。横溝先生の作品は、ストーリーよりもそういったイメージで覚えている作品が多いです。『八つ墓村』は、原作は読んでいないんですけど、今回の台本を改めて読んでみて、ああ、こういう話だったのかと思いました。“八つ墓村”という村は、ストーリーの中で実際に存在する村なんですね。いわゆる、こういうことがあったから、付近の住民が“八つ墓村”と呼び習わしているわけではなくて、“八つ墓村”という地名として登場する。それが、すごくインパクトがありました。

『八つ墓村』のストーリーには、怨念、祟りといったものが登場しますが、吹越さん御自身は、そういったものをどうお考えですか?

霊感というようなものは、僕自身にはありません。怨念や祟りも、もしかしたら世の中にあるのかもしれませんが、僕は一切感じないんですよね。ただ、実際に祟ったり、祟られたりというのはあると思います。“祟り”ではなくて、人が人を“祟る”だったり…怨念も、そういう言葉ではなく“怨念る”みたいな(笑)。そういう人の感情として、存在するんじゃないんでしょうか? 僕は、怖い話はダメなんで、なければない方がいいんですけど…。撮影中は、家に帰ると体に塩をまいていました。今回演じている役は、それだけ僕が怖いと感じているんです。怨念や祟りとは違いますけどね。

そんな吹越さんが、今回は“本当に祟られてしまったのか?”という、田治見家当主を演じられたわけですね? しかも、過去から3つの代、3人です。

基本的には、原作を読んだ人と、テレビを見る人のイメージから、あまりかけ離れるのもどうかと思うんです。過去にも映像化されている作品ですし。以前、演じた人と“俺は違うことをやろう”というのも、どうかと思います。ですから、脚本で描かれている通り、また監督に現場で指示された通り、僕は素直に演じたつもりです。庄左衛門は、ちょんまげの時代ですし、あまり役を作るということはありませんでした。久弥は、病人ということで、その感じと毒殺されるという芝居だけですからね。だから、祟られているとか、呪われているという感じよりも、病人のイメージをどう出すか? でした。脚本にはないんですけど、星護監督が現場でいきなり原作を出して“久弥の件を読み上げます”と、始めたんですよ。久弥が咳き込む雰囲気で、それを辰弥(藤原竜也)がどう思ったか? なんですけど、それを原作に忠実にやってみましょうと監督がおっしゃるんです。辰弥は、久弥の息遣いにインパクトを感じているんです。ですから、そこは原作のイメージで演じたつもりで」。

そのシーンにお邪魔していましたけど、すごかったですよ。

そうですか? ですから、久弥は人間関係や祟られているかも? という内面よりは、病人としてどう見えるかを、全面に捉えて演じました

では、要蔵は?

要蔵は、一番演じるのが嫌な役ですね。原作の中で要蔵が起こしたような事件は、実際にあったものがもとになっていると伺っていますので。やっぱり、嫌だな、この人…。登場人物としては架空なんでしょうけど、実際に大量殺人を犯した人がいて、その人が本当に懐中電灯と詰襟を着ていたということもあるし…。ですので、要蔵の行動が一番怖くなければいけないと、監督も意識していらしたし。一番嫌だったのは、セット撮影でのこと。要蔵が殺した人数は、32人になっているんですけど、僕が芝居で殺した描写があったのは11人ぐらい。その中に、子供がいたんですよ。そこは、やっぱりドラマとは言え、きつかったですね。庄左衛門と久弥は、お金に目がくらんだ人間なんですけど、要蔵は“色”で走った殺人ですし。でも、みんな、もっとちゃんと生きられたと思うんですけどね。要蔵も、好きな人が出来たら拉致なんかしないで、一度キッチリ離婚した上で打ち明けてみたら良かったのに(笑)。庄左衛門だって、落ち武者ともっと仲良くなれば、少しぐらい金をくれたかもしれないのに、全部奪おうとするから…。

岡山ロケはいかがでしたか?

岡山には3回行きました。誰かが言っていたんですけど、空港から宿に行ったり、ロケ地にいったり…ロケ地から空港へ行ったり、どこに移動するのも約1時間半なんですよ。岡山は、いったいどういう構造になっているの? って、不思議なところですね。どこかに移動するたび、自分が本当はどこにいるのか分からなくなるような(笑)。変わった地形ですよね。

星監督はいかがでしたか?

僕は、監督とは2回目なんです。衣装から、ヘアースタイルまですごく細かく考えられる方。“これは”というものがないと、決まらないので時間はかかるんですが、それだけハッキリしているんでいいですね。キャラクターは、御自身が出演された方が良いのでは? と、いうぐらい強いものがありますね(笑)。

最後に、視聴者の方に見どころをお願いいたします。

過去、2度、映画になった『八つ墓村』ですが、それより断然怖くなっている。スタッフの誰かが、そんなふうに言っていました(笑)。それだけに、セットも豪華で撮影も本当に映画のようでした。頭に懐中電灯を2本つけるのは、大変でした。痛いんですよ(笑)。痛いし、痛くないようにつけるとウソっぽく見えるんです。そこは、苦労しました。あっ、これは“見どころ”じゃないですよね(笑)。でも、すごく思い出に残っていますもので。結局、痛いままで演じました。どんなふうな仕上がりになっているか楽しみ。とても怖いシーンですが、みなさんも是非、楽しみに御覧下さい。