|
| ロス郊外 疑惑の銃撃 |
2001年5月、この先5年間にわたり全米を騒然とさせた事件の第一報が報じられた。
ロサンゼルス郊外のレストランで銃撃事件が発生、被害者は俳優ロバート・ブレイクの妻・ボニー。
ボニーは車の中で夫を待っていたところ、何者かに銃で撃たれ死亡したというものだった。数々の映画やドラマに出演していた俳優ロバート・ブレイク。 1970年代にはテレビドラマの最高峰、エミー賞を獲得、癖のある役を演じる際の演技力には定評があった。 |
警察の発表によると事件のあった日の夜、レストランで夕食を済ませたロバートとボニーは帰宅するところだった。
ロバートがレストランに忘れ物をして、取りに戻った。
その数分後、ロバートが車に戻った時にはボニーはすでに死亡していた。
警察の現場検証ではボニーは車外右側、至近距離からこめかみを一発で打ち抜かれていた。二人は結婚してまだ1年、葬儀の際には生まれたばかりの娘の姿が涙を誘った。 ハリウッドスターの妻が惨殺、ショッキングなニュースは全米を駆け巡った。 ただちに警察による捜査が開始され、付近のゴミ箱から犯行に使われた拳銃が発見された。 しかし、すでに登録が抹消された古い銃であるうえ、油で汚れていたため、指紋は検出されなかった。 一体犯人は誰なのか? 世間の注目が集まる中、関係者の証言から事件は思わぬ方向に展開する。 |
ロバートの弁護士の「ボニーは何人もの男に追われていた」という発言をきっかけに、被害者・ボニーの素性が調べられたところ、驚くべき過去が明らかになった。
何とボニーは、数々の男を手玉にとった女詐欺師だったのだ!!ボニーの手口は、自分のヌード写真と広告をポルノ雑誌に載せ、独身で金持ちの老人男性から返信があると直接会いに行き、結婚に持ち込むというものだった。 そして、ハネムーンと称してラスベガスなどで豪遊。 しかし途中で抜け出すと、男の家に戻り、金目の物を盗んで逃走するのだ。 ボニーはロバートと結婚する前、10人の男性と結婚していた。そのうちの一人は3000万円も騙し取られたという。 そればかりか、彼女はハリウッドスターにつきまとう悪質なストーカーでもあった。 そのターゲットとなったのが、名優マーロン・ブランドの息子で俳優のクリスチャン・ブランド。 ボニーは執拗につきまとい、探偵を雇って家を突き止め、子供が出来ない体だと偽り、深い関係になった。 だがその裏では、排卵誘発剤を服用していた。 妊娠を盾に結婚を迫るという体当たりの手口。 結局、子供の父親であるということを証明しきれずに結婚には持ち込めなかったが、男達は震え上がった。 貧しい家庭に生まれ育ったボニーの夢はハリウッドスターの妻になることだった。 |
稀代の詐欺師にしてハリウッドスターを狙うストーカー、連日のように明らかになる驚くべき過去。
人々は事件の真相以上にスキャンダルに熱狂した。だが発生から5日後、衝撃的なニュースが駆け巡った! 何と警察は悲劇の夫・ロバートに疑惑の目を向けたのだ!! 実は、レストランには駐車場があったものの、ロバートは1ブロックも離れた暗がりに駐車していた。 さらに、忘れ物を取りに行ったという証言にも関わらず、目撃した従業員はいなかった。 しかも銃を発砲した際につく硝煙反応がロバートの衣服から検出されたのだ。 警察はロバートの容疑を裏付けるべく、家宅捜索を実施。 |
一方、ロバートの弁護士は記者会見を行い、容疑を完全に否定。
疑惑に対し、こう反論した。
レストランから離れた場所に駐車したのは、当時、店の駐車場が満車であったため。
レストランに戻った姿は目撃されていないものの、店の前にいたカップルが一人で足早にレストランから出てくる姿を目撃していた。
そして、衣服ついていた硝煙反応についても事件との関連を否定。実は硝煙反応は、何時ついたが証明が難しいため、カルフォルニア州では裁判で証拠と認められないのである。 事実、ロバートの自宅からは、ボニー殺害を裏付ける証拠は何も出てこなかった。 一体、犯人は誰なのか?捜査は暗礁に乗り上げた。 こうして、新たな容疑者が挙がらないまま1年が過ぎた頃、ロバートが殺人容疑で逮捕された!! 逮捕の決め手となったのは、事件の2ヶ月前にロバートから殺害を依頼されたという人物が出現したことだった。 |
遂に、妻殺しの容疑で逮捕された大物ハリウッドスター。
当のロバートは容疑を完全に否定、多くの注目が集まる中、裁判は全米に中継された。ロバートが殺害に関与したという検察側の切り札は、事件の2ヶ月前にロバートから殺害を依頼されたというスタントマン、ゲイリー・マクラーティだった。 マクラーティの証言によると、ロバートはボニーという名前こそ挙げなかったものの、「自分のそばに悪い女がいる」と、1万ドルで殺害をしないかと持ちかけ、具体的な計画を話してきたという。 その中には、実際に犯行が行われた場所での計画も含まれていた。 結局、マクラーティは断ったものの、検察はこの事実からロバートは妻の殺害を企んでいたと主張した。 動機については、こう説明した。 出会った当時、ボニーはクリスチャン・ブランドを追う一方で偽造IDを使い、セレブが集まるパーティーに潜り込んでいた。 そこで出会ったのがロバートだった。 ボニーは、クリスチャンの時と同様に色仕掛けでロバートに迫り、妊娠出来ない体と偽って深い関係になった。 クリスチャン・ブランドをゆすり、結婚を迫った時の子供は、実はロバートの子だった。 そして検察は、妊娠を報告するボニーとロバートの通話記録を証拠として提出。 実はこれは、ボニーが何かあった時のためにと前の夫に預けておいたものだった。 言葉の端々にはロバートの激しい怒りが現れていた。 |
隠し子の出現に怒り狂ったロバート、だが次ぎの瞬間、彼の頭の中に恐るべきアイディアが浮かんだ!!
ロバートはボニーに、自分の子供か確かめたいから、ロバートの住んでいる方でDNA検査をして欲しいと頼んだ。
実はボニーは偽造IDを所持していた罪で執行猶予中、そのため州外に出ることを禁じられていたのだが、ロバートとの結婚を望んでいたボニーはその誘いを断りきれなかった。ボニーは執行猶予の条件を破り、ロサンゼルスへやってきた。 だが、その時!警察が現れ、禁を犯して州外に出たボニーはその場で連行された。 実はその時の警官は偽物で、全てはロバートの子供を奪い取るための計略だったのだ! ロバートは前妻との間に娘・デリナがいたが、デリナは長年、子供ができないことを悩んでいた。 そこで、娘に赤ん坊を与えようと考えたのだ! |
ボニーはロバートの行動を誘拐だとして、子供を返さなければ訴えると脅した。
親権を争う裁判になれば、母親が圧倒的に有利。
したたかなボニーは、「そんなに子供が欲しいなら結婚してあげるわ」と迫った。
ロバートは屈辱的な提案を飲まざるを得なかった。遂にボニーは、夢にまで見たスターの妻になったのである。 しかし、ボニーにあてがわれた家は、何年も使われていない粗末で寂しい離れだった。 一方、赤ん坊はロージーと名付けられ、大切に育てられた。 さらに常にボディーガードが監視、ボニーは夫や子供に近づくことさえ許されなかった。 ロバートはボニーを追い出そうと露骨な嫌がらせをしたのだ。 しかし、それでも出て行かないボニーにロバートは殺意を抱いた。 それが検察の主張だった。 |
これに対し、ロバートの弁護側は、検察の主張には物証がなく憶測に過ぎないと主張。
また、ロバートから殺害依頼を受けたというスタントマンの証言については、証言者が薬物常習者であると主張、そのような人物の証言は信用出来ないと陪審員に訴えた。真っ向から対立する、検察と弁護側、審判は陪審員に手に委ねられた。 判決は無罪! 結末は、ボニーから子供だけを奪い取るという、もくろみ通りとなった。 |
だが、ボニーの子供達がロバートを民事訴訟で訴えたのだ!!
その結果、ロバートは敗訴した。。。
刑事裁判が「疑わしきは被告人の利益に」という原則に基づいているのに対し、民事訴訟では陪審員の多数決制が取られているため、逆の判決が出ることもあったのだ。賠償金支払いを命じられた額は、約15億円。 賠償金の支払いに財産の殆どすべてを使い果たしてしまったロバートは、家を売却しても追いつかず、ついに破産宣告。 子供だけを奪ったはずが、子供以外の全てを奪われるという皮肉な結末が待っていた。 |
| [ MENU ] |