11月30日 オンエア
自動車炎上事故を目撃!あなたならどうする?
 
 
photo  今から10年前、当時中学3年生だった小倉遼くんは、高校入試を目前に控えていた。 いつもは夜7時過ぎに塾を出るのだが、この日はたまたま友人と話し込み、塾を出たのは夜8時近くだった。
 その頃、塾から10キロほど離れた所では、とあるアマチュア写真講座が開かれていた。 講師を務めるのは、藤田健さん。 藤田さんは、この講座を10年以上続けており、この日もいつも通り、夜8時ちょうどに終了。 普段は片付けに10分ほどかかるのだが、割合スムーズに片付いたため、少し早めに教室を出た。 この、いつもと違う何気ない時間のズレが、何の接点もなかった2人の運命を大きく変えることになる。
 
 
photo  教室から藤田さんの自宅までは車で約20分。 車の通りは決して多くなく、信号も数えるほどしかなかった。 だが、自宅に続く脇道に入る所でちょうど対向車が来たため、一旦、車を止めた。
 次の瞬間! 後ろから走ってきた車が、藤田さんの車に激突! その衝撃で車はバランスを崩し、横転してしまった。 幸い、藤田さんには大きな怪我はなく、追突した女性も無事だった。
 
 
photo  だが、横転した衝撃で車体が歪み、ドアも窓も開かなくなっていた! さらに、追突の衝撃から、マフラー付近にガソリン漏れが起こり、そこから出火! 車体後部が炎上し始めた! 追突した女性はただパニックになるばかり。 しかも、消防も警察も到着には数分を要するという。
 藤田さんはガラスを割って、脱出しようと考えたが、車内にはガラスを割れそうな道具は何もなかった。 さらに、車内に煙が充満し始めた。 脱出する方法はない…まさに絶体絶命の状況だった。
 
 
photo  小倉くんが、事故現場にやって来た。 家に帰る途中、衝突音が聞こえたため、気になって様子を見に来たのだ。
 辺りにはガラスを割れそうな物は何もなく、炎の勢いも増していくばかり。 後続車の運転手たちも、勢いよく燃え上がる炎にどうすることもできずにいた。 もはや、いつ爆発が起きてもおかしくない状況だった。
 炎の勢いはますます増し、不用意に近づけば爆発に巻き込まれる危険もある。 だが、小倉くんは危険を顧みず、藤田さんの救出に向かった!
 
 
photo  小倉くんは、なんと素手でフロントガラスを殴り始めた! だが、格闘技経験などなく、運動部にも入っていなかった小倉くんのパンチでは、ヒビ一つ入らない。
 そもそも、車のフロントガラスは、合わせガラスと呼ばれる2枚のガラスで出来ており、脱出用のハンマーを使っても中々割れないほど頑丈に作られている。 案の定、ガラスはビクともせず、彼をあざ笑うかのように炎は勢いを増していくばかり…血だらけの拳も限界を迎えていた。
 
 
photo  だが!小倉くんが諦めずに、思いっきり打ったパンチで、何とフロントガラスに大きなヒビが入ったのだ! すると、藤田さんが内側からフロントガラスを蹴った!
 ヒビが入ったガラスを蹴ったことで、奇跡的にガラスと車体との間に隙間ができた。 すると、まさに火事場の馬鹿力で、小倉くんはフロントガラスをめくり上げた! そして、何とか藤田さんを救出した次の瞬間! 車が爆発!
 
 
photo  これが、事故後に撮影した車の写真。
完全に骨組みだけとなった車内が、爆発の大きさを物語っている。
 
 
photo  藤田さんがお礼を言おうと振り返ると、なぜか助けてくれた小倉くんの姿がどこにもなかった。 小倉くんは、なぜ現場から忽然と姿を消してしまったのか?
その理由は…「名乗らないっていうのが、どことなくカッコ良いと思っていて。立つ鳥跡を濁さずみたいな。」
 
 
photo  その後、藤田さんは駆けつけた警察に事情を聞かれ、念のため病院へと運ばれることになったのだが… その病院に、小倉くんが来ていた。 実は、帰宅した小倉くんの血だらけの姿を見て、母親が慌てて病院に連れてきたのだ。
 そこで、偶然にも藤田さんと再会。 小倉くんも警察に事情を聞かれることになり、全てが明らかになった。 結果、小倉くんの活躍は学校にも知れ渡り、本人の思いとは裏腹に地元の有名人になってしまったのだ。
 
 
photo  奇跡の救出劇から10年、現在25歳になった小倉さんが訪れたのは、藤田さんのお宅。 2人は近所に住んでいたこともあり、今も何年かに一度、交流を持っているという。