11月2日 オンエア
実録!国内事件簿 妻VS愛人の法廷バトル!
 
 
photo  今から約50年前、その日、とある金融会社の専務が迎えの車で出社しようとしていた。 だが、踏切で停車すると、男性は車から降り、フラフラと踏切の方に歩いっていった。 そして…電車に飛び込んだ男性は即死、自殺だった。 動機は、会社の組合交渉に疲れ果て、うつ状態にあったためと推測された。
 
 
photo  亡くなった工藤公平は結婚していたが、子供はいなかった。 働き盛りの夫を突然亡くした妻は、悲しみに暮れていた。
 そこへ、弔問に訪れた見知らぬ女性…彼女の存在は妻の人生を大きく揺るがすものだった! やがて事態は女同士の熾烈な戦いへと発展していくことになる!
 
 
photo  それから、1週間ほどたった頃、通夜に現れたあの見知らぬ女性が訪ねてきた。 なんと、女性は夫・公平の十年来の愛人だという! さらに、認知はされていないが、夫・公平との間にできたという少年を連れて来ていたのだ。 しかも、彼女らと共に仲睦まじく写る夫・公平の写真まで持参していた。 愛人は遺産相続の話をしに来たと言うのだ!
 
 
photo  公平が残した遺産は、約数千万円。 生前、遺言書は残していないため、愛人に相続の権利はないが、子供は認知さえされれば、半分を相続することができる。 認知は、法律上、子供の父親にしかできない。 父親が亡くなっている場合は、認知を求める裁判を起こすしか方法はないため、愛人は家庭裁判所へ訴えを起こすという。
 だが、そもそも子供が生まれるはずがなかった…なぜなら、公平は子供が作れない体だったのだ! それは、夫婦だけの秘密だった。 しかし、愛人は裁判をやめるつもりはなかった。
 
 
photo  写真だけでは証拠になるはずがない…そう思った妻だったが、裁判で事実をより明確にするため、弁護士に相談することにした。 そして、弁護士の助言により、十数年前に検査のため、夫婦で受診した病院を訪れた。
 だが、すでにカルテが残っていないというのだ! カルテの保存義務は、約5年間。 保存期間が過ぎれば、破棄する病院も少なくなかった。 さらに医師からは、「子供ができにくいことはあっても、作る能力が全くないのは稀であり、生まれていても不思議ではない」と告げられた。
 
 
photo  そこで弁護士が提案したのは、血液型による親子鑑定だった。 当時はまだ、DNAによる親子鑑定は確立しておらず、血液型によるものが一般的だった。 血液型鑑定では、親子関係を立証する事までは出来ないものの、否定できる可能性があったのだ。
 聞くところによると、愛人の血液型は『O』、少年は『B』。 もし公平の血液型が『O』か『A』なら、『B』の子供が生まれることはない。 『B』や『AB』なら『B』の子供が生まれる可能性はあるがその場合は、40種類以上のさらに詳細な血液検査で可能性を絞り込んでいくという。
 
 
photo  だが、公平は生前、一度も血液型を調べたことがなかったのだ! 骨から調べることも可能だが、火葬された遺骨は組織が破壊されており、血液型は判別できないという。 他に頭髪や爪、タバコに付いた唾液からも判別はできると聞いたため、弁護士と2人で家中を探した。 旅行カバンの中にあったクシに頭髪を見つけた!
 
 
photo  そして、認知を求める民事裁判が始まった。 争点は、公平と愛人の子供に血の繋がりがあるか否かである。 妻側はすかさず、公平の血液型を特定すべく、クシに付いていた頭髪3本の鑑定を申請。 だが、愛人側がその頭髪が公平本人のものだと断定できないと主張、親子鑑定に持ち込むことすら出来なかった。
 
 
photo  すると愛人側は、玄関先で妻に見せた写真に加え、公平が子供と過ごした10年分の写真を証拠として提出。 さらに、公平が愛人に送ったという現金書留の封筒も証拠として提出したのだ。 実は公平は、少年が生まれてから約10年間、毎月欠かさず養育費を送っていたのだ。 その宛名の字を妻が確認したのだが、それは…公平本人の筆跡だった。 愛人側は、公平が会社の重役という立場にありながら、誰にも頼まず自分で現金を送り続けたということが、隠し子である証拠だと主張した。
 
 
photo  さらに愛人側は、追い打ちをかけるように新たな証拠を提出。 それは…公平から少年へ宛てられた直筆のメッセージカードだった。 当初は、妻側の優勢かと思われた裁判は、一気に形勢が逆転、愛人側の圧倒的有利となったのだ!
 
 
photo  夫の血液型を証明する手立てを失った妻側に対し、愛人側は、親子関係を印象付ける数々の証拠品を提出。 妻側は法的な打開策を見つけられずにいた。 そこで、藁をも掴む思いで訪ねたのが、当時、親子鑑定を数多く手がけていた、日本大学の法医学教室だった。 そこで出会ったのが、監察医・上野雅彦だった。
 
 
photo  監察医とは、死因の分からない遺体に対し解剖などを行うことで、原因の究明を行う医師。 なかでも上野は、これまでに5000体の死体を解剖、2万体以上の検死を手掛けるなど、数々の難事件を解決に導いた、その道の第一人者である。 そんな彼が、監察医の傍ら、法医学教室で研究に勤しんでいたのが、日本大学の法医学教室だった。
 『法医学』には、『検死・解剖』だけでなく『親子鑑定』も含まれるため、上野が話を聞いてくれることになった。 弁護士は、これまでの経緯を上野に説明。 すると…上野は「もしかしたら、真実が分かるかもしれませんよ」と言ったのだ!
 
 
photo  そして…上野の助言により、『あるもの』を証拠として、再度、申請した血液型による親子鑑定が実施された。 公平の血液型が『O』か『A』であれば、『B』の子供が生まれることは、ない。 結果は、『A』! これで、少年と公平の親子関係は否定されることになった!
 親子鑑定に用いられた証拠品、それは…現金書留に貼られた切手だった! まさに、劣勢からの逆転劇だった!
 
 
photo  その後、妻の弁護士が調べたところ、愛人は公平と交際している最中、密かに年下の男性と二股をかけていたことが判明。 その後、彼女は若い男と別れ、公平を選んだものの、交際が重複していた間に妊娠。 鑑定により、公平との親子関係が否定されたため、少年は若い男性との間に出来たと推測された。
 だが、愛人は公平との間に生まれた子だと信じて疑いを持っていなかったという。 そして、他の男の存在など知る由もなかった公平も、少年を我が子と信じ、養育費を送り続けた。
 
 
photo  監察医・上野氏は、インタビューにこう答えてくれた。
「当事者にとって法医学は、時に望まない結論になるかもしれません。しかし、私どもはその中から真実を究明していく。これが法医学の使命です。」