10月31日 オンエア
実録!日本初の仰天事件★二転三転…衝撃の真相
 
photo  1981年1月22日 午前0時30分。 佐賀県の海岸で、釣り人が水没した赤い乗用車を発見、警察に通報した。 引き上げられた車内から、一人の男性の水死体が上がった。 所持品から、福岡県に住む水産会社社長、木村宏(仮名)さんと判明。 車の名義も彼のものだった。
 後部のバンパーには、別の車に追突されたようなへこみがあった。 さらに、岸壁には別の車の物と思われる、スリップ痕やテールランプの破片も落ちていた。 一方、遺体には鈍器で殴られたような傷がいくつもあった。
 こうして、現場に残された数々の不審な点や、遺体の損傷具合などから、警察は木村さんが単独で起こした事故ではなく、交通事故を偽装した殺人と認定。 佐賀県警と、被害者が住む福岡県警に合同捜査本部が設置された。
 
 まず行われたのは、被害者の身辺の調査。 木村さんは、事件から6年前に鮮魚の仲買会社を設立。 ハマチの養殖など精力的に事業を拡大し、地元では仕事熱心な人として知られていた。 しかし、前年の記録的な冷夏によって、ハマチの稚魚は全滅。 これを期に経営が傾きだす。
photo  従業員によると、消費者金融や高利貸しなどから2億8000万円の借金があり、その取り立てには暴力団も介入。 なんとか返済しようと、木村さんは事件前も金策に走り回っていたという。
 借金返済を巡り、木村さんと暴力団との間で何らかのトラブルが生じたのではないか? そんな推測が持ち上がったのだが・・・債権取り立てのプロが金を返してもらわなければ困る本人を殺すだろうか?という疑問があった。
 
photo  刑事には1つ、気になる点があった。 それは事件直後、遺体の身元確認に妻・早苗(仮名)がやって来たときのこと。 その際、遺体の確認に来た人物がもう一人いた。
 女性は、木村さんが経営する水産会社の社長秘書、島田直子(仮名)。 だが、彼女は単なる秘書ではなく、木村さんと公私共に行動してきた愛人だったのだ。 直子は結婚していたが、7年前に夫が突然失踪。 警察に届けるも、行方は分からず、やがて死亡が認定された。
 その後スナックで働き始めた彼女が、そこで木村さんと出会い、気に入られ、秘書となる。 驚くことに、妻・早苗はその会社の事務を担当。 夫と直子の関係は黙認していた。
 
 警察が2人の関係に疑問を抱く中、捜査は進展。 鑑識の結果、木村さんの車に追突したと思われる車の車種が特定された。 photo さらに、福岡県のレンタカー会社から衝撃的な情報が寄せられる。 事件が起きた翌日、犯行に使われた物と同じ車種を借りていた人物から、「車が盗まれた」と連絡があったというのだ。 その借り主は、何と、妻・早苗の弟だった!
 警察が事情を聞くと・・・レンタカーは早苗に頼まれて借りただけだという。 事件に、早苗が関与している疑いが出てきた。 さらに、木村さんには、2億7千万円の保険金がかけられており、その受取人は妻・早苗だった!!
 
 従業員によると、早苗は夫の借金地獄の矢面に立たされていたという。 そんな苦しい状況から逃れるため、夫を殺したのではないか? その後の調べで、木村さんは愛人の直子からも、2500万円もの金を借りていることが分かった。
 警察は木村さんの借金に着目、妻が事件に深く関わっていると判断した。 photo そこで、妻・早苗を呼び出し、事件が起きた時、何をしていたかを訪ねると・・その日は、篠栗参り(福岡の霊場)をするつもりで、弟に借りてもらったレンタカーで直子と出かけたという。 だが、途中で運転していた直子の気分が悪くなり、自宅に引き返したとう。 そして、この日はそのまま自宅に直子を泊めることにしたのだが、深夜、警察から夫が亡くなったと連絡が入ったため、直子と2人でタクシーで佐賀県の唐津署へ向かったのだと言う。
 そこで、直子にも事情を聞くと、妻と全く同じことを口にした。 刑事は、2人の関係について、一層疑問を抱いた。 もしかしたら、愛人の直子も事件に加担しているのではないかと。
 
 2人を唐津署まで乗せたというタクシー運転手から、情報を得るため探すことに・・だがこの時、刑事にはもう1つ腑に落ちない点があった。 女手だけで、撲殺して車のトランクに遺体を入れるのは無理がある、だれか他にも共犯がいるのではないかと考えた。
photo  そんな中、事件発生から4日目、捜査が進展。 2人を乗せたというタクシー運転手が見つかった! タクシー運転手によると、何とその時、ベレー帽を被った男性が途中まで乗っていたという! この男は一体何者なのか?
 妻・早苗を追求すると、「男性は直子さんの知り合いです」と供述。 一方、愛人・直子を追求すると「男性は奥さんの知り合いです」と供述した。 2人の供述に食い違いが出始めた。 どちらかが嘘をついているのは間違いない。
 
photo  そして、事件発生から5日目、遂に愛人の直子が口を開いた。 タクシーに一緒に乗っていたのは、死んだはずの直子の夫だと言うのだ。
 直子の夫は、7年前に自殺をほのめかす書き置きを残し、失踪。 その後も行方が分からず、死亡扱いとなっていたのだが・・・しばらくたって夫から連絡があったという。 夫が生きていると分かると、手当を受けられなくなるため、警察には届け出なかった。 そして後に、木村さん殺害を妻・早苗と計画。 死亡したことになっている自分の夫に実行役を依頼したというのだ。 こうして、事件発生から5日目の1月27日、被害者の妻と愛人が殺人容疑で逮捕された。
 
photo  社長の愛人が妻と共謀、自分の夫を殺し屋として雇った大胆な行動に、世間はあっと驚いた。 後は、直子の夫を捕まえれば、事件は全て解決するはずだった。
 警察は、直子の夫の行方を一向に掴めずにいた。 目撃情報は、彼を乗せたというタクシー運転手の証言のみ。 愛人・直子も全く分からないという。
 
photo  だが、事件発生から6日目、妻・早苗が驚くべき事実を語りだした! その直後だった! 捜査本部へ、耳を疑う知らせが飛び込んだ! 北九州にほど近い駅で、飛び込み自殺が発生したのだ!
 調査の末、捜査本部は緊急記者会見を開いた!! 何と自殺した人物は、6日前に遺体で見つかったとされた、木村宏さんで間違いないとされた。 殺されたはずの被害者がなぜ生きていたのか? なぜ自殺したのか?
 
photo  駅のホームには、靴とともに、捜査本部長に宛てた遺書が置かれていたという。 遺書は便箋14枚に渡っていた。
 次々と迫る借金の追っ手、木村は自殺を決意した。 病弱な妻や、援助してくれた直子、従業員にこれ以上迷惑はかけられない。 遺書には、警察が把握していたのよりもはるかに多い4億の借金があると書かれていた。 木村は、どうにかして保険が満額降りる事故死ができないものかと考えた。
 やがて木村は、替え玉殺人計画を思いつく。 その計画を早苗と直子に打ち明けたが、2人は取り合ってくれなかったという。 だが、しばらくすると、2人は計画に渋々同意。
 
 そして木村は実行に移した。 木村は妻にレンタカーを手配させると、替え玉を探すため、直子と一緒に地元福岡の競艇場を訪れた。 レンタカーは直子が運転、木村は自分の車で行った。
 やがて、自分に似ている男性を見つけると、木村はさりげなく接近。 その後、食事に連れ出し、男性を酒に酔わせた。 photo 眠ってしまった男性を車に乗せ、佐賀県へ向かった。
 そして、人気の無い場所で降ろすと、顔を判別できなくなるほど、バットで殴った。 その後、自分の来ていた服を男性に着せた。
 そして、海岸で再び自分の車の運転席に乗せ、後ろからレンタカーで追突。 男性を海に葬った。 その後、証拠を隠滅するため、福岡の港まで戻り、レンタカーを海中に沈めた。 これが、木村が計画した保険金替え玉殺人事件の一部始終だ。
 
photo  だが、詰めが甘かった。 犯行直後、警察から遺体を確認しに来て欲しいと連絡が入ると、早苗と直子は唐津署へタクシーで向かったのだが、逃亡を図った木村が同じタクシーに乗ってしまったのだ。
 では、「失踪した夫に殺害を依頼した」という直子の証言は一体何だったのか? 実は、直子の夫は失踪したまま、本当に行方不明であり、彼女が苦し紛れに出した嘘の証言だったのだ。
 そして、事件から6日目、妻・早苗が事件の真相を告白。 そのことをニュースで知った木村は、最早逃げ切れないと思い、遺書を書き、自殺を図った。
 
photo  これが、保険金替え玉殺人事件の真相である。 妻の早苗には、殺人を助けた罪で、懲役4年。 愛人の直子には、殺人の共犯として懲役7年の実行判決が下された。