山下清(
塚地武雅)は、山梨県を放浪中。西湖の湖畔でスケッチをしていると、湖面に美しい逆さ富士が映る。清は、そのあまりの見事さに、湖面の富士山に登れるかもしれないと、湖に入っていってしまう。そこに、清を探しに来た世話係の米山ヨメ子(
水川あさみ)が現れて止めようと声をかけた。清は泳げないのだ。そのままおぼれてしまう清だが、ヨメ子の声を聞きつけた釣り人たちに助けられる。
湖畔の旅館の露天風呂で、ヨメ子が清に結婚を迫っていると、市幡学園の園長先生(
津川雅彦)がやって来た。昼間のいきさつをヨメ子から聞いていた園長は、清に命を大切にするようにと命じる。
命は大切にすると約束した清だが、放浪はやめられない。園長とヨメ子が目を離したすきに、旅館を抜け出し、再び放浪の旅へ。鉄道員にトロッコに乗せてもらい、トンネルを抜けて新たな場所にたどり着く。お腹が空き始めた清だが、財布の中は名物ほうとうを食べられる金もない。仕方なくさまよう清は、ブドウがたくさん乗ったリアカーを引く仲田春子(
岸本加世子)と出会う。おにぎりを条件にリアカー押しを申し出る清に、春子はブドウもつけると快く受けてくれた。しかし、清が手伝いを始めると、たまたま他の画家を案内していた怪しい画商、岡本(
森本レオ)に見つかってしまう。大慌てでリアカーを押し切った清は、礼を受け取ることもできず、春子と別れることに。
なんとか岡本をまいた清は、コスモス畑に逃げ込む。清が舞い飛ぶ蝶と戯れていると虫取り網を持った仲田吾一(
竹中直人)と出会った。吾一が蝶の収集で金銭を得ていると知った清は、命がかわいそうだと一言。すると、吾一は今回だけはと捕らえた蝶を放し、清を置いて去って行った。
その頃、清が放浪するこの地域に、マネージャー(
中村有志)まで伴ったニセ清(
木村祐一)が出没していた。地元の名士たちをだまして金を巻き上げる手口で、町会議員の金山徳蔵(
村松利史)をまんまと術中にはめたところ。二人は、まだまだこの地区で詐欺を働くことを画策していた。
腹が減ってフラフラの清がおにぎり型の巨石、神供石に着くと、同じく腹を空かせた吾一と再会。吾一は、春子という妻がいることを話し、彼女の作ったおむすびが食べたいが家には帰れないと清に打ち明ける。吾一は、7年間も放浪の旅をしていると続けた。
吾一と別れた清の空腹は、ついに限界を迎える。清は通りかかった畑のブドウをひと房頂くことに。だが、その姿を高校生の仲田蝶子(
山本ひかる)と佐野隼人(
中尾明廣)に見つかってしまった。慌てて逃げ出す清。
蝶子が家に帰ると、借金取りが来ていた。春子とともに、それを見送ったのは隼人の父、勝己(
三浦浩一)。蝶子が隠れて二人の会話を聞いていると、勝己は春子に結婚を迫っていた。勝己は10年前に妻を亡くしており、春子の夫、吾一も借金を残して姿を消して7年。勝己は、借金は自分が肩代わりするとまで言う。そこに蝶子が顔を出すと、勝己は春子に考えて欲しいと言って帰った。
夜になっても清は腹を満たすことができずにいた。とある駅のホーム待合室にいた清の前に、怪しげな男、黒岩虎夫(
石橋蓮司)が来て、うまそうにおにぎりを食べだした。物欲しげな清に、黒岩はこれまた怪しげな金色の石を買ってくれたら、おにぎりをひとつつけると言う。ところが、清に金はない。すると、清のリュックをあさった黒岩は、スケッチブックの富士山の絵に目をつけた。さらに、小銭までむしりとり、清におにぎりと石を与える。まだ食い足りない清に、石にお願いしてみろと告げて黒岩は寝てしまう。
その頃、寝支度をしていた春子と蝶子。蝶子は、春子に勝己との再婚を勧めるのだが春子は迷っている様子。そして春子は、結婚当時には挙げられなかった結婚式を七年前に挙げようとした時、吾一が幻の蝶を求めて飛び出してしまったと蝶子に話す。ブドウ園の売却も促す蝶子だが、春子は譲れない様子。そんな二人の会話を、吾一が庭で聞いていた。
次の日、昇仙峡の仙蛾滝をスケッチした清が、遊歩道を歩いていると岩の割れ目に小銭が生えているのを発見。清はこれぞ石のご利益と小銭を集めだすのだが、田中巡査(
生瀬勝久)に見つかり交番行き。小銭は、観光客がさい銭代わりに岩の割れ目に刺していったものだった。さい銭泥棒は別に逮捕され、清の罪は晴れる。
学校帰りの蝶子と隼人は、三分一湧水で女の先輩が写真を破って、川に流している姿を見る。先輩によると、流したのは交際していた彼とのツーショット。高校の言い伝えで、この川に写真を流すとカップルは必ず別れる事ができるらしい。と、そこに清が通りかかった。追いかけた蝶子と隼人は、今回は清を追い詰める。だが、清から身の上話を聞いた二人は蝶子の家へと連れ帰る。
清は春子と再会。先日の約束と、春子は快く清におにぎりを食べさせ、泊めてくれることに。奥の間で、清は家族写真を見つける。写真には若い吾一。清は、どこかで会ったと感じるが思い出すことができなかった。
しかし、次の日の夜、春子から写真の男が蝶子の父で、蝶ばかり追いかけていると聞いた清は、ようやく吾一のことだと思い当たった。だが、それを聞いた春子は、蝶子には黙っていて欲しいと告げる。
翌日、町には“山下清まつり”のポスターが貼りだされた。例のニセ清たちの画策だ。本物の清を探していた岡本は、すぐさま園長に電話。園長は、何かに巻き込まれているのだと、岡本に清の名誉を守るよう託す。
一方、そんなことを知らない清は、春子のブドウ園の手伝いを続けていた。その途中、例のポスターが目に入る。おむすび大食い大会の開催を知った清は…。