春高バレーヒストリー

第70回(2018)

男子優勝校:鎮西(熊本)
どこが勝ってもおかしくないほど実力が拮抗していた男子。その中で、2016年の熊本地震で体育館が半壊し、日々学校外での練習を重ねながらもインターハイ優勝を果たした鎮西(熊本)、インターハイ準優勝の開智(和歌山)、国体を制した東京勢(駿台学園、東亜学園)、高さが武器のミドルブロッカー・上條レイモンドを擁する習志野(千葉)、昨年度の春高でもコートに立ちベスト8に駒を進めた有力な2年生が集まる洛南(京都)らの上位進出が予想された。しかし、昨年度優勝校でもある駿台学園は、コンビバレーが持ち味の愛知工大名電(愛知)に、習志野は、10年ぶりの出場ながらその後、大村工(長崎)を破りベスト8進出を果たした北陸(福井)に、初戦で敗退。大激戦の中、ベスト4進出を果たしたのは、鎮西、洛南、開智を3回戦で下した高川学園(山口)、東亜学園だった。
鎮西と洛南が激突した決勝は、鍬田憲伸主将とルーキー水町泰杜のWエースを擁する鎮西が実力を発揮。1年生リベロ荒尾玲音の粘りのレシーブも光り、前衛後衛おかまいなしに両エースが奮起し高い攻撃力を見せつけた。洛南も、2年生セッター山本龍が多彩な攻撃を組み立て、世代を代表するエース・大塚達宣が躍動。しかし、鎮西の勢いの前にストレートで敗戦を喫した。
女子優勝校:金蘭会(大阪)
前回、春高連覇を成し遂げた下北沢成徳(東京)、インターハイを制した東九州龍谷(大分)、インターハイで優勝候補筆頭の金蘭会(大阪)を破り決勝に進出した誠英(山口)、春高での日本一奪還を誓う金蘭会。有力視されていたこの4校が最終的にベスト4に進み、準決勝で金蘭会と下北沢成徳、東九州龍谷と誠英が激突した。下北沢成徳は、2年生エース石川真佑が鋭いスパイクをコースに叩き込みチームを鼓舞。誠英も、ヒックマン・ジャスティスらの高い攻撃力も強みに健闘を見せたが、準優勝で涙をのんだ。
決勝に駒を進めたのは、金蘭会と東九州龍谷。その大舞台で優位に立ったのは金蘭会だった。大黒柱の林琴奈主将、西川有喜ら2017年世界ユース代表の2年生5名と1年生の宮部愛芽世ら将来有望選手たちが多数コートで躍動し、攻守にわたり高いチーム力を発揮。対する東九州龍谷も、エース中川美柚を筆頭に奮起しリードする場面も見せたが、最後まで金蘭会の高い総合力を崩せず。金蘭会がインターハイの雪辱を果たし、2度目の頂点に立った。
上位進出こそ逃したものの、攻守で魅せるエース・上坂瑠子(福井工大福井/福井)や、高い跳躍力が武器の東谷玲衣奈(八王子実践/東京)、ミドルブロッカーを絡めた攻撃で相手を翻弄するセッター・関菜々巳ら、多くの有力な3年生たちの活躍が随所で光った。
(文章協力:月刊バレーボール)

第69回(2017)

男子優勝校:駿台学園(東京)
世代No.1ともいえる攻撃力を誇る新井雄大を擁する上越総合技術(新潟)、全日本でも活躍中のエース・石川祐希を彷彿とさせる高さが武器のエース都築仁がけん引する星城(愛知)が初戦で激突。勝者の上越総合技術が早くも2回戦で、インターハイと国体(選抜)を制し“三冠”をかけて春高に挑んだ駿台学園(東京)に挑むという魔のトーナメントとなった今大会。その他、上位進出を狙う名門・大村工(長崎)も、初戦で、中野竜ら高い身体能力を誇るメンバーがそろう創造学園(長野)と対戦。フルセットを制した大村工は、オールラウンダー中村駿介がエースを務める大塚(大阪)と2回戦で激突した。
そうして多くの有力校が早い段階でしのぎを削りあった中、ベスト4進出を果たしたのは駿台学園、習志野(千葉)、東亜学園(東京)、高川学園(山口)。習志野は、上條レイモンドの高さあるクイックやブロックを軸に健闘を見せ、高川学園も工夫をこらした攻撃展開を見せ粘ったが惜敗。最終的に決勝は東京対決となり、会場は大いに盛り上がった。迎えた決勝、中道絋嵩主将を中心に勢いを見せた東亜学園が第1セットを先取したものの、その後、流れは駿台学園へ。リベロ土岐大陽が声とプレーで仲間を鼓舞し、坂下純也と吉田裕亮の両エース、ミドルブロッカーの村山豪らが躍動。堅い守りと高い攻撃力で意地を見せ日本一をつかみ取った駿台学園が、見事、三冠を成し遂げた。
女子優勝校:下北沢成徳(東京)
特に注目を集めたのは、インターハイ、国体と優勝を争った下北沢成徳(東京)と金蘭会(大阪)。今大会も決勝では、高校バレー界を代表するエース黒後愛を擁し、インターハイ優勝を果たした下北沢成徳と、全日本にも選出された宮部藍梨を軸に有力な下級生たちがチームを引っ張り、国体を制した金蘭会がぶつかるだろう、と予想された。しかし、そこに待ったをかけたのが、インターハイと国体(選抜)ベスト4の就実(岡山)だった。卒業生で、自身は高校時代に日本一の経験もある西畑美希監督が率い躍進を見せた就実は、準々決勝で八王子実践(東京)を下し、準決勝でも金蘭会とフルセットの激闘を展開。最後は、終始粘りを見せ、小川愛里奈や兵頭由希らの活躍も光った就実が勝利し、金蘭会の3年生たちは、コートに立った有力な下級生たちに、次の春高での日本一を託した。
準々決勝で国体3位の誠英(山口)を破る大躍進を見せた鹿児島女(鹿児島)に勝利した下北沢成徳と就実がぶつかった決勝戦は、終始、下北沢成徳が主導権を握った。黒後の豪快なスパイクはもちろん、この年、黒後とともにアジアジュニア選手権で準優勝を成し遂げた山口珠李や堀江美志らも、スパイクにブロックに奮起。1年生エース石川真佑や2年生リベロ岩澤実育らの活躍も随所で光ると、最後まで集中力を切らさなかった下北沢成徳がストレート勝利。見事、大会連覇を成し遂げた。
(文章協力:月刊バレーボール)

第68回(2016)

男子優勝校:東福岡(福岡)
インターハイ優勝の大塚(大阪)や前回準優勝の大村工(長崎)が2回戦で敗れる波乱があった中、ベスト4に勝ち進んだのは、春高連覇と国体との二冠を狙う東福岡(福岡)、エース竹下優希を擁する鎮西(熊本)、力のある選手が揃いインターハイ準優勝など安定した成績を残していた駿台学園(東京)、鍛えられたブロック力に自信を持つ創造学園(長野)。
 東福岡のエース、金子聖輝はこの大会後セッターに転向することを決めていたため、スパイカーとしては春高が最後の舞台。その舞台でエースとしての輝きを余すところなく見せつけた。準決勝では2セットを先取しながら粘る創造学園にフルセットに持ち込まれたが、最後は要所でスパイクやブロックを決め、主将としても引っ張った。決勝は、準決勝で駿台学園に打ち勝った鎮西との九州勢対決。東福岡は金子や古賀健太を中心とした攻撃だけでなく、守備力の高さも見せつけてストレートで勝利し、連覇を達成した。
 そんな中、優勝した東福岡と3回戦で対戦した上越総合技術(新潟)の2年生エース、新井雄大が、跳躍力とパワーを兼ね備えたスパイクで次々に得点を奪って王者を苦しめるなど、翌年の成長が楽しみな新星も登場した。
女子優勝校:下北沢成徳(東京)
第68回大会は、ベスト4のうち3校を東京代表(下北沢成徳、八王子実践、文京学院大女)が占め、東京勢が強さを見せつけた大会だった。
 前年に全日本デビューを果たした金蘭会(大阪)の宮部藍梨、下北沢成徳の黒後愛という2年生エースが注目を集めた。しかし宮部は長く腰を痛めており、実戦復帰したばかりで万全の状態ではなく、先発を外れる試合もあった。それでもチームの信条である堅い守備や、主将の白澤明香里を中心とした巧みな攻撃でベスト4に進出したが、宮部が先発を外れた準決勝では八王子実践に敗れ、連覇の夢がついえた。この大会で八王子実践の1年生、東谷玲衣奈が覚醒。準決勝では27得点を奪う爆発力を見せチームを8大会ぶりの決勝に導いた。
 決勝でその八王子実践の前に立ちはだかったのは、3回戦で、ここまで二冠(インターハイ、国体)だった九州文化学園(長崎)を破って勝ち上がった下北沢成徳。黒後を中心とした高さとパワーのある攻撃と堅いブロックを武器にストレートで勝利。インターハイ、国体には出場すらできなかったチームが、優れた個の力を解き放ち、一気に頂点に上り詰めた。

第67回(2015)

男子優勝校:東福岡(福岡)
前回大会準優勝の鹿児島商(鹿児島)や、前回ベスト4で身長203cmのエース鈴木祐貴を擁する雄物川(秋田)がともに初戦で敗れる波乱があり、開智(和歌山)も3回戦で敗れ、シード校3校が三日目で姿を消した。
そんな中、ベスト4に進出したのは、セッター仲田昌人が繰り出す複雑なコンビバレーを持ち味とする大塚(大阪)、元Vリーガー北川祐介監督が鍛え上げたブロック力を武器とする愛工大名電(愛知)、準々決勝で創造学園(長野)とのフルセットの接戦をものにした大村工(長崎)、そして、インターハイ、国体に続く三冠を狙う東福岡(福岡)の4校だった。
東福岡は準決勝で、高さのあるブロックや堅いディフェンス、巧みなサーブで大塚のコンビを封じ、2年生エースの金子聖輝が勝負どころでスパイクを決めて決勝に進出。
決勝では同じ九州勢の大村工と対戦した。大村工の粘り強い守備を、東福岡はエース金子やミドルブロッカーの永露元稀らの鋭いスパイクでこじあけて得点を重ね、セットカウント3-0で勝利。
攻守のバランスがよく隙のなかった東福岡が、前年の星城(愛知)に続く三冠を達成した。
女子優勝校:金蘭会(大阪)
第67回大会の決勝は、大阪勢同士の対戦となった。インターハイ、国体を制し、三冠を狙う金蘭会(大阪)と、柏井(千葉)とのフルセットの激戦を制し8年ぶりに決勝進出を果たした大阪国際滝井(大阪)。
互いに手の内を知る両校の対戦は、多彩な戦力を揃えた上に、試合巧者ぶりも発揮した金蘭会が、ストレートで勝利し、念願の初優勝を飾り、三冠を達成した。
1年生エースの宮部藍梨、ミドルブロッカーの丸尾遥香など強力な攻撃陣を、冷静かつクレバーに、主将でもあるセッターの堀込奈央が存分に活かした。
また、リベロの小池杏菜を中心とした守備も非常に堅く、攻守に渡り隙を見せなかった。 金蘭会の宮部が、並外れたジャンプ力を武器に次々にスパイクを決め、決勝ではチーム最多得点を挙げたのをはじめ、攻守のバランスのいい下北沢成徳(東京)の黒後愛や東九州龍谷(大分)の吉岡美晴など、1年生エースの存在感が光った大会でもあった。
一方、1年生の頃から活躍してきた熊本信愛女子(熊本)の古賀紗理那は、高校最後の大会で優勝を狙ったが、前年に続き大和南(神奈川)に敗れ3回戦で涙を飲んだ。

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