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ツール・ド・フランスは、7月のフランスをぐるりと一周する世界最大の自転車ロードレース。その存在は単なる自転車競技の枠にとどまらず、オリンピック、サッカーのワールドカップとともに世界3大スポーツイベントの1つに数えられている。
3週間かけて3500kmを走破するツールは、ヨーロッパのバカンスシーズン時の開催もあって、毎年1500万人もの観客が沿道で観戦する。さらにその感動のドラマを、TV放送を通じて世界で10億人が堪能するという。そしてツールは自転車競技というスポーツのすばらしさだけでなく、フランスのさまざまな地方の豊かな美しい風景を世界中の人々に伝えるイベントでもある。
毎日のステージはバラエティに富み、時には1日で250kmもの距離を走破することもある。強脚スプリンターたちがゴール勝負を競う平坦なステージもあれば、標高2000mを超えるアルプスやピレネーの、息をのむような上り坂を駆け上がる山岳ステージもある。さらにチームの総合力が要求されるチーム・タイムトライアル(チームTT)や、選手個人の力が試される個人タイム・トライアル(個人TT)もある。
3週間の旅のゴールはパリ、シャンゼリゼ大通り。世界でもっとも有名な観光地が、毎年この日は通行止めになり、過酷なレースを闘い抜いた男たちの凱旋を迎える。沿道には朝早くから観客が待ち構え、何時間も選手の到着を待ち続ける。観客の垣根がいく重にも連なるころ、選手たちは長い旅のゴールにたどりつく。
1903年に、フランスの地方紙ロト(現在のレキップ紙)のA・デグランジェ社長と自転車レース担当主任のG・ルフェーブル記者は、当時ライバル紙が主催して成功を収めていたレースイベントに対抗し、フランス一周の自転車レースを考案した。それがツールの誕生だった。第1回大会は、パリ郊外にあるレベイユ・マタンという名のカフェの前をスタートし、19日間で総距離2428kmを走り、再びパリに戻ってくるコースだった。初代優勝者はフランスのM・ガラン。彼の本職は煙突掃除夫だったが、この優勝でナショナルヒーローになった。
ツールが誕生してまもない1919年「集団の中でだれが総合1位なのか分からない」という要望に応えて誕生したのが黄色いリーダージャージー、マイヨ・ジョーヌだ。この色は、主催紙ロトの新聞用紙の色に由来する。今ではマイヨ・ジョーヌはツールの顔であると同時に、自転車競技そのもののシンボルになっている。
創始当時はフランス最大の自転車レースにすぎなかったツールだが、ほぼ1世紀を費やして成長を続けた今では、国際的なスポーツイベントとして不動の地位を築いている。このレースで活躍することは、フランス選手だけでなく、世界中の自転車選手の目標だ。そしてマイヨ・ジョーヌに袖を通すことは、自転車レースを志す者のあこがれの瞬間なのだ。
真夏の太陽の下、カラフルなジャージを身にまとった男たちの集団が、今年もまたフランス全土を駆けめぐる。町から町に、感動と興奮の瞬間をもたらす旅人、それがツール・ド・フランスだ。
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