上田昭夫のSports@Biz
※このコラムは、フジサンケイ ビジネスアイ紙に掲載されたものです。

第9回
進化する競技用サングラス
2006.12.18(ビジネスアイ9月5日掲載)

 秋はもうすぐ、蒸し暑い日もあと少しの辛抱か。9月は真夏に比べて気温は下がり過ごしやすくなるが、紫外線は6〜9月までがピークで、まだ注意が必要。
 夏から秋にかけて海外から日本にやってくる観光客は、強い日差しから目を保護するために、ほとんどの人がサングラスをかけている。日陰で頭の上に乗せて歩く姿は、サングラスが体の一部となっているかのように違和感がない(うちわを持ってあおいでいる観光客も多いが)。紫外線の多い南半球のオーストラリアでは、子供が外出するときには、サングラスをかけることを義務付けている。それほど紫外線から目を保護することに敏感だ。
 一方、日本では、肌を紫外線から日傘や手袋などで守る女性は多く見かける。紫外線をカットする化粧品や洋服の生地も市場に出回っており、行き届いているようだ。しかし、目を守るサングラスは男女ともにまだ認知されていない状況といえる。裸眼で紫外線を浴びると白内障などになる恐れがあり、サングラスは目を保護するために必要だ。しかし、屋内でもかけたままなど、使用者のマナーが徹底されていない。また、サングラスは反社会的な人が使うなどのイメージも根強く残っている。

 しかし、スポーツ界でサングラスは必需品。ウインタースポーツ、フィッシングでは、偏光グラスを用いることで雪上や水上の光の乱反射を防げ、雪のコブや水中、水の流れを確認することができるからだ。自転車競技では、走行中にゴミが目に入る危険性が高い。これを防ぎ、また段差などの路面状況を確認して安全性を向上するためにも必要となる。太陽が照りつける中でプレーするゴルファーは、グリーン上で芝の目を正確に読むことと紫外線を防ぐためにサングラスをかける(アマチュアは、芝の目を読めてもどう対処できるかがポイント)。野球では、デーゲームで外野手がフライを捕る際、ボールの行方を確認するためにかける。もっともスポーツでは、紫外線を防ぐことよりも、プレーするための機能が優先される。
 米メジャーリーグのイチロー選手、マラソンの高橋尚子選手、ゴルフの宮里藍選手らトップアスリートが使っているのが米「オークリー」のサングラス。販売店では、鍵のかかったショーケースに入れられている高級品だ。高橋選手は、シドニー五輪でオークリーのサングラスを外してコースに投げたタイミングで、スパートをかけて優勝。オークリーのブランドイメージを強力に植えつけた。マラソンの場合、作戦を悟られないよう目の動きを見えなくするためにサングラスをかけるという。実際は、自転車競技同様にゴミや虫などが目に入らないために使われている。

 市民マラソン大会には、オークリーのサングラスを頭に乗せた大勢のランナーが集まってくる。登録を終えてスタート地点に立つときは、石などで傷がついてもいいように安いサングラスに替える。そして、ゴール後再びオークリーをかけるそうだ。あこがれのオークリー。競技用に使われるサングラスが、高級ファッションブランドへ進化した。
 国内サングラスメーカーのデュ−ク(大阪府吹田市)は、耳にかける部分が自分に合った角度に曲がるなど運動中にずれない工夫がされた実用的なサングラスを販売している。デューク製サングラスをかけて走る市民ランナーはいるが、オフランニングで使われるのは・・・。打倒オークリー!
 サングラスをかけて自動車を運転して、トンネルに入ったときに経験する一瞬の暗闇感。デュークは、これを解消するためイタリア製の特性レンズを使った新製品の開発に取り組んでいる。