
|
橋本玲子(スポーツ栄養士)
第33回 体脂肪が減らないわけ
2007.11.29
さて、スポーツの世界では、マラソンの野口みずき選手が大会新記録で優勝し、ゴルフでは上田桃子選手が史上最年少での賞金女王に。そして、フィギュアスケートでは浅田真央ちゃんが見事な演技でGPシリーズ2勝目を挙げるなど、女子アスリートの活躍が目立ちます。テレビのインタビューなどで彼女たちの姿を見るたびに、「日本人選手も綺麗になったな」、とつくづく感心するのですが、今や男女を問わずトップアスリートもモデルのように「美しい」ことが当たり前になってきているようですね。現に、プロサッカー選手の中には、ファッション雑誌を愛読している人もいますし、トップリーグのラグビー選手の中には、パフォーマンスよりもスタイルを良くしたい(お腹の周りの脂肪を落としたい)から、と言って栄養相談を受けに来る若手選手もいるほどです。 スタイルといえば、フィギュアスケートや新体操、ダンス、ボディービルのように「美しさ」が採点につながる競技では、余分な脂肪を減らすために必要以上にダイエットをしている選手も珍しくありません。また、体重制限のあるボクシングやレスリング、スピードと持久力を必要とするマラソンや自転車などの競技においても、一般的に体脂肪が少ない方がスポーツに必要な筋力とパワーが発揮できるため、パフォーマンスに有利だと考えられています。しかし、脂肪は少なければ少ないほどよいというものでもなく、個々の体質を見極めたうえで、競技特性やポジション、日々のパフォーマンスと照らし合わせながら適正体脂肪率を見つけていくことが重要です。特に女性の場合、体重や体脂肪を極端に制限すると、月経異常を引き起こす引き金となるので十分な配慮が必要です。この点、スポーツ医・科学の先進国であるアメリカのスポーツ栄養学のテキストを見ても、「肥満度の国際的な判定方法であるBMI(体格指数)のように、科学的根拠に基づいたアスリートの体脂肪率の基準値というものはない」と書かれています。 現在、栄養サポートを行っているプロサッカーチームでは、フィジカルコーチが定期的にキャリパーを使って選手の体脂肪を測定しています。個人差はあるものの、ほとんどの選手がシーズンを通して10%前後の体脂肪を維持しています。一言で10%といっても、激しいトレーニングに見合ったエネルギーを摂取しながら、無駄な脂肪をつけないようにするわけですから、自分に合った「適量」が感覚的につかめるようになるまでには、それなりに時間がかかります。体脂肪を減らそうと思って食事の量を減らすと、LBM(除脂肪体重)まで減ってしまったり、逆にLBMを増やそうと思って食事の量を増やすと、脂肪が増えてしまうなど、なかなか思うように結果につながらず悩んでいる選手もなかにはいます。 個々の選手が日々消費するエネルギー量を正確に把握することは困難ですが、体脂肪は一夜にして付くわけではありません。毎日の積み重ねが数値となって現れるわけですから、「何を」「いつ」「どのように」食べるかといった食習慣全般を見直し、脂肪が減りにくい原因を見つけることが大切です。これは、アスリートに限らず内臓脂肪を減らさなければならない一般の人たちにも共通していえることです。 体脂肪が減りにくい選手の多くに共通する食習慣をまとめた「食べ方のまちがえチェック」をご紹介しますので、「はい」の数が何個つくか試してみてください。5つ以上チェックが付いた人は要注意!印のついた項目を改善することから始めましょう。
→ ページのトップへ
|