今回の東京マラソンに出場する注目ランナーのなかで、
九州出身のランナーが2人。

ひとりは、福岡県出身、28歳の佐藤智之選手。
第1回東京マラソンでは、
日本人トップの2位、
大阪での世界選手権では、マラソン13位。
「マラソンがやりたかったんです」と、
高校から名門・旭化成に入社し、はや10年。
4月からは社会人11年目を迎える。
いわゆる「九州男児」のイメージとはかけ離れた、
温和な雰囲気と、穏やかな口調で話す佐藤選手。
インタビューをすると、
これまでの自分を
「失敗した」「苦しんでいない」と
ネガティブに、淡々と表現する。
しかし、
宗監督を含め、周囲の誰もが認めるほど、
今まで完璧に練習を積んできたという佐藤選手。
本人を包む、柔らかな空気感のなかに、
感じた芯の強さ。
それは、地道に練習を積み重ねてきた揺るぎない自信によるもの。
たくさんの質問にも、
穏やかに、きちんとした言葉で話す佐藤選手は
なかなか、感情を表さない。
しかし、最後に、
同じチームの清水将也選手の世界選手権内定の話になったとき。
「負けたくないですね」
初めて、素の感情のこもった言葉。
ああ、やっぱり、と思ってしまった。
内に潜む闘志は、間違いなく存在し、
その気持ちを、うまく発揮できなかったこれまでの10年間。
今回の東京マラソンでは、
積み重ねた10年間の練習を、自信を武器に、
きっと、最後まで諦めず、苦しみぬいた走りを見せてくれるはずだ。

そしてもうひとりのランナーは、
佐賀県出身の前田和浩選手、27歳。
中学時代から実績を残して、高校卒業後は九電工へ。
今の男子部監督である綾部健二監督が、
コーチ1年目のときにスカウティングのときから携わった
初めての選手が前田選手。
だから、ときおり見せる二人の間の空気は、とてもあたたかい。
冗談で軽口をたたく前田選手を、
これまた笑いながらいさめる綾部監督。
自身も「やんちゃ」という前田選手が、
ここまで実業団で着実に成績を残してきているのも
綾部監督含め、周囲のあたたかな環境の中で
すくすくと成長することができたから、と感じた。
今回の東京マラソンが初マラソンとなる前田選手。
「不安と、楽しみが、半分半分」と話すその表情は、
少しわくわくした「やんちゃ」な表情。
勝負だから、選考レースだから
もちろん結果も大事。
だが、個人的には、前田選手が振り返ってみたときに、
この初マラソンとなる東京マラソンが
「よかったな」と思えるレースであってほしい。
年齢が近く、高校から実業団入りした2人の九州男児。
しかし、全く異なるキャラクター。
どちらも、
個人的にイメージしていた、いわゆる「九州男児」とは全く違った。
でも、こころの底にみえた
「強さ」、「芯の太さ」、「負けたくない気持ち」は
2人の共通点。
そんなふたりが、22日の本番に
競り合う姿をみてみたいと、切に願う・・・できれば、トップ集団で。

