2017年8月11日(金) 放送
「口内炎」、「口が渇く」、「歯茎(はぐき)から出血」、「口臭」…ついつい放っておいてしまうこれらの口の中の症状は、実は恐ろしい大病のサインだった!
ふと気がつくと、口の中にできていることが多い「口内炎」は、口の中にできた傷口に細菌が入り込み炎症を引き起こすもので、ビタミン不足などで口内の粘膜が減少している時に発症することが多いという。
症状(1)「しみるような痛みを感じない」
舌の側面に口内炎のようなデキモノを発見。
多忙な仕事のストレスのせいか、普段から口内炎ができることは多かったので、特に気にしていなかったが、いつもと違い口内炎特有のしみるような痛みを感じることがなかった。
症状(2)「2〜3週間たっても消えない」
いつもの口内炎なら1周間程度で治るところ2週間たっても3週間たっても、消えなかったデキモノ。
そのまま放置して2カ月が経過。
この時、デキモノは発見した時の倍ほどに大きくなっていた。
東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックの新谷悟(しんたに さとる)先生によると、この症状は典型的な舌がんの症状とのこと!
舌がんとは舌にできるがんで、日本では年間約4000人が発症。
※出典:口腔癌診療ガイドライン2013年版
首のリンパ節や肺に転移することも多く、全身に転移すると死に至ることもあるのだとか。
初期症状が口内炎に似ていて、発見しているのに放置してしまう事が多いとても危険な症状。
さらに高齢者の場合「合わない入れ歯が原因で舌がんになってしまうケースもある」のだとか。
口内炎
期間:2〜3週間で消える
自覚症状:食事中にしみる
形状:白いくぼみがある
舌がん
期間:2〜3週間たっても消えない
自覚症状:しみない
形状:白い部分と赤い部分がある
舌がんと診断された實原さんはその後、舌を切り取る手術を受けることに。
実際に治療を行なった国際医療福祉大学 三田病院 頭頸部腫瘍センター講師伏見千宙(ふしみ ちひろ)先生によると
「實原さんの場合、がんが舌の深くまで進行していたので、舌の半分を切り取って再建する手術を行った」という。
舌がんは、たとえ舌を切ることになっても腕や腿からの移植で舌を再建することが可能とのこと。
手術から2年、現在の實原さんは言葉に関しては問題なく喋れており、食事についてもほぼ元通りで不自由なく暮らせているという。
口が乾いて、水分補給が欠かせない…いわゆる「ドライマウス」の症状に悩んでいるという人は日本全国に推定800万人以上いると言われ、その患者は約7割が女性。特に50代から60代が多いと言われている。
※出典:新潟歯学会誌2004年
「ドライマウス」とは唾液の量が減り、口の中が乾燥してカラカラになる症状のこと。
症状(1)「口の渇きの影響で唾が出ない」
仕事場での昼食時間、手作りのお弁当を食べようとした時、ひと口しか口にしなかったおにぎりが噛んでも飲み込めなかったという。
なんとかお茶で無理やり流し込み、再びおにぎりを口にすると唾が出ないことに気がついた。
症状(2)「目も乾燥するようになった」
ドライマウスを放置して1カ月もすると、目も乾燥するようになってきた。
不安を感じすぐに大学病院を受診し、血液採取など様々な検査を受けた。
世田谷リウマチ膠原病クリニック吉田智彦(よしだ ともひこ)先生によるとこの高橋さんの症状は「シェーグレン症候群」とのこと。
「シェーグレン症候群」とは、本来病原菌などから体を守る免疫が異常をきたし 自分自身の細胞を攻撃してしまう病気。膠原病(こうげんびょう)の一種。
特に、唾液腺や涙腺の細胞を攻撃するのが特徴で、高橋さんの場合は唾が出ずおにぎりが食べられなくなったり、涙が出ずドライアイになったりした。
吉田先生によると「シェーグレン症候群の場合、唾液を作る唾液線自体が破壊されていて、生活習慣では治らず、医師による専門的治療が必要」とのこと。
しかも、病院に行かずに放っておくと異常な免疫の攻撃はさらに拡がり、関節に影響が及ぶとリウマチに、さらに内臓に影響が及べば肝硬変、腎不全など様々な病気へと繋がってしまうこともあるという。
1よく目が乾くようになった
2手足に痛みや痺れを感じるようになった
3肌の乾燥が激しくなった
4すぐに疲れるようになった
口の渇きに加えて、このような症状がある場合は要注意!
また、これらは一見、更年期障害の症状とも似ているので、更に注意が必要。
このような症状を自覚したら早めに受診することがおすすめとのこと。
シェーグレン症候群を含む膠原病は、これまで根治は難しいとされていたが、最近ではステロイド治療や免疫抑制剤などを使用し、自分を攻撃する免疫の働きを抑えたり、炎症を抑えたりすることによって、症状や病状をかなり良好にコントロールすることが可能になってきたとのこと。
つまり早期発見をし、病状の進行を緩やかにするのが大切なのだとか。
多くの方が気にしていると思われる「口のにおい」。
口臭は身体の異常と密接な関係があり、放っておくと大病を患っている危険性があるという。
新谷先生によると「嗅いだ人に不快感を与えるほどの強い口臭の原因は、9割が口の中の異常、1割が体内の異常によって引き起こされる」という。
口が原因の口臭は、食後や飲み物を飲むと、雑菌が流され臭いが消えるが体内異常が原因の口臭は、常に臭いがし、鼻(鼻息)からも同様の臭いがするという。
肺がん・胃がん:「肉の腐敗臭」
肝炎・肝硬変:「アンモニア臭」
腎臓の不調:「魚の腐敗臭」
糖尿病:「果物の腐敗臭」
自分ではなかなか気が付きにくい口臭だが、総合病院や一部の歯科医院には口臭を専門に扱う口臭外来がある。
口臭外来には口臭の成分を分析できる専門の測定器があり、患者の呼気を採取し、測定後 約5分で口臭の診断結果が出る。
中城歯科医院の中城基雄(なかじょう もとお)先生によると、「硫化水素」、「メチルメルカプタン」、「ジメチルサルファイド」の3つの成分のバランスで、身体のどこに異常があるのかを診断できるという。
千葉県にある犬の訓練センター「セントシュガージャパン」にいる5匹のラブラドールレトリバーは、がんのにおいがわかる「がん探知犬」!
犬は人間の1億倍以上とも言われる嗅覚により、呼気や尿に含まれたがんの匂いを嗅ぎ分けるられるそう。※出典:日本警察犬協会
ドッグラボというガン判定機関にインターネットで申し込み、呼気を送るだけで誰でも検査を受けられる。
驚くことに訓練でのがん発見率は99.7%とのこと。※出典:日本医科大学千葉北総病院
今年5月には山形県金山町で、日本で初めて健康診断に導入され話題になった
問い合わせ先:DOG LAB(ドッグラボ)
電話番号:0120-111-496
営業時間:平日 10:00〜17:00
歯茎からの出血を「歳をとれば誰でも起こること」と思い放っておくと大病につながることが!?
症状(1)「歯茎からの出血」
何気なく食べたリンゴについた歯茎からの出血。これまで虫歯の治療に度々歯医者に通っていたが、ここ数年は仕事が忙しく、全く治療に行っていなかった。
症状(2)「高熱」
高熱で床に伏し、単なる風邪と思ったが、そのころ激しい息切れや疲労感にも襲われていたため、病院の内科へ。
診断結果は「感染性心内膜炎」。
保科クリニック保科 孝行(ほしな たかゆき)先生によると「感染性心内膜炎とは心臓の弁に細菌がついて、正しく弁が動かなくなり心臓が血液を送れなくなってしまう恐ろしい病気」だという。
緊急手術を受け危険な状態は免れたが、そこで心内膜炎を引き起こした雑菌の正体が判明。それは「歯周病菌」!
虫歯や歯肉炎の原因となる歯周病菌は、成人の約8割が持っているとされ、年齢とともに増加。歯周病にかかる数は60代でピークを迎えるという。
※出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会(第301回)資料
松本さんの場合、歯周病が進行して歯茎から出血。傷口から歯周病菌が血管に入り込んで心臓にたどり着いたのだとか。
(通常は免疫が歯周病菌を退治してくれるが、疲れなどで免疫力が落ちていると心臓に届いてしまうとのこと)
歯周病菌による心内膜炎で恐ろしいのは「進行するスピード」。
保科先生によると「歯周病菌が弁についてから1週間で大きな塊になり、心不全を起こす可能性がある」という。
実は、歯周病菌の大好物は血液に豊富に含まれている「鉄分」。
そのため、一度血管内に侵入すると赤血球から鉄を奪い放題で増え続け、身体中に蔓延してしまうという。
そして大量の歯周病菌は心臓を通過する際に弁に引っかかって蓄積し、弁の動きを邪魔するほどに血液の流れを不安定にさせるという。
高熱で伏したのは、全身に歯周病菌が蔓延して免疫が戦っていたため。
息切れや疲労感は、心臓の弁が正しく動かずに酸素を運ぶ血液がうまく流れなくなっていたため。
歯周病菌が塊となって、弁ではなくあらゆる所に付着すると、ほかにも様々な病気になる危険が!
心臓を動かす冠動脈で詰まれば「心筋梗塞」
脳血管で詰まれば「脳梗塞」
肺に入れば「肺炎」
膵臓に入り、インシュリンを出す機能を壊せば「糖尿病」
これらの原因にもなりうるのだとか。
保科先生によると、歯周病を患っているときや、口の中をケガして1〜2週間程度の時期に、原因不明の息切れや疲労感、発熱が続くという症状が出た場合、一度、病院での受診をおすすめするとのこと。
Q.歯周病菌は、どこから体内に入ってくるの?
A.もともと自分の身体の中にいたり、親子間で感染したりする
Q.歯を磨いていて、血が出るのは歯周病?
A.優しく磨いている程度や普通の歯ブラシで出血するのは、歯茎が充血している可能性があるので、気をつけたほうが良い。
Q.歯周病菌は一度感染したら、無くならない?
A.減らすことはできる。しかし口の中の細菌をゼロにすることはまずできない。
Q.年をとると歯茎が弱まって歯が抜けるというのは、間違い?
A.歯周病にさえならなければ、いくら年をとっても歯がグラグラすることもなく、抜けることもない。
毎日同じ順番で、必ず左奥歯から磨くと言う里見さん。
歯ブラシの動かし方が大きく強い。最も特徴的なのは、前歯を磨く時に必ず歯ブラシが縦になること。約3分で歯磨き終了。
竹屋町森歯科クリニックの森昭(もり あきら)先生にチェックしてもらったところ磨く順番を決めていて、磨き残しが起こりにくいので「虫歯菌を退治する」という点では完璧。とのこと。しかし…
「歯周病菌」のケアという点では、
という点が、少し残念とのこと。
森先生によると「歯周病菌の元となる歯垢(しこう)を取り除くことが歯周病予防の基本」だという。
歯垢とは、食べ物の残りかすにくっついた細菌の固まりで、歯と歯茎の間「歯周ポケット」に溜まって取れにくい。
この歯垢を取り除くための正しい歯磨きを知っていれば、歯周病を予防できるという。
1歯ブラシは、鉛筆を持つ感じでつまむように持つ。
2歯と歯茎の間に45度で当て小刻みに動かし、溜まっている歯垢を取り除く。
3歯ブラシを動かす幅は5〜10mm程度で1~2本ずつ丁寧に。歯磨きをする時間の目安は約3分。
森先生によると、歯垢がもっとも溜まるのは夜寝ている間なので、一番細菌が多い朝起きた直後と、減らしてから寝るという意味で夜寝る前の2回磨けば、歯垢を口内から減らすことができるとのこと。
さらに「食事後は歯磨きではなく、デンタルフロスや歯間ブラシで歯の間に詰まった食べかすや歯垢を取るだけで大丈夫」だという。
食後に歯を磨かないのは「食後30分間が 唾液が一番多く出てくる時間であり、この唾液が歯垢を殺菌する一番の効力をもっているから」とのこと。
歯磨き以外にも唾液をうまく生かすことが歯周病予防のポイント!
この番組は専門家の監修のもとに構成いたしました。
番組で紹介した事例は身体の悩みに関する原因とそれに対する解決策の1つです。事例により別の原因・学説があることをご承知ください。
医療行為を試される場合は医師に相談の上ご本人の正しい判断で行ってください。