2017年5月26日(金) 放送
【ゲスト】中村玉緒
「4人に1人」
これは平成27年に血管の病気で亡くなった人の割合で、ガンに匹敵。つまり“血管が弱ると、死亡する可能性が高くなる”ともいえる。
※出典:厚生労働省 平成27年人口動態統計(確定値)
今回は、血管・血液に不安を抱える松崎しげる(67)、岡まゆみ(61)、パパイヤ鈴木(50)の3名の血管力を検査。
これまで1万人以上の血管を診てきたというエキスパート池谷敏郎先生に、あらゆる角度から分析・診断してもらった。
池谷先生が検査項目で注目したポイントは2つ
血管の強さ…「血管内皮機能検査」で、しなやかな血管かどうかを調べる。
プラークの有無…「けい動脈エコー」で、プラーク(血管内のコブ)の有無を調べる。
この2つの結果から、動脈硬化などによる突然死のリスクを予見できるという。
血管のもっとも内側の壁にある「血管内皮細胞」は、傷つけられると血管が硬くもろくなってしまい、動脈硬化につながってしまうという。血管内皮機能の正常値は6.0以上。この数値より低いと、動脈硬化が進んでいる疑いがあるというところ…3人の検査結果は?
岡まゆみ…6.8 ◯
松崎しげる…2.7 ×
パパイヤ鈴木…9.1 ◯
仕事柄旅が多く、暴飲暴食夜遊びが多いという松崎さんだが、それらはすべて血管にダメージが加わる行動だと先生は説明。
けい動脈エコーでプラークの有無を調べると…
岡まゆみ…プラークあり(1つ) ×
松崎しげる…プラークあり(3つ) ×
パパイヤ鈴木…プラークなし ◯
ある程度の大きさになってしまったプラークには傷ができてしまい、その傷を塞ごうと「かさぶた」ができる。この「かさぶた」が剥がれて血栓となり、細い血管を詰まらせるのだという。しかも!けい動脈でプラークが見つかったということは、脳など他の部分にも存在する可能性があるのだとか!
池谷先生によると、高級でなかなか手を出せない天然マグロよりも、スーパーなどでお手軽に買える養殖マグロの赤身の方が血管を強くするという。
EPAとは、魚の脂に多く含まれる脂肪酸のこと。
池谷先生によるとEPAは、傷ついた血管を内側から治療してくれるいわば“血管内の名医”で、血管の炎症を抑えプラークを傷つきにくくしてくれる効果が期待できるという。
またある研究では、EPAを摂取することで心筋梗塞のリスクを3分の1軽減できるということがわかっているのだとか!
※出典:久美浜study-漁業、農業、商業地域での血清脂肪酸濃度、食習慣と心血管疾患発症について
国産の養殖マグロはそもそも脂が乗るように育てられているため、天然マグロよりEPA量が多くなる。さらに、EPAが豊富な「サバ」や「アジ」などを日頃からエサとして与えられているのでEPAが体に蓄積され、EPAの塊のような状態になっているのだとか!
池谷先生によると、焼いてしまうと脂が20%落ちてしまうので、EPAを100%摂ることができる「生」で食べるのが良いとのこと。
そこで今回、検査結果の良くなかった松崎さんと岡さんには、養殖マグロの赤身6切れを1日1食、10日間食べてもらうことに。ちなみに今回のルールでは、お酒はOK!ビールなら350ml、日本酒なら2合が目安。
検証ルール
※試される際は体調に留意して行ってください。
10日後、再び2名の検査を行なったところ…血管の強さを表す「血管内皮機能」は正常値6.0のところ、岡さんは、6.8から10.7と飛躍的にアップ!松崎さんは4.4とまだ正常とは言えないまでも、血管の強さに改善が見られた。
2人の血管に見つかったプラークについて池谷先生は「EPAには炎症を鎮める働きが期待できるので、血管の炎症からできることがわかっているプラークを、傷つきにくい、安定した状態に導いてくれるのでは。」といい、さらに「血管力アップのためには、マグロのEPAだけではなく、生活習慣を改善することが重要」と語った。
血管の強さやプラークの状態では問題が見られなかったパパイヤ鈴木。しかし池谷先生によるとその血液に、将来的に見て大きな不安材料が見つかったという。それが「白い血」!
通常の健康な血液は分離すると、赤血球などの赤い部分と血しょう成分の透明な部分に分かれるのだが、パパイヤさんの血しょう成分は白く濁っている!この状態だと、心筋梗塞、脳梗塞、狭心症、不整脈といった要素から、突然死の危険性が高まってしまうのだとか!
この白い血の正体は、レムナントと呼ばれる物質。レムナントとは、いわば脂の塊のこと。血管内皮の膜を壊し、血管の壁の中に侵入、動脈硬化の原因となるプラークをどんどん大きくしてしまう、いわば「血管の壊し屋」!ひいては心筋梗塞を発症して、突然死してしまう可能性があるのだとか。
池谷先生によると、白い血にはメタボリックシンドロームの傾向がある人がなりやすく、健康診断でもわかる「中性脂肪」の値が高いかどうかが1つの目安とのこと。正常値の上限である149mg/dLを超える人は疑ったほうがいいというのだが…パパイヤさんの値はそれを大きく超える1905mg/dL!
「白い血」を改善するために池谷先生が提案したのが、食事の最初に大豆を食べる「大豆ファースト」!大豆は食物繊維が豊富で、腸内の余計な糖や脂肪を排出。さらには消化に時間がかかるため、糖と脂肪の吸収をゆるやかにしてくれるという。
特に池谷先生がオススメしたのが「蒸し大豆」。煮たりすると流れ出てしまう水溶性食物繊維が、余すことなく摂取できるとのこと。
※蒸し大豆が無い場合は納豆、豆乳、枝豆など、他の大豆類でもOK!
「大豆ファースト」検証ルール
※今回、パパイヤさんの血の状態はかなり悪かったため、池谷先生監修のもと1日3食大豆ファーストを行ってもらった。
※試される際は体調に留意して行ってください。
2週間の大豆ファースト生活の結果…パパイヤさんの血は真っ白から、薄い白へと改善!
中性脂肪の値も、1905mg/dLから1730mg/dLへと下がった。池谷先生によると、今後も継続していくことでさらなる改善が期待できるという。
長年、歩くことも困難な原因不明のひざの痛みに苦しんだ池田敦子(けいこ)さん(62)。54歳の頃、椅子から立ち上がろうとして左ひざに突然鋭い痛みを感じたのが、長い闘いの始まり。
近所の整形外科で受診すると、「ひざの軟骨が磨り減っている」と診断されヒアルロン酸を注射することに。
ヒアルロン酸注射
ひざなどの関節をスムーズに動かす潤滑油のようなもの。関節の痛みを軽減する一般的な治療法。
しかし何度注射を打ってもひざの痛みは治まらず、最終的には歩くことすら困難な状態に。
その後、ひざ治療で評判の病院で、ひざ関節を人工関節にするという大手術を行なうことに。
人工関節手術
すり減ったひざの軟骨を人工関節に取り替える手術。年間4万件も行われているという。
※出典:厚生労働省 第2回働き盛りと高齢者の健康安心分科会 資料3−3 平成19年2月2日
長引く痛みから解放されるならと手術をしたにもかかわらず、手術後も痛みは治まらず、杖なしでは歩けない状態に。
その後も7年にわたり医師や友人の紹介でいくつもの病院を巡った池田さん。そこで医師に「痛みの原因は、骨でも関節でもないところにあるかもしれない」と告げられた。
戸惑いながらも、その「痛みに関する最先端治療を行なっている」という医師のもとへ。そこで出会ったのが、奥野祐次(おくの・ゆうじ)医師。痛みの症状を伝え、触診してもらったところ、先生は「その痛みの原因は“モヤモヤ血管”」と診断。
モヤモヤ血管
文字通りモヤっとした形で見える異常な血管。肩、肘、ひざなど痛みの場所は様々で、「押すと痛い」ことが特徴。奥野先生が世界で初めてこの「モヤモヤ血管」を発見し、現在世界中で注目・研究が進められている。
実際に当時の池田さんの血管画像を見てみると、人工関節の隣にモヤモヤ血管が!
血管は ぶつけたり運動をすることで刺激を受けると破損してしまう。正常な血管では 壊れた血管の修復が行われ、元のキレイな状態に戻る。ところが、加齢などの要因により血管の修復がうまくできなくなってしまうと、酸素や栄養が十分に運ばれない状態になり、身体がそれを補うために急いで不完全な血管を大量に作ってしまう。そのぐちゃぐちゃな血管こそが、「モヤモヤ血管」。
モヤモヤ血管は不完全な血管。いたるところが破損していて「穴」だらけの状態。血液中の様々な成分が外へ漏れ出し、血管の周りの組織などが炎症を起こし、痛みの原因になっているという。
★指で押すと痛い
★ズキズキ、ジンジン、チクチク痛い
★身体を動かさずにじっとしていても痛い
★夜寝ている時も痛い
1つでも当てはまると、モヤモヤ血管がある可能性があるという。
奥野先生が実際に行っているモヤモヤ血管の治療法は、モヤモヤ血管への血行を一時的に止め消滅させるというもの。カテーテル(細いチューブ)を血管内に通し、痛みのある部分まで進める。そしてカテーテルの先から細かい粒子が入った薬品を注入し、モヤモヤ血管を詰まらせることで血行を止める。
9年間四十肩・五十肩に悩まされ、実際に治療を受けた山本靖夫さん(仮名・54)。の血管画像を見てみると、モヤモヤ血管がきれいになくなっている。
痛み自体はどうなったのかというと…術前は肩より上に挙がらなかった腕が、楽に挙げられるように!
池田さんもこのモヤモヤ血管治療により、人工関節の横にあったモヤモヤ血管がなくなり、現在は日課の散歩を杖なしで行えるようになった。
1指で押し、痛い場所を探す。
215秒、爪が白くなる程度の強さで指圧する。
モヤモヤ血管が原因の痛みの場合、押している途中で痛みが和らいでくるとのこと。
※最近急に痛みを感じるようになった方、押して痛みが悪化する方は医師の診断を受けてください。
※モヤモヤ血管が原因でない場合悪化する場合があります。整形外科などを受診してください。
この番組は専門家の監修のもとに構成いたしました。
番組で紹介した事例は身体の悩みに関する原因とそれに対する解決策の1つです。事例により別の原因・学説があることをご承知ください。
医療行為を試される場合は医師に相談の上ご本人の正しい判断で行ってください。