桜子(芦田愛菜)たちが暮らす伴家、丈治(塚本高史)が切り盛りする焼き鳥店「鳥竜」のセットをご紹介します。解説は、「OUR HOUSE」のセットデザインを手掛ける美術デザイナーの荒川淳彦さんです。

まず、永山耕三監督からコンセプトとして聞いたのが、「ひとつ屋根の下」(1993年)に登場するような、日本家屋を再現しようということでした(※荒川さんは、「ひとつ屋根の下」のセットデザインも手掛けています)。「OUR HOUSE」はホームドラマで、家族みんなが住んでいる家を舞台に物語が展開しますが、マンションのように個室が独立してあるのではなく、部屋が障子や襖(ふすま)で仕切られていて、ガラガラッと開けたら誰でもすぐに入ってこられる、昔ながらの日本家屋にしよう、と。年代で言ったら昭和30年前後、高度経済成長の前の家をリフォームしながら住み続けている、といったイメージでしょうか。温かみがあって常に人の気配が感じられることを意識してデザインしました。

居間「居間」

みんなが集まる食卓は、お芝居の中心となる場所。家族が集まって話をしているところに、誰かがやって来たり、あるいは通り過ぎたりするのが見えるよう、廊下側の壁をガラスにしました。また、通常は壁に沿って作る階段も、あえて見えるような位置に配置。こうすることで、子供が2階へあがる姿や、階段に座って居間での話を聞く姿を見せることができます。そういうシーンを想定して、階段を配置しました。

「奏太とアリスの部屋」「奏太とアリスの部屋」

伴家の外観を正面から見て左側にある白い建物部分が奏太(山本耕史)とアリス(シャーロット・ケイト・フォックス)の部屋です。ここは増築したという設定で、日本家屋とは違った洋風なイメージにしました。外観の屋根が斜めになっていますので、室内も斜めを感じられる雰囲気に。実際の建築は、屋根が斜めでも室内の天井は真っ直ぐの場合が多いですが、ドラマは視覚的な要素が重要ですから。ミュージシャンの部屋らしく、壁はスタジオのような二重防音壁に。実際に吸音シートを張ってあります。床も黒×赤のパネルでポップにしました。

「奏一郎の部屋」「奏一郎の部屋」

居間から襖で仕切られているのが奏一郎(橋爪功)の部屋です。瀟洒な数寄屋作りの旅館や料理屋さんの一室をイメージしました。おじいさんの部屋ですが少しモダンにするため、床の間の中を濃いめに塗って物置風にしたり、布団ではなくベッドを入れました。また、写真の奥に見えるガラスの引き戸は、実際の建築より40㎝ほど幅が狭くなっています。画面では大きく見えるので、実際の家で使われる1m80㎝を入れてしまうとすごく大きく見えてしまうんです。実際の住み心地ではなく、画面上でどう見えるかにこだわって作られるセットならではですね。

「子供部屋」「子供部屋」

6畳ほどに兄弟4人が寝泊まりしている子供部屋。布団を3枚敷くことができないので、光太郎(加藤清史郎)は、扉を取り払った押入れに体半分を入れて寝ています。押入れの扉がないことで部屋がずい分広く見えると思います。横のガラス扉の向こうは、廊下。ここにあるタンスに、家族の思い出の品なんかをしまってあるというイメージです。ごちゃごちゃしていて狭いですが、子供はこういう雑多な感じは好きでしょうし、実際、居心地は悪くないんですよ(笑)。

「琴音の部屋」「琴音の部屋」

学生時代、この部屋で猛勉強をして医師になったんでしょうね。結婚して一度は出たものの、戻ってきて。でも、長くいるつもりがないから、学生時代の部屋をそのまま使っているというイメージです。参考書なんかも当時のまま置かれています。琴音さんが家を出ていくことがあれば、将来ここは桜子(芦田愛菜)と桃子(松田芹香)の部屋になるかもしれないですね。

一見、下町や新橋なんかにありそうな焼き鳥屋さんに見えて、ちょっと割烹料理屋さんのような雰囲気のある店をイメージしました。サラリーマンだけではなく、桜子(芦田愛菜)や子供たちを始め、いろいろな人たちが来るお店ですから。一番の特徴はカウンターでしょうか。ごく普通の居酒屋さんより少し幅を広くしてあります。こうすることで、焼き鳥とビールに加えて一品料理もおけるようになりますし、お芝居もしやすくなります。

一方、厨房にはきちっとレンガを積んだ焼き台を作り、スペースも広く取りました。丈治(塚本高史)が焼きながらしゃべるシーンもありますし、厨房からカウンターにいる役者さんを撮ることがありますので、カメラが入れるためです。また、入口には段差を付けています。店内に入ってくる人が見えた時、段差があると人が上下してより複雑な画が撮れるためです。