レポート

TV LIFE 連載:KIKCHY FACTORY
#094(04/01/21)インタビュー
×松本隆さん
2003年12月26日 午后
都内 松本隆事務所でインタビュー

きくち
このお話(「TV LIFE」インタビュー取材)を受けていただいてありがとうございます。今までで一番歴史的な…大物だと思います。
松本
何を言ってるんですか(笑)。
きくち
はっぴぃえんどのメンバーのかたがたとは今もお逢いになってますか?
松本
それぞれ逢ってますけどね。演奏はたぶん一生ないと思う。
きくち
そうですか…。松田聖子さんの詞、(吉田)拓郎さんとか男の人の詞を書くならともかく、女の子の詞を書くっていうのは、どんな感じですか?
松本
変身願望なんじゃない(笑)?その女の子になる時もあるし、相手の男の子に自分がなる時もあるし…一慨には言えないんだけどね。頭の中で人物が勝手に動き始めるんで、それをただ言葉にしているだけだから。
きくち
ものすごい繊細な詞ですよね。これは女の子だけじゃなくて、KinKi Kidsの詞もそうですけど。
松本
「薄荷キャンディー」なんてすごく繊細だよね。
きくち
キュンときますよね。聖子さんの歌を松任谷由実さんと作られていた時は、やっぱり曲が先ですか?
松本
ユーミンはほとんど曲先かな。
きくち
拓郎さんは全部、詞が先だと前におっしゃってました。
松本
とりあえず自分でトライするんだよ、拓郎は。それでどうにも上手くいかないから僕に頼むんで。…音楽業界の駆け込み寺だからね、僕は(笑)。
きくち
そんな拓郎さんが『LOVE LOVEあいしてる』を始めたとき、どう思われましたか?
松本
半年…ぐらいして、もうやめればいいのにって言ったんだよ(笑)。自分を消費し過ぎるって言ったんだけど、
「いやこれでいいんだ」って言われて。
きくち
わたしも拓郎ファンでしたから、もし第三者の立場でテレビを見てたら、すごい嫌だったと思うんです(笑)。
松本
ただ、あの拓郎を4年半も同じ番組に出させたっていうのは、プロデューサー偉いなと思うよ。
きくち
ありがとうございます(笑)。わたしも4年半やった結論としては、あそこから拓郎さんの違うミュージシャン人生が始まったというか、ファンとして出来る最高のことをしたかな、と KinKiもあの番組で拓郎さんと出会い…そして松本さんや筒美京平さんのような優秀な大御所と出会えたことはすごく大きいと思うし。
松本
あの子たちはちょっと、単なるジャニーズという枠を外れたよね。
きくち
音楽イメージがすごく強くなりましたよね。2003年にリリースした3枚のシングルが、全部30万枚超えてるのって彼らだけですから。
松本
その中で「薄荷キャンディー」が一番売れてるのがうれしいね(笑)。
きくち
…今日、こうやって松本さんとお話させていただいたのはすごくうれしいんですが、やっぱりわたしはテレビのひとなので。テレビで一緒にお仕事が出来れば、これは画期的なことだなと。
松本
一度ね、トレンディドラマみたいなやつに出てみないかって話もあったんだけど(笑)。テレビだと広いスタジオに照明が燦々としていたりして、その非日常の空間が苦手なんだよね。
きくち
例えば音楽番組のインタビュアーみたいなのはどうですか?
松本
司会っていうのがね、ちょっと難しいかなと。…どこかのメディアと組んで、女の子アイドルを手掛けてみたいなとは考えているんですけど。
きくち
(笑)。もういちど考えて参ります。
松本
(笑)。
きくち
松本さんは自分でレーベルも主催されるようになりましたよね?
松本
今までの仕事に不満があったわけじゃないんだけどね。ただ今のレコード会社のシステムだと出て来られない優秀なアーティストっていうのが存在するような気がして。莫大な宣伝予算とかなくても、いい音楽は生み出せるんじゃないかと思ったんですよ。
きくち
そういう意味で言うと、今のCDが売れない状況っていうのは、健全な音楽業界を生んでもいますよね。
松本
逆にインディーズの方が売れちゃったりする。はっぴぃえんどの時代とちょっと似てるよね。だから僕もやってみたいと思ったし。
きくち
さっき、女の子の詞を書いてみたいとおっしゃいましたが…。
松本
だから、インディーズのアイドルやりたい(笑)。アイドルって普通、大手の会社が集まって生み出すものだけど、手作りもいいんじゃないかな。
きくち
例えば既存の…歌手じゃなくてもいいんですけど、詞を書いてみたい女の子とか、作曲家っていますか?
松本
いや、頼まれれば考えるよ
きくち
まあ、そうでしょうけど(笑)。
松本
うーん…曲としてはユーミンの曲好きだね、やっぱり。17年ぶりに一緒に仕事してみて、すごく好きだなと。 ただ、ユーミンが自分で詞をつけるよりも、僕の詞の方がいいと思う(笑)。
きくち
(笑)。

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