レポート

TV LIFE 連載:KIKCHY FACTORY
#086(03/09/24)インタビュー
×森山直太朗
2003年8月3日 夜
『HEY!HEY!HEY!』収録のあと
砧 東京メディアシティ 楽屋でインタビュー

きくち
前の「さくら」90人大合唱(#381/2003年5月12日放送)に負けず劣らず、今回の「夏の終わり」(#397/2003年9月1日放送)もいいね。バンドの中にパーカッションが入ってたりして『HEY!HEY!HEY!』史上稀に見る編成だと思うよ。 
森山
やっぱり観覧している人に「生だよ」って伝えたいじゃないですか。確かにこれはテレビの収録なんだけど、観ている人にとっては1回こっきりの時間なんだから。 
きくち
そう、いちばんたのしんでほしいのはスタジオに来たお客さん。次にアーティストとスタッフ。その現場に居る人全員が満足すれば、必ずテレビの向こう側の人も満足するはずなんだ。 
森山
ただそれが誰にピントを合わせているのかわからない場合もあるんですよね。楽曲のよさを伝えるっていうのが一番大事なんだけど、収録が単なる作業、ルーティンワークになってる。 
きくち
それはプロの仕事と言えないね。アーティストがテレビに出演するのに臆病になっちゃうよね。
森山
いや、なってると思いますよ。例えば「OK」と言われたとき、これは誰に対しての「OK」だろうと。自分は満足していないけど、周囲の雰囲気が「OK」っていう感じだったりすると、特に。事前にちゃんと演奏の内容をスタッフさんと話し合えていれば、本当はそんなに臆病になる必要もない。 
きくち
「OK」は本来、ステージ上のアーティストにまず確認すべきものだよね。スタッフにとっての「OK」は、それを最高の状態で撮ること。わたしもよくADさんとかにそう言ってるんだけど。 
森山
そうなんですよ。やっぱり自分の支えになるのはパフォーマンスだから。それさえきちんとやっておけば、トークも気持ちよくできるし。 
きくち
カラオケ前提の昨今の音楽業界において、直太朗くんのパフォーマンスに対する考え方はすばらしいと思う。カラオケでも悪くはないけど、ロックバンドとかだと…不健全? 
森山
あれを見ている人は、カラオケだって気がついていないんですかね? 
きくち
気付いてるんじゃないかな?逆に、生演奏なのにカラオケだと思われることもあるんじゃない。
森山
そうなんですよ!「どうせカラオケでしょ?」って先入観があるから。
きくち
クオリティが高いほどカラオケだと思われるなんて、変な話だね。
森山
これはもう自分たちが見過ごしてきた代償だから、レベルの高いパフォーマンスをやり続けることで、そのイメージを払拭していくしかない。 
きくち
悲しいけどテレビにも限界がある。さっきの直太朗くんの歌も、もちろんモニターから聴こえるのもいいんだけど、スタジオで聴いた生の歌にはかなわないのよね…。 
森山
それは難しいですよ。僕も今、ライブDVDを作ろうと思ってるんですが、ライブの120%の良さを伝えるのは、映像を通すとやっぱり難しい。それこそ「さくら」の合唱とか、今日の「夏の終わり」みたいなのを何曲か集めて、映像のためのライブをやろうと思ってるんですけど。お客さんもちゃんと入れて。
きくち
昔、桑田佳祐さんが KUWATA BANDで、同じようなことやったなあ。『ONE DAY』っていうライブ・ビデオなんだけど、そのためにスタジオだか倉庫に器材を組んで、観客も集めて。 
森山
本当ですか? 
きくち
当時(1987年)としてはバツグンに出来がいいんだけど…当初VHDしか発売されなかったから、そのためにデッキも買ったの。でも今じゃVHDって…。 
森山
あっはっは(笑)。 
きくち
しかも半年くらいしたらVHSでも同じものが発売されて(笑)。よかったら貸しますよ…デッキもいっしょに。 
森山
(笑)。テレビも、やっぱり映像と一緒にやるならその映像によってより楽曲の可能性を引き出せないとダメだと思うんです。これからも作品の良さを高いポテンシャルを持って伝えたいですね。それが僕たちの役目だと思うんですよ。

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