レポート
サンスポ 連載:きくち伸話
タイトルも見出しもわたしがキメたわけでは決してありません
オリジナル原稿 #75(04/04/09)


いい意味で音楽人に負荷がかかる新番組
『僕らの音楽』あすは直太朗


 先週からはじまった毎週土曜日夜の新しい音楽番組『僕らの音楽』。音楽のリアリティをそのまま伝える純粋でストレートな音楽番組です。これが内外にかなりの衝撃をもたらしたみたいで、いい意味でけっこうな波紋を呼んでいます。
 明日10日夜23時55分からの第2回放送の収録で、森山直太朗くんが鳥越俊太郎さんのインタビューに、「こういう番組ってみんなやりたいと思うんですよ。だけどココはやっちゃダメでしょ、っていうような、何かこうタブー的なにおいのするところに、正面切ってやろうって行ったのはスゴイと僕は思う。」と応えていましたが、そういう意味ではほんとうに今の時代になかった音楽番組、直太朗くんの言葉を借りるなら、「いい意味で音楽人たちにもすごく負荷のかかる番組」です。
 フジテレビのホームページ、番組の公式ホームページにも、ただ1回放送しただけの音楽番組とは思えないほど、たくさんの熱い御意見をいただきました。番組のホームページには掲示板が用意されていて、視聴者のみなさんもまるでスタッフであるかのように、番組についての真剣な議論がくりひろげられています。ただ1回の放送を観ただけで『僕らの音楽』は斯くあるべきだと語ってくれてるのはスゴイと思いますし、いち早く番組に深い愛情を持ってくれたみなさんに感謝します。ひとつひとつ、わたしたちも鳥越さんも興味深く読ませていただいています。
 そこで第5回まで発表している出演者について議論になっていて、音楽を愛するみなさんの熱い気持ちが一所懸命綴られています。特に3回目に出演の松浦亜弥さんの是非が論じられていて、ひいてはメジャーな出演者というのがどうか、とも疑問を投げかけられています。わたしはテレビの音楽番組に携わって20年目になりますが、そうやってきて思うのは「音楽に貴賤はない」ということ。わたしは売れていない音楽だけがかっこよくて、売れている音楽がかっこわるい、なんて全然思わない。たぶん音楽に絶対的な「いい」「わるい」は存在しなくて、あるのは個人個人のなかでの「好き」「嫌い」。そして個人の「好き」がたくさん集まった音楽が一般的に「売れる」わけで「いい」「わるい」というのはそういう相対的な評価の集積である、と考えます。ですから松浦さんを「アイドル」と切り捨てる、のは個人の「好き」「嫌い」であって、いわゆる売れている音楽全般を批判することも基本的にちがうと思うのです。わたしは逆差別はしない。売れてる音楽には支持される理由が必ずあります。わたしはできる限り偏見や先入観無く音楽を聴きたい。松浦さんを評価するのは、松浦さんのうたを聴いてからにしてほしい。『僕らの音楽』は自信を持って彼女をラインナップしました。かつて『FACTORY』という深夜のライブ番組のオープニングアクトで予告無く、千人のロックファンの前ひとりも彼女のファンがいないステージでうたった、緊張感あふれるうたはサイコーでした。ただ『僕らの音楽』をみなさんがはやくもこんなに愛してくれて、親身になって前向きな議論を闘わせてくれていることは制作者としてこのうえない幸せです。くりかえしほんとうに感謝しています。
 まずは明日の土曜日、夜23時55分からの森山直太朗くんを存分におたのしみください。咲き誇る夜桜を前にしての「さくら」、そして総勢61名の生演奏で初披露される月9ドラマのテーマ、ともに圧巻です。これがこの音楽番組のわたしたちの解答です

フジテレビ きくち
 

-- 戻る --
コピー禁止 このページに掲載されている写真はすべて著作権管理ソフトで保護され、掲載期限を過ぎたものについては削除されます。無断で転載、加工などを行うと、著作権に基づく処罰の対象になる場合もあります。なお、『フジテレビホームページをご利用される方へ』もご覧下さい。
著作権について