レポート

サンスポ 連載:きくち伸話
タイトルも見出しもわたしがキメたわけでは決してありません
オリジナル原稿 #122(05/03/11)


あすの『僕らの音楽』はこの1年間を振り返る 音楽番組の新しい提案できた

 明日夜11時半からの『僕らの音楽』は、昨年4月から1年間46回のヒストリーを2週に渡って振り返ります。
 フジテレビに入社以来、縁あってずっと音楽番組の制作に携わってきたわたしは、ここ数年ちゃんとした音楽をちゃんと放送することに飢えていました。一昨年の12月に大人のための音楽番組『FNS歌謡祭』が成功を取り戻し、その年の民放の音楽番組でただ1本20%を超えることができたとき、その気持ちは確固たるものとなりました。
 そんな昨年4月、SONYグループ1社の提供による「音楽番組」を制作することがキマったのです。SONYの1社提供番組といえば、他局ですが『世界遺産』。わたしたちは音楽の『世界遺産』をつくるのか、そう思うと胸は高鳴り、音楽番組を発信するテレビマンとしての正当な志が果てしなく沸き上がってきました。
 わたしは近代音楽番組の発明はこの世にただ2つ、『ザベストテン』と『HEY!HEY!HEY!』だけで、あとはその亜種と前時代からのいわゆるあたりまえな歌番組があるだけ、と感じていました。そして今、10年前の最後の大発明『HEY!』のその次の発明の時期がやってきていると考えたのです。
 コンセプトは「笑わない音楽番組」。かわりに音楽を聴いて微笑んでもらおう。泣いてもらおう。主役はアーティストとその音楽。司会とかメインとかレギュラーとかそういうひとでなく、主役から言葉を引き出すインタビュアーを用意しよう。適役はいろいろ考えられましたが、悩み抜いた末、「誰誰の番組」と呼ばれない音楽番組をめざして、音楽や芸能とはおよそかけ離れた世界から鳥越俊太郎さんにインタビューをお願いしました。
 鳥越さんは期待をはるかに上まわる仕事をしてくださいました。わたしが番組を語るときに必ず使う「音楽のリアリティ」という言葉は「ニュースの職人;鳥越俊太郎」の妥協のないインタビューから受けとったメッセージです。発明と呼ぶにはまだまだ届きませんが音楽番組の新しい提案をできたこと、そしてとりあえず世間に「大人の音楽番組ブーム」を呼び起こすことができた、と自負しております。
 この1年、音楽を愛する多数のみなさんから過分なお褒めの言葉を多数いただき、それが、『僕らの音楽』を曲げないパワーとなりました。そしてなにより、テレビ番組として視聴率的にまだまだ立ちゆかない『僕らの音楽』を守ってくれている、スポンサーのSONYグループさんと、わたしの愛すべき会社であるフジテレビには、ほんとうに感謝に堪えません。フジテレビに入社して音楽番組に携わってこれて、ほんとうによかった。
 4月1日から金曜の夜23時半に引っ越して『僕らの音楽』の2年目の挑戦がはじまります。ここからまた、民放音楽番組の奇跡の最後まで、どうかみなさんに御一緒いただけたなら、しあわせです。
 またいつかきっと、音楽番組と音楽業界に、次の春がやってくるまで。

フジテレビ きくち

 

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