レポート

サンスポ 連載:きくち伸話
タイトルも見出しもわたしがキメたわけでは決してありません
オリジナル原稿 #115(05/01/21)


『パッチギ!』に学ぶ音楽とドラマの共存

 ある意味ある種のライフワークともなっておりますCS放送 フジテレビ721の音楽番組「フォークデイズ」の収録のあとのミニ新年会で、坂崎幸之助さんからお誘いを受けまして、井筒和幸監督の『パッチギ!』の試写を、坂崎さんのとなりで観てきました。坂崎さんから「絶対にあたまから観たほうがいい」と念を押されていたにもかかわらず、案の定お仕事の都合で後半1時間余しかまにあわなかったのですが、それでも存分にたのしめて、充分に泣ける映画でした。
 坂崎さんのFMラジオ番組からもりあがって、34年の時を経て平成14年に発売されたかつての「発売中止レコード」にしていわゆる「放送禁止歌」だった「イムジン河」がこの映画のテーマ。わたしも昨年一昨年坂崎さんと開いた「お台場フォーク村」で、なぎら健壱さんとの「日本放送禁止歌大全」という企画をやってから、いわゆる「放送禁止歌」というものをずいぶんと勉強しました。ですから映画のために井筒監督から取材を受けた坂崎さんから聞いていた、この『パッチギ!』はものスゴイたのしみにしていたので、あんな素晴らしい作品に仕上がっていて感動しました。半分しか観てませんけど、残念。明日から公開のようですから、是非ともなるべくはやく映画館で前半から通してたのしみたい、と思っています。
 そんなふうな問題意識とか、とはまた別の意味合いでも、わたしがこの映画にハマったのが、音楽のつかいかたが絶妙、というか音楽とドラマとの共存のしかたがサイコーに上出来だったところ。昨年観た数少ない映画のなかで『スクール・オブ・ロック』という、こどもバンド根性ものがわたしのいちばんで、2廻し続けて観て2度とも泣けたのですが、それに全く劣らない。そのうえに「イムジン河」ですから。テレビで音楽を届けるお仕事の人間として敬服しました。フジテレビ杉田成道監督の平成3年の作品『1970僕たちの青春』が、わたしのなかではドラマにおける音楽の在りかたの最高傑作だったのですが、まさしくそれに匹敵しました。後半しか観れてないんですけど(笑)。
 瑞々しい俳優陣も好感がもてました。ヒロインのリ・キョンジャ役;沢尻エリカさん。フジテレビビジュアルクイーンだったんですね。一昨日まで気づきませんでしたけど、魅力的な女優さんです。塩谷瞬くんもいい味でした。「イムジン河」伝わるものがありました。比喩じゃなくって涙が出た。いつも言いますけど、うたは上手い下手じゃない、です。オダギリジョーさんの「悲しくてやりきれない」もよかった。加藤和彦さんとザ・フォーク・クルセダーズに、あらためて感動をいただきました。
 音楽って素晴らしいですね。軽々と時空を超える。そしてもちろん、映画って素晴らしい。
 わたしたちもしっかりていねいに、テレビ番組つくらなきゃ、ってわたしたちの仕事の意味合いを再認識しました。

フジテレビ きくち伸
 

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