
洗足池のほとり、花屋敷と呼ばれる古い洋館風の家の奥の間には、左の目から涙を流す怪しげな観音像が安置されている。
昭和の初め頃から現代まで、この花屋敷に暮らす母親と娘二人の、五十数年にわたるおそろしく不気味な呪いの物語。
久世光彦ワールドの真骨頂。CS初登場!
九歳の姉桜子と五歳の妹桃子は母親笛(加藤治子)の語る怪談に身を震わせながら、ある夜訪ねてきたソフト帽の男と笛が、観音像のある奥の間で何をしたかをのぞいて見てしまう。次の朝、男の姿は消えていた。
それから二十四年後、車椅子の桜子(田中裕子)と派手好きな桃子(松田美由紀)姉妹は、相変わらず母の笛と花屋敷に暮らしていた。ある日、仏像研究家の青年・葛原龍(根津甚八)が、涙を流す観音像を見たいと花屋敷にやってきた。笛は屋敷に男が出入りするのを喜ばなかったが、龍は平気で通ってくる。やがて桜子は龍に惹かれていった。関係を持つ二人を見た桃子は、意識的に龍に接近する。実は龍は、この花屋敷から最後の手紙をくれたまま消息を絶った友人弓彦の行方を探ろうとしていたのだ。
その龍を魔の地下室に誘う笛。そして龍もそれきりいなくなる。それからさらに二十余年。年老いた笛、桜子、桃子。花屋敷の観音像のふっと赤く燃える目、開かずの間の地下室の秘密。五十数年の間に次々に消えた男たちはどこへ行った?不気味な母娘の正体は?
田中裕子、松田美由紀、加藤治子、根津甚八、イッセー尾形