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#06 白玉売り役 さだまさしさん

2016.09.30掲載

生粋の『鬼平犯科帳』ファンとのことですが、オファーを聞いた際のお気持ちは
もっとすごい『鬼平犯科帳』ファンは、たくさんいらっしゃいますが、ファンの一人として作品に関わり合えるのは幸せなことですね。スタッフから“出ます?”と聞かれたので、“出るに決まっているだろ!”と即答しましたね(笑)
実際に出演した感想
ちょっと通りすがるとか、その程度だろうなと思っていたんですが、セリフがあるとは(笑)。まさか、吉右衛門さんと絡むお芝居をさせていただけるなんて想像もしていないですから、台本をいただいた際にはちょっと震えましたね
今回、白玉売りという役どころでしたが
そうですね。白玉売りって、どんな売り声なんだろうと思って、柳家三三に紹介してもらった、売り声名人の宮田章司先生の所に行ってきました。先生から、白玉売りの声や、白玉の作り方を伺いました。ですので、撮影はイメージ通りに行うことができました。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、1カ月ほど役の準備をさせていただきました(笑)
入念な準備をされたんですね
やっぱり、『鬼平犯科帳』シリーズのクオリティを知っていますので。僕がメガネをかけて出てくるだけで笑われたりすると、ムードを壊してしまうという恐怖心がありましたから。でも、メガネをかけないと、なじみ過ぎてしまって、誰だか分からないということも事実ですので、今回のような格好になりました
生粋の『鬼平犯科帳』ファンのさださんにとって、『鬼平犯科帳』の魅力とは
勧善懲悪が基本ですけど、池波先生が他の小説でも書かれている通り、良い人間がふと悪事に手を染めたり、本当は悪いヤツなんだけれどつい良い行いをしてしまったりと、人間が善悪のはざまで揺れる不可解さというものを、全部飲み込んでいる鬼平という存在が魅力的ですね
『鬼平犯科帳』シリーズの中で、好きなキャラクターやエピソードは
“雲竜剣”は、好きなエピソードの一つです。それから、“本所・桜屋敷”は、何とも胸がキュンとするような話が随所に出てきますよね。密偵たちも、それぞれ本当にいろんな色合いがあって、一人として欠けてほしくないという気持ちです。個人的に気持ちが入るキャラクターは、彦十ですかね。彦十は、長谷川平蔵の不良時代の仲間ですが、彼の存在が『鬼平犯科帳』という侍や密偵の話を、ものすごく庶民に近づけ、柔らかくしてくれているように思います。考えてみると、『鬼平犯科帳』の密偵たちは、真田幸村の真田十勇士のようですね
『鬼平犯科帳』がファイナルを迎えることについて
本当はもっともっと続けてほしいんですが、どこかで幕が引かれてしまう。さみしいですけど、きっと生きるということはそういうことなんでしょうね。その覚悟をもって、『鬼平犯科帳』を見送るしかないでしょうね、残念ですけど
そのファイナルを、現場に立って見送る気持ちについて
『鬼平犯科帳』ファンとしましては、大好きなプロ野球選手の引退試合を、ダッグアウトの中で見せていただいているようなものですね。僕は、『鬼平犯科帳』のダッグアウトの中に入らせていただいたんですね、すごいことですね、送りバントもできなかったかもしれませんけど(笑)。例え、数秒間でもファイナルの作品に出させていただいたことは幸せ過ぎて、全国の『鬼平犯科帳』ファンの皆さまに申し訳ない気持ちです