NONFIX過去放送した番組

日本人の生活には欠かせない国民食である「ラーメン」。多種多様なラーメンが日本全国に存在し、「ラヲタ(ラーメンオタク)」と言われる人々が人気店の前に長蛇の列を作っている。このラーメン人気は国内にとどまらず海外にも波及しており、この数年でミシュランに掲載される店まで登場。海外では日本の有名店を集めたガイドブックも販売され、それを片手に海外から日本のラーメンを食べにくる人がいるほどにまで成長した。今やラーメンは、寿司や天ぷらに並ぶ、日本の食文化の代表的な料理となっている。

そんな日本のラーメン業界において、誰もが一目置くトップランナーであるラーメン店に完全密着し、「人気の裏側」「味の秘密」「店の信念・哲学」「店主の独創性」など、その店の魅力を徹底的に深堀りする、かつてないラーメンドキュメント『ドッキュ麺』。2016年3月には、日本で初めてラーメン店でミシュランの星を獲得し、一躍時代の寵児となったラーメン店「Japanese Soba Noodles 蔦」とその店主大西祐貴氏を取り上げ、蔦のラーメンの秘密に迫った。

そして今回取り上げるのは、千葉県松戸市にお店を構える「中華蕎麦 とみ田」。ラーメン業界の最高権威といわれる某誌のラーメン大賞で前人未到の4連覇を達成し、昼11時開店にもかかわらず整理券を求めて早朝から行列ができる。そしてついには、「とみ田」を題材とした映画が作られるほど。まさに名実共に「日本一のラーメン」と称される名店だ。

その「とみ田」を切り盛りする店主が、富田治。茨城県出身で、20代前半に「ラーメンの神様」と称される山岸一雄氏の「大勝軒」のラーメンに衝撃を受け、ラーメン職人を志す。2006年に「中華蕎麦 とみ田」をオープン。濃厚魚介豚骨つけ麺で、瞬く間に、2時間待ちは当たり前という大行列の人気店になり、現在系列店も合せて9店舗まで拡大している。

そんな「とみ田」本店が今年1月末に4ヶ月の改装工事を経て、リニューアルオープンした。現代ラーメン業界の最高峰に位置するお店として、高まり続けるお客さんのニーズに応えるべく、リニューアルには富田の徹底したこだわりがあった。ラーメンの味はもちろんのこと、お店の内装や接客に至るまで、富田の目指す高みとは。

ラーメン店が支店を増やし事業を拡大すると、よく聞くのは「店主が経営に回って、厨房に立たなくなる」という話。「職人としての魂は失われ、経営者になってしまった」というわけだ。しかし、富田は支店が7店舗に増えた今でも常に本店の厨房に立ち続け、職人として在り続けることにこだわる。そこには富田がラーメン職人を目指すきっかけとなった「ラーメンの神様」山岸氏の教えがあった。

その一方で、富田は次々と支店を増やし、さらに、数億のお金をつぎ込み松戸にラーメン工場を作り、とみ田系列のお店はもちろん、系列店ではないラーメン店のスープや麺までも製造・販売している。その年商ナント15億。

片や「職人」としての矜持を保ちながら、片や「経営者」としてもしっかり成功を収める。ラーメン界において、このスタイルでここまでの規模を確立できているのは間違いなく富田だけだ。富田はそんな自分の成功に対して「ラーメン店主を目指す若者に夢を与えたい」と言う。ある意味で「ラーメン店主の理想形」とも言えるこのスタイルを、確立し維持し続けているその秘密に迫る。

唯一無二のスタイルでラーメン業界のトップを走り続ける富田に密着することで、ラーメン店にとどまらず、飲食業界全体の未来につながるヒントが見えてくる。

■編成企画 赤池洋文(フジテレビ)
■ディレクター 松本桂汰
三村堅一
■プロデューサー 大内登
■演出 住田崇
■制作 SWEAT