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「料理」とは「化学」だ!これが、現在の最先端調理法。
今年2月、日本でアジア初となるイベント「世界料理サミット」が東京国際フォーラムで開催された。
世界のトップシェフ21人が集い、普段見ることの出来ない匠の技をステージ上で惜しげもなく披露された。

メロン果汁に、ある化学物質を入れると、果汁がキャビアのような粒に。
赤カブのジュースの中にある化学物資を入れると、ムースの赤カブに。
一品一品がまるでマジック。トップシェフが生み出す料理は味覚はもちろん、視覚、嗅覚を楽しませる「化学」と「創造」を駆使したエンターテインメントなのだ。

スペインから料理界のピカソと呼ばれる巨匠、フェラン・アドリア氏。
そしてシェフとしては致命的な舌癌を患い味覚を一時的に失いながら、昨年、米国のベストシェフに輝いたグラント・アケッツ氏らはどんな技で私たちを魅了してくれるのか。



料理界にその名を轟かせるシェフたちの競演。そのなかで、唯一無名の日本人シェフ、成澤由浩氏がエントリーした。成澤シェフは自分の料理哲学を確信するために舞台に上がったのだ。
世界に認められなければ、自分のすべてが否定される…。
成澤シェフのテーマは「自然」。日本独特の四季がもたらす自然の恵みを食材に使うこと。そして、長野県の大地に足を運び、選び抜いた食材は「土」。
「土」を使った料理で表現するのはどんな一品なのか。
本番まで残された日数はわずか、成澤シェフの闘いが始まった。

その頃、巨匠・フェラン氏はあらゆる和食に舌鼓を打っていた。
寿司や串焼き、果ては駄菓子まで。
フェラン氏曰く「私の料理のヒントは和にある」という。
実はフェラン氏をはじめ多くのトップシェフの料理の発想の源は和食と和の文化にある。フェラン氏が来日した際、必ず訪れる店が和食の最高峰といわれる「壬生」。会員制のシステムをとり、世界で300人しか足を踏み入れることが許されない店である。今回、閉ざされた壬生の世界を初めてカメラがとらえた。
客は食する前に神に祈りを捧げ、身を清める。日本古来の伝統が息づく一方で料理は実に斬新であり創造の限りを尽くした逸品であった。
そして、アケッツ氏は京都に出向き、茶の世界を学んだ。
和食、和の文化は世界のトップシェフたちが奏でる「創造」の世界にどのような影響をもたらしているのか。

ついに「世界料理サミット」本番を迎えた成澤シェフ。未知なる食材「土」をステージ上で調理、やがて、恐ろしいまでの計算と工夫がなされた渾身の一皿「土」の料理が世界のトップシェフたちの目の前に。
そのとき、成澤シェフの創造の料理は世界をうならせることが出来るのか。