「財源がないから(支給)できないと。悔しかった」
(大城渉さん)
一方、名護市の福祉担当者は、取材に対して、ヘルパー支給時間の決定に財政的な要因はないと否定します。
(大城渉さん)
「ないです、基本的にはございません」(名護市福祉事務所・宮城幸夫所長)
「障害者自立支援法の施行後は、むしろ地域格差は開いています。
国はヘルパー支給の基準を示さず、それぞれの自治体で判断して下さいという姿勢のため、判断の仕方は自治体ごとで多様になるし、財政事情に影響を受ける。
これでは、地域格差が開いて当然です」
(※大城さんは一日14時間のヘルパーを自費で雇う経済的余裕はないため、昼間は約2時間おきの体制にしていた。
つまり、起床の手伝いをしたあと、ヘルパーは退出、次は昼食の時まで1人きりアパートの部屋にいる。
その間は水も飲まず、トイレを我慢し、電話もかけられないない)
追い詰められた大城さんは、人権問題に取り組んでいる岡島実弁護士や、自立生活センター・イルカなどの助けを得て、
名護市の決定を審査するよう、沖縄県に対して正式に求める手続きをとりました。
ニュースジャパンが独自に行った調査では、大城さんと同様に障害者自立支援法に関する不服審査請求は、
全国32都道府県で起きており、合計で475件と判明。障害者と自治体の間に大きな認識の溝が存在していることが浮き彫りとなりました。
大城さんにとって、就寝中のヘルパーは生死を左右する重大な存在です。
筋ジストロフィー『ドゥシャンヌ型』は、特に心肺機能が弱く、横たわると呼吸が苦しくなるため、
就寝中は人工呼吸器が必要となるからです。
主治医の末原雅人医師(国立病院機構沖縄病院・統括診療部長)は、大城さんについて『終日の介護を要する』と診断、
さらに沖縄県に対して、次のような意見書を提出しました。
『更衣,摂食,排泄、移動、人工呼吸器の着脱など全てに介助を要する。
以上が終日の介助を必要とする理由である』
『(人工呼吸器)その装着や、機会に不都合が生じたとき、停電時の対応など、
介護者が身近にいなければ、そのまま呼吸不全死に至るか、あるいは(中略)心臓が
低酸素に耐えられず、急性心不全死、不整脈死に至る可能性がある』
しかし、名護市は大城さんの就寝中のヘルパー支給時間を30分間と決定していました。
その根拠となっているのは、一度だけ実施した夜間調査です。
夕方から翌朝まで、名護市の福祉担当職員が部屋にいて、ヘルパーの様子を観察したというものですが、
担当職員に障害者を介護した経験はないことから、どこまで実情を把握できたのか、疑問が残ります。
大城さんの就寝中はどのような状況なのか、消灯から起床までアパートの部屋で様子を観察させてもらいました。
午前0時 6分 〜消灯
午前0時39分 〜最初のトイレ(ベッド上で尿瓶を使用)
午前0時44分 〜左向きに体位交換(寝返り)
背中をさすり、叩く(痰のため)
午前0時48分 〜人工呼吸器のマスク
大城さんは、翌朝8時に目覚めるまでの間、体位交換(寝返り)が10回、トイレが3回、
人工呼吸器の調整が7回、このほか、水分補給や痰詰まりの助けなど、就寝中もヘルパーを
必要とする場面が何度もありました。
しかし、驚くべき結果が待ち受けていました。
裁決を受けて、名護市が改善したのは、就寝中の介護時間を一日30分追加したのみだったのです。
「行政の人は障害者の立場に立っていないから、どんなに苦しいとか訴えても、サポートしてもらえない」
大城さんは、岡島実弁護士や仲間の応援を受けて、今月にも沖縄県に対して名護市の決定を見直すよう、
再び審査請求する決意を固めました。滝川キャスターの問いに、彼が語る将来の夢とは・・・。
「訴えが通じれば、すぐにでも大学に戻りたいですか?」
「戻りたいです。法律の勉強を生きているうちにやりたい」
「戻りたいです。法律の勉強を生きているうちにやりたい」
筋ジストロフィー『ドゥシャンヌ型』は、20歳を過ぎると、肺炎や呼吸不全、心不全などで
患者の多くが亡くなりますが、近年は人工呼吸器の使用などによって延命も可能になっています。




