
高平氏は「バラエティーの原点はアメリカのヴォードビル(寄席芸)など歌とコントが主体の“バラエティー・ショー”。今その形態を残すものは『SMAP×SMAP』など数少なくなった。歌よりもコントだけの方が面白いし、作り手に音楽を作る素養がなくなったのでは」と指摘。稲増氏は「バラエティー的演出は広がっている」と話した。BPOの意見書は「物分りのいい親父のようで、もっと厳しく言った方がいい」。「5つの嫌われる瞬間」の指摘には、「下ネタは客が引く。テレビという公共の場で嫌がられることをやる必要はない」と語った。
50年間制作現場で活躍してきた今野氏は「映像制作を志す学生の中でテレビの魅力が薄れている。どうせ苦労するなら映画やアニメなどの作家性を認めてもらえる分野を志す風潮がある」と指摘。しかし「作家性が無いため今までにない形で作れるのがテレビの魅力」で、今のテレビ番組はその可能性と自由さを伝えられていないと語った。さらに「視聴者のニーズを飛び越え、想像できないようなものを見せる」のがテレビのプロだと熱く語った。松野氏もテレビ制作現場は3Kの象徴のように見られるが「辛くてももっと面白いものがある」と語った。
巨人戦ナイター中継は今年32試合に激減、平均視聴率も10%に低迷。プロ野球の取り上げ方について江本氏は「一過性のものに飛びつく社会風潮の中で美談ばかり取り上げ、批判精神がなくなった。批判することでスター選手も育ち、野球も深みを増す」と指摘。「フジテレビは『すぽると!』が野球を取り上げなくなったが、野球は毎日3万人が観戦するような魅力あるコンテンツ。制作者が愛情を持ち、継続した放送をしてほしい」と話した。稲増教授は多様化するスポーツ中継の中で野球をいかに工夫して見せるかという時代になったと話した。
奥氏は若者を一括りにしてはいけないとして、76世代、86世代を説明。1976年前後に生まれた76世代はパソコンの成長と同時期に青春を迎え、ネットもメールもパソコンを使い、You Tubeなどの映像メディアを好む。一方、86世代は中学時代から携帯電話に親しみ、テレビもネットもメールもケータイを主体に使う。86世代はテレビの話題を、放送と同時に別の空間にいる友人とケータイでやりとりし、会話するという。こうした視聴が今後のテレビに影響を与える。今後の番組制作ではどこで、誰と、どのように見ているかを考慮すべきと、奥氏は示唆した。