弟・達郎(佐藤隆太)がいなくなったことで、キャリアウーマンの陽子の生活にも影響が出てきますね。まずは、陽子の印象からお聞かせください。
恐らくですけれども、陽子は挫折を知らない人ではないかと思っています。その彼女の人生のなかで弟が先にいなくなるというのは、予想だにしないことで、ひとつの挫折だろうと思うんです。だからこそ、執着して直美(広末涼子)と加奈子(内田有紀)を追いかけていくのかな、という気がしていて。そして、陽子自身もそうですし、陽子や達郎が育った家庭も挫折を知らないエリート一家で、そういう人たちならではの自信が、ドラマのなかではいやらしく見えることが正解なんだろう、と思っています。陽子には陽子なりの正義があって直美と加奈子を追い詰めていきますが、疎まれ役になるのは不可欠なんだろうな、と感じています。
やはり、疎まれ役には戸惑いがありますか?
クランクインする前は、「覚悟を決めて演じよう」と思っていたんですけど、始まってみたら怖くなってしまって(笑)。弱いですね。やっぱりちょっと嫌われたくないな、という気持ちが出てきちゃいました(笑)。ですが、私が思いきって追い詰めれば追い詰めるほど、直美と加奈子は気持ちよく逃げられますし、視聴者の方もそこを期待していると思いますので、頑張りたいと思っています。
他者に頼らず自分の足で真相を突き止めようとする陽子の行動をどう感じていますか?
家族のためという意味では納得のいくことですよね。私自身も割とパッと動いてしまう人間なので、気持ち悪いことを気持ち悪いままにはきっとしないだろうな、と思います。陽子と達郎はふたり姉弟だからこそ信頼し合い、尊敬し合っていたんだろうと思いますし。
達郎にとって陽子は、自分よりも先に成功を実現させた憧れの存在だっただろうと想像しています。ですから、達郎が殺害される日の夜に、陽子に電話しているのも、あの姉弟ならではの距離感なのかな、と思いました。ただ、ふたりの関係はそこまで描かれていませんので、その部分は現場で監督や佐藤さんと相談しながら、アドリブで空気感を作ったりしました。例えば、2話でふたりで飲んでいるときに、達郎が「これで姉貴も正真正銘のおばさんだな」と言い、陽子が肩をパンと叩いて「うるさいよ」と返すシーンがあるんですが、その最後に、陽子が達郎の肩の周りを触って「あんた、また太ったんじゃない?」と言っているんです。ああいうやりとりも、家族だからこその距離感かな、と思いましてアドリブでやらせていただきました。
そして、6話からは、陽子の追究がさらに強まっていきますね。
やっと陽子が動き出したという感じではありますし、陽子が動けば直美と加奈子も逃げるという、ドラマのエンジン的な役割になっていくだろうな、と思っています。これからの陽子は、今までの仕事ができる女性とはまた違う、より攻撃性の強まった役になっていきます。頭が切れるはずなのに、思い込みで動いてしまうところもありますし、今後、彼女がミスリードして話が意外なところにいったりもします。そうやって、陽子が振り回されるのと同じように、視聴者のみなさんも振り回されてだまされて、最後まで楽しんでいただけたらいいな、と思います。
広末さん、内田さんとはいかがですか?
私の撮影初日におふたりにお会いしたとき、広末さんと内田さんは(スタジオ前の)前室で、和気あいあいとお話をされていて、その空気感が完全に直美と加奈子だったんです。そこに後から入ったものですから、「あ、このおふたりの間には入れないな」という、いい意味での疎外感がありました。それを陽子としてはありがたく感じたのを覚えています。おふたりは、真剣にこの作品に向き合っていらっしゃって、現場でよく「このシーン、こんなふうにしたらどうですか?」と提案していただくことがあります。画面で見たら、小さなことかもしれないのですが、やっている私たちは、ちょっとした違和感でも払拭することで、気持ちがスムーズに乗っていくものなんです。そういう細かい積み重ねを大事にできる現場にいられることがとても楽しいです。
この作品は、原作とは違うオリジナルの展開もありますね。今後の展開で注目していることはありますか?
これは明らかに逃れられないだろうという状況で、直美と加奈子を前にした陽子がどういうカードを出すのか、というのはとても楽しみではあります。実は、そこはまだ台本をいただいていない部分なのですが…。それから、物語の最後が、どこに向かっていくのか、というのも知らされていませんが気になります。直美と加奈子なのか、あるいは正義なのか、作品としてどちらを守るのかというのは、私たちも分かりませんので、演じていてドキドキします。
最後に、展開を楽しみにされている視聴者のみなさまにメッセージをお願いいたします。
女優としては、この役は疎まれて正解だと思いますので、それでいいのですが、最終的にはぜひ嫌わないでいただきたいな、と切に願っています(笑)。直美と加奈子の側について見る方もいれば、陽子と一緒にふたりを追うように見る方もいらっしゃると思います。内容は気楽なものではありませんが、多面的に見られるドラマとして、エンターテインメントを見る気持ちで楽しんでいただけたら嬉しいです。