無痛

10/07 スタート
白神陽児役 伊藤英明さん

『久坂部羊さんの原作『無痛』は読みましたか?

久坂部さんは本当の医者なので、すごく生々しくリアリティーのある医療サスペンスが描かれていました。映像化するには残酷なシーンもありますし、僕はまだ読んでいないんですけど、続編もあるんですよね。『無痛』では話が決着していない登場人物たちがいるので、ドラマはどう描くのかな? と、思いました。ドラマにはオリジナルストーリーも盛り込まれるので、すごく楽しみになりました。

撮影はいかがでしょう?

現場をやればやるほど、楽しみが増えています。西島(秀俊)さんとご一緒出来たのがすごくうれしいですし、佐藤(祐市)監督とも初めてなんですよ。佐藤監督は“すごく良い監督”と知っていたので…。

西島さんと佐藤監督は『ストロベリーナイト』も一緒でした。

とても面白い作品でした。『無痛~診える眼~』は、『ストロベリーナイト』と共通するような面があります。1ファンとして、佐藤監督はこういったドロドロしたサスペンスとか、生々しい作品をエンターテインメントに昇華させるのが上手な監督だと思うんです。今回も、一家殺人から始まる冒頭を1話のように描かれるとは思っていませんでした。犯因症の兆候などもCGでわかりやすく作っていらっしゃいましたね。

ドラマの白神は、どのように作ろうと思われましたか?

原作を読んでない人に、最初からどんな人間かが分かってしまったらつまらないと思うんです。原作でも描かれる“医者としての信念”は、ちゃんと見せたいですね。白神は為頼と同じ能力で病院を大きくしたという背景も、前半で出さないといけないんですけど、それが非常に難しいんです。もちろん、プロデューサー、監督、出演者も原作を読んでいるので、現場でみなさんと話し合いながら進めています。1人で考えるのは難しいです。監督からは、白神の野心を出すために、人と話す距離が近いとか、身振り手振りを大きく交えて会話するようにして欲しいとアドバイスを頂いたんですけど…。でも、そういう芝居はあまりやったことないから難しいです(笑)。

12ページもあるシーンのセリフも、伊藤さんは現場では最初から台本を持たずに演じられるそうですね。

白神は、自分の思いを演説のようにしゃべる役なので、どんな状況でもスラスラと言えるくらいまで頭に入れないといけないのかなって思ったんです。ちゃんと体からちゃんと出てくるように見せたいですから。でも、今回の役者さんは、みなさん現場では台本を持ってないですよ。

伊藤英明さん

実力のある役者さんが多い現場ということですね。

とにかく、西島さんが“本物感”のすごい役者さんですから。西島さんと向き合ったときに、自信を持ってと言うか…淀みなく、役になっていないと失礼じゃないですか? 僕はドラマのペースや着地点が見えないのが苦手なタイプなんです。でも、西島さんと共演させていただいて、先をあんまり考えずに、今この瞬間…シーンをキチンと表現することの面白さを改めて感じています。

1つ1つのシーンが大切だと…。

はい。大事に大事に…。もちろん、どんな作品にも捨てて良いシーンはありませんけど…。それを、もう一度はっきりと体に刻み込めるような4か月になりそうだと思います。

収録現場の雰囲気はいかがですか?

楽しいですよ。スタッフ、キャスト、みんなに熱があります。この間共演させて頂いた石橋蓮司さんが“熱は絶対に見ている人にわかる。だから熱だけは持ってやった方がいい”って教えて下さったんです。そんな“熱”のある現場ですね。今回も熱を持ったすばらしい人たちと仕事をさせて頂いています。自分が生きていく上でも実になるところにいられるのは、すごく幸せですよね。

伊藤英明さん

伊藤淳史さんとは、久しぶりの共演ですね?

淳史くんは15年ぶりに会ったんですけど、癒し系で全く変わってなかったです。映画『海猿 ウミザル』の時は、ホントに合宿生活みたいな撮影だったから、高校時代の同級生に会ったような感じですごく嬉しかったです。

今回、伊藤淳史さんは刑事、早瀬役です。

原作の早瀬は年齢も上で、僕の中では山崎努さんの若いころみたいなイメージでした。職人的な刑事ですね。それを淳史くんがやると、どうなるのかが楽しみです。あまりにも真っ直ぐで、自分の正義は決して捨てない刑事。原作の早瀬の若いころみたいな感じで、すごくいいなと思うんです。淳史くん自身の真っ直ぐさとか正義感に重なる感じもします。柔道黒帯だとか、肉体的に強いっていうイメージは淳史くんにはないですけど(笑)。

タイトルの『無痛』についてはどのように思われますか?。

無痛の人って、それがどういうことかもわからないんでしょうね。痛みを感じないっていうのは、便利なようで自分の命も危険にさらしてしまいます。僕が演じる白神は、無痛に対してすごく執着があるんですけど…。すごく深いテーマですよね。無痛が良いのか悪いのか…。僕の知り合いでガンになってしまった人が、最後は手の施しようがなくなって…。もう痛みとしか向き合うことしか出来ないんですよ。だから、早く楽になりたいと。病気じゃなくても、人生の最後は痛みを感じずに安らかに逝きたいっていう人は多いでしょうし。ドラマでそんな無痛をどう描くのかも楽しみです。

伊藤さんご自身は痛みに強い方ですか?

弱いです。子供のころ、体が弱かったから注射をたくさん打たれたこともあるかもしれません。“痛い”とか、“ドキッ”とするものは苦手です。でも、ドキッとさせるのは好きです(笑)。

刑法39条(犯行時に心身喪失であった場合罰しない。心身衰弱は減刑)も描かれますね。

その是非に関してはわからないです。39条を逆手に取って、最初から人を殺そうと思って犯罪に走る人もいます。すごく怖い世の中だと思うんです。でも、本当に病気の人もいるわけじゃないですか? そんな人が自分のやってしまったことに対して“僕はもう死刑にしてください”っていう人もいるでしょうし…すごく難しいですよ。でも、本来はそんなことを考えずに人に嫌なことをしちゃいけないし、殺してもいけないんです。そこなんですよ。“自分さえ良ければ”ってことなんですよね。法律で決まっていようが、なかろうが…。それが最近、ますますグチャグチャになっているような気がします。

ドラマでは、それをどう決着つけるかもありますね。

そうですね。でも、もしかすると決着はつかないかもしれませんね。演じる上では、そういったことも考えながら、エンターテインメントにしていかなきゃいけないっていう難しさも感じますし…。ただ、みなさんには肩の力をなるべく抜いて見ていただける作品になっていますので、最後まで楽しんでご覧いただければと思います。

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