Muscat~フジテレビの番組情報

2018.06.05更新

月9『コンフィデンスマンJP』長澤まさみが暮らす豪華部屋は、どう作られた?

随所に見られる美術スタッフのこだわり

フジテレビ月9枠で放送中のドラマ『コンフィデンスマンJP』。長澤まさみさん、東出昌大さん、小日向文世さんらをメインキャストに据え、毎回、豪華なゲスト陣が出演中です。脚本を担当するのは、これまでにも数々のヒットドラマを生み出してきたトップメイカーである古沢良太さん。コミカルなセリフの応酬に加え、最後の1分まで予測不可能な展開はさすがの一言。さまざまなギミックを凝らし、“詐欺師”たちの攻防をコミカルに描いています。

ここで忘れてはいけないのが、作品の世界観を作り上げている「美術スタッフ」さんたち。作品にリアリティが生まれているのは、彼らが陰ながら汗を流しているからこそ。では、そのこだわりぶりに迫ってみましょう!

ダー子たちのアジトであるホテルは、一から作られた豪華セット

作中で必ず登場するのが、長澤まさみさん演じる“ダー子”たちのアジト。普段は詐欺師としてあらゆる“仮面”を被っている彼女たちが、唯一素顔を見せる場所です。そこはとあるホテルの一室。ラグジュアリーな雰囲気たっぷりで、大金を巻き上げるダー子の手腕が滲む空間になっています。

広々としていて、まるでホテルのスイートルームのよう。ここはダー子の住まいでもあります。大掛かりな仕掛けを組んだがゆえに、結果として“儲けゼロ”ということもあるダー子ですが、実はそれなりに稼いでいるのかも? 実はこれはすべてセット。どこにも存在しないホテルなので、美術スタッフさんが一から作り上げたといいます。

部屋の中央に鎮座するのは、美しい曲線が印象的なこのソファー。さぞかし高いのでは!?と思いきや、これも大道具さんの手作り。これ、普通に販売できそうですけど……。

作中にはあまり映らないけれど、水回りもセンスバツグンのデザイン。テーブルの一角にあるのは駄菓子? そういえば、詐欺がうまくいったときの打ち上げでダー子が食べるのは、変わったものばかり。ポテトチップスに納豆をのせてみたり、フォアグラによっちゃんイカを合わせてみたりと、どれも一風変わった組み合わせ。ジャンクな味が好きなダー子らしさは、こういったセットの細かいところにまで反映されているんですね。

天井はどうなっているかというと……おっと、大きな穴が。これは照明用に空けられた穴とのこと。作品の世界観を損なわないようにしつつも、撮影のしやすさを考えられています。このバランスの妙は、まさに職人技。

大掛かりなセットだけで満足してはいけません。作品の世界観を作り出すのは、細部のこだわり。

あまり知られていないかもしれませんが、ダー子が滞在するホテルには「Gondorff」という名前がつけられています。これは本作と同様に“詐欺師”が活躍する名作映画、『スティング』に出演したポール・ニューマンの役名。

ホテルといえばアメニティグッズ。ということで、タオルやバスローブにも架空のホテル名が刺繍されています。

ダー子が愛するカップ麺にもこだわりが……

ここから覗いてみるのは、ダー子の生活空間。ダー子はアジト内の一部を自分流に模様替えしていますが、それがまた濃いんです!

あーあ、高級ホテルもこうなると台無し……。でも、それがまたダー子らしさ。目先のものにとらわれることなく、自分自身を追求する。それもまた、一流詐欺師には必要な素養なのかもしれません。

ダー子の居住空間の一角には、こんなものも。

どこにでもありそうなカップ麺。実はこれも美術スタッフが作り上げた賜物。パッケージは特殊印刷で出力した、オリジナルデザインです。でも、成分表記はリアルなものなんだとか。嘘の中に真実を織り交ぜる。詐欺師の真骨頂がここにも垣間見えます。

変装のカギとなる“カツラ”も手作り

さて、ここからはアジトを離れて撮影現場の裏側へ。本作の見どころといえば、やはりダー子たちの“変装”にあるでしょう。それに一役買っているのが、「カツラ」。

マルサ風、モンロー風、寿司屋の親方風と、多種多様なカツラが用意されています。ときには、第8話でボクちゃん(東出昌大さん)が被ってみせた、韓流スターをイメージさせるピンクのカツラなんてエキセントリックなものも。これらはカツラ制作のプロ、床山さんが準備しているそうです。

こちらは床山さんがカツラ制作をしているワンシーン。監督からの要望を取り入れながら、ほとんど一から作り上げます。

カツラを被るキャストに合わせ、「型どり」も。頭の大きさや形は人それぞれなので、ぴったりサイズを作るためにはきちんと型をとる必要があります。

型がとれたら、人毛や化繊の毛を一本ずつ刺していきます。特に気を使われているのが、つむじ部分。このつむじに刺した毛は、5cm四方でおよそ1万5000本とのこと。想像するだけでも膨大な作業に気が遠くなりそう……。

ときにはエキストラさんたちの分も用意。全10話の放送で用意されたのは、160ものカツラだったそうです。

本作の美術デザインで最も苦労したポイントは

最後に、『コンフィデンスマンJP』の美術デザインを手がけた棈(正式には木偏に青表記)木陽次さんに、デザイン時のお話を伺います。

――最も苦労した点を教えてください。

「メインセットは、ホテルのスイートルームです。けれど、台本には『ダー子色に染まっている』と書かれており、つまりダー子に私物化された部屋ということになるのですが、部屋全体を散らかしてしまうとホテルらしさが損なわれてしまいます。高級感の中に、雑然さをどう入れるのか。それに苦心しました」

――具体的にはどのように見せることを意識したんですか?

「背もたれの高い大きなソファーを大道具さんに作ってもらい、その背もたれを境界線にしました。背もたれの後ろ側はダー子の個人スペースにし、手前側には物を置かずにスイートルームの広さを強調しています」

――セット以外でのこだわりはありますか?

「ダー子スペースに置く小物にもこだわりました。彼女の性格的に、空間が乙女風、子ども部屋風にならないように注意しつつ、目立つようなものも欲しくて、大きなカエルのぬいぐるみを置いたんです。また、ソファーの背もたれの上にある、サングラスをかけた犬のスピーカーもこだわりの一品。さり気なく目立たせているので、注目してもらえればと思います」

「神は細部に宿る」という言葉がある通り、セットの隅々にまで気を配って作られている本作。ダー子たちが標的を騙す際、用意周到に準備をするように、本作の美術スタッフさんたちも、これでもか!とフェイクの世界を作り上げているんですね。本作は佳境を迎え、ラストに向けて盛り上がっていきます。画面に映るセットを隈なくチェックすることで、物語が何倍も楽しめるかもしれません!

ちなみに、こういった美術スタッフさんたちの知られざる汗の結晶については、「フジテレビジュツのヒミツ」にてさらに詳しく紹介されています。普段はあまり知ることのない、裏方スタッフさんたちの活躍ぶり、ぜひ覗いてみては?

文=五十嵐 大

『コンフィデンスマンJP』

<放送>
最終話:6月11日(月)21時~22時9分
<出演>
長澤まさみ/東出昌大/小日向文世

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。