2018.03.15更新
3月8日(木)、フジテレビアニメラインナップ発表会2018が開催されました。今年の4月で14年目に入るフジテレビのアニメ枠「ノイタミナ」、そして劇場アニメはもちろんのこと、今年はよりグローバルな世界に向けた新しいアニメ枠が創設されるなど、新情報目白押しです。
本イベントは、アニメファンとしてお馴染みのニッポン放送・吉田尚記アナウンサーが司会進行役を務め、LINE LIVE、YouTube Live、ペリスコープで中継される中、アニメファンの期待とともにスタート。
左から吉田尚記アナ、櫻木優平監督、石井朋彦プロデューサー、ナイアンティック川島優志氏
このイベントでの、重大発表として、新しいアニメ枠「+Ultra」の増設を発表。フジテレビの大多亮常務が登壇し、この新しい取り組みについて説明しました。「+Ultra」では、世界で高まる日本アニメの需要に応えるため、最初から世界を見据えたアニメをお届けする、とのことです。会場では『童夢』や『AKIRA』で知られるクリエイター・大友克洋さんがディレクションする「+Ultra」ムービンロゴも発表されました。
「+Ultra」の第一弾として、フジテレビなどが出資しているNiantic, Inc (以下ナイアンティック)とともに、「INGRESS」のアニメ化企画を進めていることを明らかにしました。ナイアンティックは、オンライン地図を活用した拡張現実ゲーム「INGRESS」や「Pokémon GO」を手掛けているアメリカの企業。大多氏によると、同社のジョン・ハンケCEOは日本のアニメファンなのだとか。「INGRESS」は、人の精神に影響を与える目に見えない物質“エキゾチックマター”を奪い合うゲームとして、2000万ダウンロード、200か国以上で楽しまれています。
2018年10月放送に放送される「+Ultra」の第一弾作品としてアニメ版『INGRESS』のPVも上映されました。そしてスペシャルゲストとして、制作を手がけるクラフターの監督の櫻木優平さんと、プロデューサーの石井朋彦さん、原案を手掛けたナイアンティックアジア統括本部長の川島優志さんが登壇。
アニメ『INGRESS』について、石井さんは「アニメとゲームと現実のイベントがリアルタイムにシンクロする新しいエンターテイメントを目指して、10月の放送開始に向けて制作しています」と今までにない新しい体感ができる取り組みだと明かしました。また、川島さんは、「今年、ゲームの新バージョンとなる“INGRESS PRIME”もリリースされる予定です」と話し、「様々なメディアやデバイスを活用し、今までにないINGRESSを目指してアニメ化にチャレンジしています」と語りました。
櫻木監督は、宮崎駿監督、庵野秀明監督、岩井俊二監督という巨匠のもとで仕事をしてきた期待の新人監督。「拡張現実エンターテイメントということで、アニメと現実が相互に影響を与え合うような仕掛けができたら、と考えています」と意気込みを述べました。
「INGRESS」を形にしてきたアメリカのクリエーター陣はハリウッド映画にも携わっており、そのスタッフがアニメ版にもシナリオから深く関わっているそうで、「日米共同プロジェクトといっても過言ではない」と川島さん。また、川島さんが預かってきたスタッフからの手紙には、「アニメは、魔法のような力で驚くべき世界を見せてくれる、素晴らしい力をもったメディアです。アニメには新キャラクターも登場します。このアニメがエキゾチックマターの秘密を伝え、INGRESSの持つ魅力を新しい人たちに届けてくれることを願っています」とアニメ化への期待が込められていました。
(C)「イングレス」製作委員会
左から、吉田尚記アナ、谷口悟朗監督、平川孝充CG監督
そして、「+Ultra」に関する発表第2弾として、2019年1月から放送予定の新アニメ『revisions リヴィジョンズ』が発表されました。PV上映のあと、スペシャルゲストとして『コードギアス 反逆のルルーシュ』や『プラネテス』で有名な監督の谷口悟朗さん、CG監督である株式会社白組の平川孝充さんが登場。”渋谷転送”という衝撃的なインパクトを与える本アニメについて、トークが繰り広げられました。
渋谷にいた人たちが300年以上先の未来へ飛ばされてしまう『revisions リヴィジョンズ』は、白組が得意とするモーションキャプチャー、セルルックを用いて制作しており、モブシーンもきちんと作りやすかった、と谷口監督。また、普通のアニメの打ち合わせに加えて舞台稽古が必要になってくる、という少し変わった制作スタイルなのも印象的だったと話していました。谷口監督は実写や舞台の経験もあり、そのあたりのノウハウも生かした作品となっているそうです。そして、こだわっているのはキャラクターだけではなく、「渋谷の主要な部分はCGに落とし込みました」と平川さん。
基本的な内容としては、災害もの、パニック映画などを彷彿とさせる内容で、渋谷内にいる人間同士の軋轢や、外の世界から起きてくる何かしらの災害と戦っていく、というようなストーリーが展開されるそうです。
(C)リヴィジョンズ製作委員会
株式会社ボンズ代表取締役 南雅彦氏
そして最後の紹介となる「+Ultra」第3弾は、2019年4月から放送予定の『キャロル&チューズデイ』。本作品のスペシャルゲストは、株式会社ボンズ代表取締役の南雅彦さん。企画自体は、監督の渡辺信一郎さんと『スペース☆ダンディ』の次の作品として考えていたものの1つだそうです。株式会社ボンズは、今年の10月28日でちょうど20周年。渡辺監督は音楽プロデューサーとしても活躍しており、音楽をテーマにした本作品は、そんな節目の年に贈るアニメとしてふさわしいと判断したとのことです。南さんは、「彼はアニメにおける音楽の使い方が印象的で、そのイメージが強く残る」と熱く語り、映像自体も音楽的でリズミカルで、「恐らく日本一ではないか」と絶賛していました。
そして繊細なタッチで魅了する、日清食品カップヌードルのCMでお馴染みとなった漫画家の窪之内英策さんがキャラクター原案を担当。オリジナル作品ということで一から作っていく中、世界中の人に感情やドラマが伝わっていくキャラクターとは、と南さんと渡辺監督で話した結果、窪之内さんに依頼することになったそうです。キービジュアルを見て、「見た瞬間わっと惹きつけられるような魅力がありますね」と司会の吉田さん。南さんは喫茶店での打ち合わせ時、窪之内さんに5人くらいのキャラクターを描いてもらったそうで、ほぼほぼその時点でキャラクターは即決。「感性が近く、とてもシンクロした」とのことです。また、脚本はNHK連続テレビ小説『カーネーション』などで知られている渡辺あやさんが、音楽は「マクロス」シリーズなど数々の大ヒットアニメ音楽を手掛けているフライングドッグが担当します。
そして、この超大作の主人公であるキャロルとチューズデイのボーカルは、なんと「キャロル&チューズデイ 全世界ボーカルオーディション」と題した、全世界を対象としたオーディションによって選ばれるそうです。全世界に向けたアニメということで、英語をナチュラルに歌える人を求めているため、この形式での募集に踏み切った、とのことです。HPは、日本語版に加えて英語版も作られていて、「どれくらいの応募があるか楽しみにしています」と南さん。最後は、「今までにないようなアニメーションを生み出していきたいと思って動いています。楽しみに待っていていただければと思います」とこの作品への熱い気持ちを述べていました。
(C)ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会
取材・文=月乃雫
掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。