Muscat～フジテレビの番組情報

現役最速ランナーの知られざる苦悩

１月21日放送の『スポーツLIFE HERO’S』は、１週間後に迫った大阪国際女子マラソンに向け最終合宿を行っている、陸上の安藤友香(あんどう・ゆか)選手に密着。昨年、すい星のごとく現れた女子マラソン界のニューヒロイン・安藤選手の知られざる苦悩に迫りました。

夢は、東京オリンピックで金メダル

安藤友香選手は、昨年３月に初マラソン(名古屋ウィメンズマラソン)にして、２時間21分36秒という日本歴代４位、初マラソン日本女子最高記録をたたき出した、日本女子マラソン界の期待の星です。安藤選手の原点、それはシドニーオリンピックで金メダルを獲得した高橋尚子選手でした。当時、小学１年生だった安藤さんは「すごくキラキラしていて、『いいな、すごいな』」と感じ、いつか自分もそういう選手になりたいと思ったそうです。同じ岐阜県出身である高橋さんは、安藤選手の憧れであり、理想のランナー。「『この人強いな』と思ってもらえる選手になりたい。東京オリンピックの女子マラソンで金メダルをとりたい」と語ります。

そんな安藤選手の特徴は、腕を下げたままほとんど振らず、上下運動の少ない通称「忍者走り」。所属クラブであるスズキ浜松ACの杉山一介コーチも「フォームがまったくぶれないですし、無駄のない、力を使わない走りができる。そういう感覚はすごい」と指摘するように、この忍者走りは、スタミナの消耗が少なくマラソン走法の“完成形”とも言われています。

しかし、「忍者走りで世界に勝つ」と挑んだ昨年８月の世界選手権で、安藤選手は本来の走りができず17位に終わりました。はじめて経験した世界の壁。「(世界トップ選手の)『行ってやる』っていう気迫をひしひしと感じました。(ペース変化など)細かい揺さぶりがある中で怖気づいてしまって。自分に弱さが出たんだと思います」と、振り返りました。さらに国内復帰戦となった東日本女子駅伝では、最後のトラック勝負で競り負けてしまいました。「こんな自分では戦えない」と、ふがいなさに自信を喪失。「どうしても、できない自分やできていない自分を見たくないですし、『こんなの私じゃない』って思いたいんですけど…」と思い悩むことに。

知られざる苦悩。過去という“もう一人の自分”

その後、大阪国際女子マラソンまで３週間となっても状態が上がらず、安藤選手は欠場も考えました。それを踏みとどまらせたのは、杉山コーチでした「一番良かったときを追って、自分の中で『こんなんじゃだ駄目だ』と思ってしまうところがある。名古屋ウィメンズは過去なので、今の自分の中でどう自分に勝つか」という言葉に、安藤選手は過去に縛られ、今から逃げようとしていたことに気づいたのです。合宿中、杉山コーチは「頭の中で『きつい、きつい』となってくるのは、しっかり切り替える。きつくていいんだからな。きつくて当然だから」「絶対あきらめない、ここは。苦しくても、たとえ遅れたとしてもあきらめなければ、絶対に前は来るから。何が起こるかわからないからな」と声をかけ続けます。

練習後の安藤選手は「今までだと、綺麗に走ろうとか、人から見られることを気にして、自分を作るじゃないですけど、そういう自分がいた。ぐちゃぐちゃになっても何でもいいから、しっかり粘ってがむしゃらに走るのが大事だと学びましたし、変われるのかなと思います」と、笑顔も見られました。本当に強いランナーになるためにーー安藤選手が己と戦う、３度目のマラソンが始まります。

番組情報

『スポーツLIFE HERO’S』

＜放送＞

毎週土曜　24時35分～25時15分
毎週日曜　23時15分～24時30分

＜キャスター＞

加藤綾子(日曜MC)
佐野瑞樹(日曜MC/フジテレビアナウンサー)
田中大貴(土曜MC/日曜チーフプレゼンター/フジテレビアナウンサー)
宮澤智(土曜MC/フジテレビアナウンサー)