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内村航平 激動のプロ元年

11月26日放送の『スポーツLIFE HERO’S』は、昨年のリオデジャネイロオリンピックで、悲願の団体金メダルと個人総合の２冠に輝いた体操の内村航平選手に１年に渡り密着した模様をお送りしました。

2016年12月、日本体操界初となるプロ転向を表明した内村選手。「体操をもっと広めたいとか、地位を向上させたいとか、自分にしかできないことだと思った」と、４年後に控える東京オリンピックに向け、新たな挑戦を始めました。各地で体操教室を開き、プロとして子供たちに体操を教え、内村選手が監修し新しい体操マンガを作るプロジェクトも始動。「(内村伝説を)もう一章作りたい。なにせ生まれた国でオリンピックがあるので、そこまでは死んでもやりたい」と、あくまで前だけを見ています。

内村が語る「地獄」の真実

しかし、迎えた今年４月の全日本選手権。リオで一度燃え尽きたという心と体の回復は時間を要し、本来の姿を取り戻せずにいました。それでも最終種目の鉄棒で逆転、プロの意地を見せ全日本10連覇を達成。そこで内村選手は「もう地獄ですよね。ここでまた勝ってしまったので、みなさんの期待に応え続けなければいけないと思うし。でも、それくらい追い詰められた方がいいかなって今は思っている」とコメント。さらに「いや～疲れました。こんなにしんどいのも久々ですよ」と本音も。途切れなかった連勝を“地獄”と表現した内村選手は「勝ち続けると、次も勝たなきゃいけないっていう思いが出てくる。周りもそうですけど、それが嫌なんですよね」と語りました。

そんな中、７月にはプロとして初めての体操教室を開催。子供たちに体操の魅力を伝えていくうちに「子供たちにわかる言葉で教えるっていうのも大事。まだ(自分には)のびしろがありますね(笑)」と、次第に笑顔が増えていきます。

徐々にコンディションが復調すると、再び世界と戦うための演技作りが始まりました。体操選手としては大ベテランの28歳ですが「まだやることありますね。自分の探求心無限やん！　みたいな」と貪欲に進化を欲し、「(体操の好き度は)過去最高だと思いますね。『好き』と『極めたい』は一緒なんじゃないかな。『極めたい』は『愛している』ということなんじゃないか」とニッコリ。そして作り上げた６種目の演技構成は、なんとリオオリンピックをも凌ぐ、内村史上最高難度に！　「難しいことを１年目からやっていって、東京オリンピックで完成させるっていう作戦は、ずっと前から練っていたので、ようやく形として表せたかなと思います」と自信をみなぎらせました。

東京オリンピックに向けて

そして10月、７連覇を目指して迎えた世界選手権で、絶対王者を予期せぬ運命が襲いました。予選２種目目の跳馬、この戦いのために復活させた大技「リ・シャオペン」を見事成功させますが、着地の瞬間に左足に激痛が走りました。あまりの痛みに顔をゆがめ、途中棄権。足かけ９年続いた国内外の連勝記録は40でストップ、連覇の夢も途絶えました。内村選手は「自分の連覇がどうとかは、そこまで思ってないですけど、期待してくれた人たちに応えられなかったのはすごく残念」と語りました。

伝説ともいえる連勝記録が途絶えた今、内村選手はその胸中をカメラの前で明かしてくれました。「怪我してホッとした部分もあるし、今までずっと突っ走ってきて、結果がすべてじゃないし、そこにこだわっているわけでもないけど、でもどこかにある。ずっと一番を取ってきて、取らなきゃいけないみたいな感覚が頭の片隅にほんの小さくあって。それがポンって抜けたので、心の底から次は体操を楽しめると思う。前以上に結果にこだわらず体操に打ち込めるんじゃないかな」と、地獄の葛藤から解放された王者の表情は、どこか晴れやか。「リオが終わってから燃え尽きちゃって、(コンディションを)戻すのがすごく大変で、体操の結果としては正直悔しい部分はあるんですけど、プロの体操選手として(体操を)広めていくという部分では、結構達成感はありますね。(プロ転向の後悔は？)全然ないです。むしろ、なって良かったです」。プロとして悩み、苦しみ、全力で駆け抜けたこの１年。体操人生の終着点と見据える大舞台まで1000日を切り、年齢との闘いはここからさらに過酷さを増します。しかし、伝説の絶対王者は、誰よりも内村航平の可能性を信じています。「まだ1000日も準備できるんだと僕の中で思っている。1000日でしっかり準備して、毎日を限界一歩手前まで行ければ、十分維持できるし、もしかしたら進化できるかもしれない。進化してオリンピック迎えたいと思っています。そこまでプレッシャーは感じていないし、むしろ楽しみです」と、これからも『内村航平の体操』を追求していく覚悟を語ってくれました。

番組情報

『スポーツLIFE HERO’S』

＜放送＞

毎週土曜　24時35分～25時15分
毎週日曜　23時15分～24時30分

＜キャスター＞

加藤綾子(日曜MC)
佐野瑞樹(日曜MC/フジテレビアナウンサー)
田中大貴(土曜MC/日曜チーフプレゼンター/フジテレビアナウンサー)
宮澤 智(土曜MC/フジテレビアナウンサー)