2017.07.20更新
サザエさんの聖地・桜新町に、『サザエさん』のカフェがあるのをご存じですか?サザエファンが日本中、いや世界からも集まるというカフェ「Lien de SAZAESAN」に行ってきました!
東京都世田谷区の桜新町は、『サザエさん』の作者・長谷川町子さんが住んでいた街。Lien de SAZAESANは、東急田園都市線桜新町駅から徒歩5分ほどの場所に位置しています。店名の“ Lien”はフランス語で絆の意味。この場所が人と人の絆を結ぶ場所になってほしいという願いが込められています。
ウッディーな外観のLien de SAZAESAN。右側の窓からはカフェの商品をテイクアウト販売している
白と茶を基調とした店内は、広々として、ナチュラルで落ち着いた雰囲気。BGMは、クラシック調にアレンジされたエンディングテーマ「サザエさん一家」♪さっそく鼻歌交じりで注文します!店長の小松さん、オススメは?
店内では、焼き立てでアツアツのサザエさん焼きが食べられる。テイクアウトは常温で提供
「定番は“サザエさん焼き”“パンケーキ×パンケーキ”“アートカフェラテ”の3品。なかでも“サザエさん焼き”は、多いときで1日に1200個売れる人気商品。普段は大判焼きの生地ですが、夏場は限定で冷やしてもおいしい生地に替わります」
“サザエさん焼き”は、サザエさん(チョコ/税込150円、もんじゃ(チーズ)/税込200円)、波平さん(小倉あん/税込150円)、タマ(カスタード味/税込150円)。その他季節ごとに限定メニューあり
アニメと同じ3人(2人+1匹)の顔は、思わずSNS用の写真を撮りたくなるかわいさ!大判焼きの生地はもっちりとしてほんのり甘く、どれも中身がぎっしりで食べごたえ十分です。珍しいもんじゃ(チーズ)味はキャベツも入ったおかず系で、近くの高校生、大学生が学校帰りによく買っていくそう。
サザエさんシルエットの“パンケーキ×パンケーキ”は、「生はちみつ×ホイップクリーム」(税込120円)がイチオシ。“パンケーキ×パンケーキ”だけでなく、店内では自家養蜂場でとれた非加熱の生はちみつを使用している
サザエさんの顔が描かれた“アートカフェラテ”。サザエさんだけでなく一家9人の模様があり、こどもの日、母の日、父の日などに特別メニューとして提供される。コーヒー、紅茶は有機栽培のものを使用
店内で使われているサザエさんシルエットのお盆は、もちろん特注で作られたもの。実は鎌倉大工で職人さんが1つ1つ手作りしており、1つ数万円もするのだとか…。
壁面に描かれた4本の木は、作者の長谷川町子先生が大切にした“四季”を表現
Lien de SAZAESANには、サザエさんファンなら見逃せないポイントがいっぱい。まず店内左奥の壁面には、アニメサザエさんの45年の歴史が展示されています。大阪万博へ出かけたり、お隣さんの引っ越しがあったりと、熟読したくなるエピソードが満載。
店内の床には、タマが遊びに来た形跡も。どうやら、2階のベランダからやってきたようです。その足跡をたどると、心憎い演出を発見!
あのシルエットはもしや…?タマがどこからきたのかも要チェック
入口に描かれたサザエさん一家が、向かい側の歩道を歩いている♪
また、店内奥のテレビに流れるのは、今までに放送された全国の名所をめぐるオープニング映像の数々。現在『サザエさん』は再放送をしていないため、この映像はLien de SAZAESANでのみ観られるものなんです。
「海外から来たサザエさんファンの中には、これを見ながら延々メモを取っていた人もいるんですよ」(小松さん)
思った以上にマニア心をくすぐるLien de SAZAESAN。ほかにも裏話があるのではないかと、仕掛け人であるフジテレビ・アニメ開発部部長の松崎容子さんを直撃しました。
アニメ開発部部長の松崎容子さん。2003年から2010年まで、アニメ『サザエさん』のプロデューサーを歴代では最長の7年半にわたって務めた。人生で初めて買ったマンガは『サザエさん』という生粋のファンでもある
「入り口の看板のサザエさん一家が、実際のエンディングと逆向きに進んでいるのは、マニアックなチェックポイントですね。彼らは、サザエさん通りをさらに進んだ場所にある長谷川町子美術館に向かって歩いているんです」
実際のエンディングでは左側にある家へ向かっているサザエさんたち。カフェの看板では、右方向にある長谷川町子美術館に向かっていく
「また、壁面の木など店内の装飾の一部は、フジテレビの美術のデザイナーが手掛けています。タマの足跡も彼女が遊び心で加えたもの。入口上に飾ってある、長谷川町子さんの原画をもとにしたぬいぐるみの制作も、彼女によるものです」
細部まで手の込んだ特注のぬいぐるみ。マンガのサザエさんは、アニメとはちょっと違う雰囲気。そのかわいさに「ほしい!」と声を挙げるお客さんも多いとか
まさに、フジテレビのスタッフだからこそ再現できたサザエさんらしさ…だったりして?
「そうかもしれませんね。そもそも、Lien de SAZAESANは本質的にはとても“サザエさんらしい”カフェなんですよ。アニメ作品の原色のイメージを消したのは、あえての選択。毎週のように通っても疲れない居心地のいい場所で、店内はお子様からお年寄りまで気軽に立ち寄れるバリアフリーな作り。食材にこだわるのも、お子様に安心して食べさせられるようにという思いによるものなんです」
店長の小松さんによれば、サザエさんカフェは、観光客やファンと同様に近隣の方々も集う場所なのだそう。幼稚園の帰りに必ず立ち寄る親子連れ、定期的にお茶会をしているおばさま方、毎日「今何時?」と声をかけていく小学生…。こうして人々の日常に溶け込む姿こそ、Lien de SAZAESANがサザエさんらしいゆえんなのかもしれません。
取材・文=有馬ゆえ
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