2017.06.07更新
プロゴルファー・宮里藍選手、衝撃の引退発表からおよそ10日。本人が会見で「日本の試合は『サントリーレディス』で一区切り」と語った『サントリーレディスオープン2017』が6月8日(木)に開幕します。
宮里選手がプロゴルファーとして、日本でプレーする姿を見られるのは今大会が最後のチャンスになるかも…、というわけで俄然注目を集めています。
今大会の解説を務める森口祐子プロに、宮里さんの引退について話を聞きました。
森口祐子プロ ツアー通算41勝。LPGA日本女子ツアーの永久シード選手。宮里選手と同世代の娘と息子を持つ母親でもある。
例えば、子供をどこかに連れて行ったときに、大人のいやな行動は見せたくないなと思いますよね。藍ちゃんの場合は、お子さん連れの方が藍ちゃんのプレーを見せたがったり、おじいちゃんやおばあちゃんが孫に藍ちゃんのプレーを見せておきたいとおっしゃったりするんですね。
たぶん、彼らは藍ちゃんのゴルフに興味も持つんだろうけど、それだけでなく、この人の所作や言動、たとえばスピーチにしても、スピーチを受けているときの態度にしても、好かれていたんだと思います。
藍ちゃんが、お子さんの頭を撫でる姿には包容力があって、こんなにもできた子がいるんだ、と思いましたよね。
長いゴルフのゲームの中で、非常に肝の据わった、というか凛とした感じのプレースタイルが、他の選手とはちょっと違ったものがありました。
18ホールを通したコース攻略の仕方とか、1ホールごとの組み立てが必要ですが、そういう部分も、ものすごく大人なゴルフだった。勢いだけでいっているのとは、ちょっと違うのよね。勝負の中にあって、波立つものは当然のこととして受け止めていて、波立つときには、ぐーっと目を閉じてみたりするんです。
他の選手のプレーを待っているときでも、「早くしてよ」という彼女の表情は見たことがない。人を威圧するわけでもない。
解説していて、印象に残っているのが「気持ちで技術を引き出すことができるようになりました」という彼女の言葉。ゴルフでは初めてのケース、練習したことないケースがいっぱい出てくるんだけれども、この言葉を聞いて、いやーすごいな、と思いました。
私自身もそれまでに「運よくできました」とか「カップに寄っちゃったんですよ」とかあるんですけど、ちゃんとそれをこの言葉で言ったんで、ちょっとビックリしたんですよ。
プレーをしていて、なぜその終着点にきたのかということを論理的に説明できて、さらに自分の気持ちとの関係がちゃんと分析できていて。あまりにも整理整頓されすぎているところが私は、もうちょっと若者らしくてもいいのに、と思ったことが何度もあったけど、そこが藍ちゃんのすごいところですね。
世界ランキング1位になり、“頂点”を知って、自分の一番信じられるパッティングでイップスになって…、これはジェットコースターのように、31年という短い間ですが、彼女の中身はものすごく濃いんですよ。
経験を語れるし、彼女のコミュニュケーション能力、メッセージ能力ってすごいんですよ。私は、自分の会話力が恥ずかしいと思ったし、先輩として、ちゃんと生きなきゃいけないと思わされたもの。
いろんな人が藍ちゃんの「生きざま」を見ているんだな、と。彼女の「生きざま」はゴルフで始まったんだから、ゴルフでもう少し見せてほしかったな、と正直なところはあるけれども、引退という決断にダッシュしきった「生きざま」も見事だよね。やりつくしたんですよ。
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