なぜ今 ? カセットが人気の意外なワケ
「えっと…何だっけ ? 」
「あれだ !『ビデオテープ』! ! 」
10代の人に見せると、名前が出てこない ! なんてこともある「カセットテープ」。
音楽がネットを通じてデータで入手できる今、世界で初めてカセットを製品化したメーカーも生産を終了してしまっています。
カセットはこのまま静かに姿を消していく…そう思われていたところ…意外 ! ? 街のあちらこちらで、カセットを取り扱うお店が増えているそうなんです。
増える声“カセットで聞きたい ! ” “聞かせたい ! ”
新宿、大手レコード店の「HMV」。10月にできたばかりの新店舗には、カセットコーナーが常設されています。
ユニコーン、でんぱ組.inc…ラインアップには最近のアーティストの名前も並んでおり、その品揃えは1000本以上 !
「前年に比べると150〜160%くらいの伸びです。増やせば増やすほど、お客さまがついてきてくれる印象があります」
中目黒には、カセットやレコードなどアナログなソフトを専門に揃えるお店もオープンしていました。「waltz」は5000本のカセットを取り扱っており、棚には世界各国から届いた新譜がズラリ。
「新しい作品を、あえてカセットテープでリリースしようというミュージシャンが世界的に増えています」
世のカセット熱、確かに再燃しているようです。
見た目も、音も“カセットの魅力”
大盛り上がりの渋谷のライブハウス、熱狂の渦をつくっているDJの手元を見ると…ここにもカセットテープが ! ブームはとうとう“カセットDJ”まで生み出していました。
早送り、巻き戻しを駆使して曲をつなぐ“異色DJ”のプレイを聞きに来た人たちは、一気にカセットのファンになってしまったよう。
「ちゃんとジャケットがあるカセットって初めて見ました」
「かわいい。デザインもいいよね。集めたくなる ! 」
カセットそのもののデザインも魅力的に映っているんですね。
さらに意外な声も…
「思っていたより、音がクリアできれい」
「音域も上から下まで出ていて、よかったです」
カセットって“いい音”だったんですね ! ?
10月にカセットアルバムをリリースしたアーティストに聞いてみると…
サニーデイ・サービス 曽我部恵一さん
「カセットはアナログなので、圧縮しないんです。CDよりもいい音で入れられる」
「若い人、カセットを知らない世代が『いいよね』ってなって…僕たちもリバイバルではなく“新鮮なもの”と捉えて、楽しんでいる」
この人気再燃を受けて、11月25日にカセットテープが“復活”します。最新性能のテープが懐かしいケースに収められ、数量限定で国内メーカーから発売されることが決定しています。
丸みを帯びた独特な音、プラスチックのおもちゃのようなデザイン性──カセットはまだまだこれからも、魅力的な音楽を私たちに届けてくれそうです。