「党は割らない」としていた橋下徹・大阪維新の会代表が一転して立ち上げた新党結成の動き。
その真意を、政治ジャーナリスト鈴木哲夫さんと、維新の党の馬場伸幸 国対委員長に聞きました。

もともと、橋下氏や松井一郎・大阪維新の会幹事長らが大阪都構想を打ち上げて始まった大阪維新の会。
ところが、今年5月の大阪都構想は住民投票で否決され、橋下氏は今年いっぱいでの政界引退を表明しました。
その後、維新の党の代表となった松野氏は民主党と連携に向けて動きました。
そんな中で今月27日、橋下氏と松井氏は離党表明をし、メールで「党は割らない」と維新の党の国会議員に伝えましたが、28日夜になって一転。大阪維新の会の会合で年内の国政政党の立ち上げを表明、一気に分裂を打ち上げたという流れです。

その “心変わり”の理由として政治ジャーナリストの鈴木さんは、今回の離党表明の際、橋下氏を支援する大阪系の支援者からは批判を受け、彼らが安心できる「受け皿」が必要と考えたことに加え、非大阪系の議員の「野党再編がやりやすくなった」という声が橋下氏の耳に入り、怒った橋下氏が「国政政党を作る」と舵を切ったと見ています。
しかし、今回の事態を主導しているは実は松井氏だと指摘しました。

新党結成のスケジュールについて、馬場国対委員長は具体的な動きは安保法案成立後になると強調しました。
橋下氏は本当に引退を撤回するのでしょうか?今後の動きに注目です。

9月3日に中国で抗日戦争勝利70年の記念式典と軍事パレードが行われます。
抗日戦争勝利を記念した軍事パレードは中国建国以来初めての事で、中国共産党が国の威信をかけている一大イベントとなります。

中国情勢に詳しい遠藤誉さん(東京福祉大学国際交流センター長)は、この抗日戦争勝利70年には中国共産党のウソがあると指摘します。

遠藤さんがいうウソはどこにあるのか?

まず、1937年から1945年の日中戦争のこと中国では「抗日戦争」と呼んでいます。

当時の中国は「中華民国」で、蒋介石率いる国民党が政権を握っていました。
しかし国内は内戦状態。その相手が毛沢東(もうたくとう)率いる中国共産党でした。
ただ国民党が勢力で共産党を圧倒。
滅亡寸前まで追い詰められた共産党は、日本との戦いを大義名分に国民党と手を結ぶ道を選びます。これが「国共合作」です。

そして、2つの党は協力して日本軍と戦うはずでしたが・・・
抗日戦争に対する姿勢は国民党、共産党で大きく異なりました。

遠藤さんによると国民党が日本との戦闘に積極的だったのに対し共産党は消極的。
資料によれば共産党の毛沢東は自分たちの力の10%だけを抗日戦争のために使えという命令をだしていたといいます。
そして、抗日戦争の間、共産党の毛沢東は中国における「天下をとりたい」という野望をかなえるため、力を蓄えていたのです。

そして抗日戦争は終わりを迎えます。日本が中華民国(国民党政府)に対し降伏し、中華民国は抗日戦争に勝利したのです。その後中国国内では再び内戦となります。

この時、抗日戦争を積極的に戦った国民党は日本軍との戦いで勢力を落としていた一方、共産党・毛沢東は勢力を大きくしていたといいます。

その結果、共産党は内戦に勝ち、蒋介石率いる中華民国政府は台湾へと敗走します。
一方、中国本土では中華人民共和国が建国され毛沢東は建国の父となりました。

そうした経緯があっただけに、中国共産党・毛沢東は建国後、抗日戦争の勝利を祝うことはなく、それどころか遠藤さんによると共産党ができなかった国民党・蒋介石の弱体化を日本軍がやってくれたと、むしろ日本への感謝の気持ちがあったといいます。

しかし今回の抗日戦争勝利70年の式典は「中国共産党が日本に勝利した」というものです。
これが、遠藤さんがウソと指摘する点です。

では中国はいつからこのような主張を始めたのか?
そのカギ、1993~2003年まで中国の国家主席を務めていた江沢民氏です。
江氏のもと、愛国主義教育が始まり、その中に“反日”という教えも含まれていたといいます。
中国国民に反日ということを植えつけることで反日を始めてしまった以上、引くことはできなかったのです。

今回の式典・軍事パレードには49の国・組織が参加すると中国政府は発表していますが、アメリカ、ヨーロッパ諸国などの首脳級は参加を見送っています。

さらに、日本は政府として参加しないことを表明しています。
中国としては西側諸国の首脳級が来ることで、より国の威信を高めたかった。それができず共産党・習近平国家主席にとって“メンツ”がつぶされたと遠藤さんはいいます。

今後、こうしたことを知ったうえで中国とうまく付き合っていくことが求められそうです。

「女性が輝く社会」の実現を掲げ、女性の社会進出を促進させたい安倍政権。
しかし、女性が出産後も仕事を続けるにあたって壁となるのが保育所の待機児童問題です。

きょうの【ふかぼり】では、森雅子(まさこ)前少子化担当相と、4児の母で保育や教育を20年にわたり取材してきたジャーナリストの猪熊(いのくま)弘子さんが、待機児童をどう解消していくかについて激論を交わしました!

現在の待機児童は2万人を超えており、保育所への申し込みをしていない “隠れ待機児童” も含めると、その数はさらに膨れ上がることに…。

政府は、2017年度にはこの待機児童をゼロにするという目標を掲げています。その政策の目玉といえるのが「小規模保育所」の拡充です。 定員が19人以下でビルやマンションの一室に開設できる小規模保育所は、新設するために3〜4年かかってしまう従来の保育所に比べ、小規模保育は数か月で済むため早く作ることができるというメリットがあります。

しかし、猪熊さんは従来の保育所と小規模保育では保育の質に差があると指摘し、入った保育所によって子供の環境に大きな差が出てしまうというのは、子供にとっての「保育を受ける権利」がきちんと保証されていないのでは、と主張しました。

いまだに混乱が続く 新国立競技場問題。
今日の “賢人”・有森裕子さん(女子マラソン・バルセロナ五輪銀、アトランタ五輪銅メダリスト)と共に「目指すべき東京五輪」を【ふかぼり】ました。

そもそも新国立競技場は、将来のレガシー(遺産)として作られるはずでした。しかし、それが負のレガシーになりかねない状況になってしまったのです。

IOCはオリンピックに5つのオリンピックレガシーを求めています。

01. スポーツ(スポーツ施設の整備・スポーツ参加の向上)
02. 社会(文化・教育などの向上、官民の協議)
03. 環境(環境都市、新エネルギー)
04. 都市(都市開発、インフラ整備)
05. 経済(雇用創出、観光客の増加)

有森さんは、オリンピックとはスポーツだけでなく「社会をいい方向に変えるきっかけ」にしなくてはいけないと指摘しています。

そのレガシーをどう残していくのか、参考になるのがロンドン五輪です。
「オリンピック・パーク」は土壌が汚染され、貧困な地域だった場所を再開発したもので、今でもメインスタジアムはラグビーW杯、来年プロサッカーチームの本拠地、さらには世界陸上の会場になる予定もあり、多くの目的に活用されています。 他にもフィットネススタジオやプールなどに一般利用されている施設もあります また、選手の育成にあてられる国営くじの額を増額させるなどの取り組みを行い、戦後最高となる金メダル獲得数29個を獲得しました。

一方、東京五輪の日本の目標も金メダルの数は30個ですが、本来は選手育成などに売り上げが充てられるはずのtotoの一部が、新国立競技場の建設費に充てられることになっていました。

有森さんはそのようなお金の使い方ではなく、被災地など地方でのスポーツ施設の整備がいまこそ必要であり、日本全体で東京五輪を盛り上げる環境づくりが重要だとしています。

「超小型EV続々登場 車と暮らしの未来は?」
いま、実証実験として街を走る超小型電気自動車。
日産は「ニューモビリティコンセプト」、トヨタは「i-ROAD(アイロード)」、ホンダは「MC-β」を各社生産して競っています。
こうした新たな車によって私たちの暮らしはどう変わるのでしょうか?
自動車産業の取材歴30年の経済ジャーナリスト・池原照雄さんと【ふかぼり】ました。

最も古くから超小型電気自動車の実証実験をしているのが日産のカーシェアリング「チョイモビ ヨコハマ」。おととしの秋から横浜市で実験が始まりました。
この「カーシェアリング」というのは、登録した複数の会員が自動車を共同利用するシステムです。車の所有・維持費用がかからないうえに、必要に応じて短時間単位で借りられるのでレンタカーよりも低い料金で利用出来ます。
電気自動車は太陽光発電のある家では、太陽光で集めた電力を車に充電でき、災害時には車に貯めた電力を使用することもできます。
こうした次世代車を使うメリットには地球温暖化対策があります。電気自動車はガソリン車に比べてCO2排出量が4分の1。
しかし、充電時間が長い、走行距離も短いという問題も残っています。

そんな中、“究極のエコカー” と言われる燃料電池自動車「水素カー」が去年12月に一般発売されました。
水素カーは水素ステーションで約3分で満タンになり、650キロぐらい走行できるため、ガソリン車の代用にもなります。一方で、コスト高という課題もあります。
日本政府は、次世代自動車の国内新車販売台数における割合を2030年に50%以上にすることを目指しています。
結局どんなに環境に良くても値段が高いと買ってもらえない。
低価格にするための取り組みが必要です。

大阪府で中学生の男女が遺体で見つかった事件で、少女の遺体を遺棄した容疑で45歳の男が逮捕されました。
今回の事件は、なぜ防げなかったのでしょうか?その背景にある成長期の子供たちを取り囲む問題を、教育評論家の尾木直樹さんとふかぼりました。

尾木さんは、今回の事件と同様のトラブルは、ほかの子供たちにもいつ起こってもおかしくないと指摘しています。
夜の街を一人で歩く中学1年生の女の子を例に考えましょう。時間は午後11時過ぎ、塾の帰りです。持っていたスマートフォンで無料通信アプリを使って友達と連絡を取ると、あっという間に数人からメッセージが届きました。
尾木さんは、ここに子供がトラブルに巻き込まれる要因があると指摘します。友達と通信アプリで「つながる」ことで安心し、さらに友達も安心し、そこに油断が生まれて「危険」を察知できなくなるというのです。

同じような現象は家庭でも。女の子と両親の連絡手段は、やはりスマートフォン。無料通信アプリで母親がメッセージを送ると、すぐに「既読」マークがつき、「連絡がついた」と安心する。これが油断につながります。
加えて、地域の大人の「無関心」や学校での携帯電話に関する教育の不足などが、子供をさらに危険な状況にさらしていると言えます。

こうした状況を改善するための尾木さんの提言は、「フェース・トゥ・フェース」の人間関係を築けるようにすることです。すなわち、親や友達は、顔を見ながらの会話をする、ということです。バーチャルなつながりよりも、現実の中での人間関係を持てるようにしなければならないと尾木さんは言います。
そして、スマートフォンの正しい使い方を子供たちに教えていく必要があるということです。

きょう、最後のブルートレイン「北斗星」がラストランへと出発しました。
鉄道ファンならずともブルートレインに熱狂するのはなぜでしょうか?
きょうの“賢人”、乗りものニュース編集長の恵知仁(めぐみともひと)さんとふかぼりました。

最後のブルートレインとなった北斗星。
そのブルートレインの誕生は1958年のことでした。
「あさかぜ」が初めて寝台特急列車用の20系客車を使用して東京―博多で運行されたのが「ブルートレインの元祖」です。

その頃、ブルートレインの役割は長距離移動手段でした。長時間の移動を快適に過ごせるということから、走るホテルと呼ばれていました。都会で成功した人たちが田舎に帰るときに利用したため“出世列車”とも呼ばれました。

主にビジネスマンが利用していたのですが、若い女性は新婚旅行でブルートレインに乗ることを夢見たそうです。そして子供たちにとってはブルートレインはヒーローでした。まさに老若男女がブルートレインに魅了されていたのです。

そして1988年、青函トンネルの開通に合わせて「北斗星」が誕生しました。当時、埼玉に住んでいた恵さんも見に行ったそうです。そんな北斗星、これまでの長距離移動の手段としてのブルートレインではなく、優雅な寝室やフルコースが堪能できる食堂車のある、旅を楽しむ “日本初豪華寝台特急” として誕生しました。

しかし、ブルートレインには強力なライバルが出現しました。
それは、新幹線・飛行機・夜行バスです。
これらの登場によって、ブルートレインは「古い」「遅い」というイメージがついてしまい、人気に陰りが見えてきました。そして来春、北海道新幹線が開業するのにあわせて「北斗星」も引退となり、ブルートレインの時代も終わることとなったのです。

では、列車の旅は今後すたれていってしまうのでしょうか?
恵さんはそうはならないと語りました。
おととしデビューしたJR九州「ななつ星」は、「クルーズトレイン」と呼ばれる大変豪華な列車で、1泊2日の料金は21万円からという決して安くないお値段ですが、予約が取れないほどの人気ぶりなんだそうです。

さらに「観光列車」も最近は趣向を凝らしたものがた多く登場しているんです。
熊本から阿蘇市の宮地を走る「特急あそぼーい」は車内に木のプールなど子供が喜びそうな仕掛けがいっぱい。
また大分 や長崎を走る「或る列車」では有名パティシエのスイーツが堪能できます。
このように、列車の旅そのものを楽しむための列車が次々とデビューしてきているのです。

みなさんは、列車で旅をするならどれがいいですか?

「こうのとり」は、宇宙に何をするために行ったの?

昨夜、種子島宇宙センターから無事打ち上げられた宇宙船「こうのとり」。
きょうは、宇宙開発の “賢人” です。国際宇宙ステーションに滞在している油井さんを宇宙飛行士に選んだ1人、JAXAの上垣内茂樹(かみがいち しげき)さんと共に、「こうのとり」は宇宙に何をするために行ったのかを【ふかぼり】ました。

「こうのとり」が向かった先は、地上から400キロメートル離れた「国際宇宙ステーション」です。 大型バスほどの大きさのある「こうのとり」に対し、サッカーコートほどの国際宇宙ステーションには、現在、油井宇宙飛行士を含む6名の宇宙飛行士が、宇宙でしかできない実験や観測、そして宇宙での生活について調べています。

「こうのとり」は、その国際宇宙ステーションに、水や食料、衣類などの生活必需品や、実験道具、国際宇宙ステーションの交換部品などを届ける “宅配便” のような役割を担っています。 世界最大の、約6トンもの荷物を積むことができる「こうのとり」ですが、今回、アメリカの緊急要請によって大事な荷物を抱えて宇宙に向かいました。 その荷物とは、水の再生システムの部品です。水再生システムは、宇宙飛行士から出る汗や尿といった水をきれいにして、飲み水に変える装置なのです。上垣内さんは、現在そのフィルターが不足し、使用期限を切れたものを使っているといいます。

この水再生システムの部品は、本当はアメリカが運ぶ予定でしたが、今年6月に打ち上げ失敗し、届けられずにいました。そこで急きょ、「こうのとり」が運ぶこととなりました。 しかし、「こうのとり」への荷物の積み込みは4か月前に終わっています。上垣内さんによると、今回の水再生システムの部品は、本来は荷物用ではないところに積みこんだり、ロケット全体のバランスを取り直したりと、大変な苦労があったといいます。

また、「こうのとり」は24日、国際宇宙ステーションとドッキングする予定なのですが、このドッキング作業はロボットアームを使って、手動で行われます。 その作業は今回初めて “オールジャパン” の体制で行われます。 筑波から「こうのとり」をコントロールし、国際宇宙ステーションまで約10メートルの距離にまで近づけるのは、松浦真弓チーフフライトディレクター。ロボットアームを操作する油井さんにアメリカから合図を送りサポートするのが、若田光一 宇宙飛行士。そして、ロボットアームを操作する油井亀美也 宇宙飛行士です。

ただ、「こうのとり」と「国際宇宙ステーション」が10メートルの距離に近づいていられるのはわずか90秒しかありません。その間に行わなければならない、とても難しい作業なのです。

日本の「こうのとり」、世界の期待と注目が集まっています。

“爆発テロ” 相次ぐ タイで何が起きてるの?

タイの首都、バンコクで起きた爆発事件。死者は20人、負傷者は120人以上という大惨事となりました。
今、タイで何が起きているのでしょうか?タイの情勢の “賢人”、法政大学教授の浅見靖仁(あさみ やすひと)さんに聞きました。
タイは、“ほほえみの国” といわれるほど国民性として心穏やかな人が多いと言われています。日本から約4600キロほど南にあり、去年は約126万人の日本人が渡航しています。今回の爆発事件は、そんな日本人にも人気の観光地で起きたのです。

爆発があったのは「エラワンのほこら」の近く、繁華街にある観光名所だったため死傷者が多数出ました。そして翌日、爆発現場から約5キロのところにあるチャオプラヤ川にかかる船着き場でも爆発が起こりました。これにより観光の国が大打撃を受ける形となってしまいました。

浅見さんによると、事件の背景には政治の混乱があると言います。
タイの政治は、主にバンコクなど中央にいる人たちが政権を担っていました。その担い手は、軍や王室、企業などの人たちです。中央の人たちが富を築いていったのに対し、地方の農民は貧しいまま不満がたまっていきます。そんな中に出てきたのがタクシン元首相です。地方の農民に加え、都市の低所得者の支持を得て2001年の選挙で勝利しました。

すると、権力を失った中央の人たちに「不満」がつのり、タクシン派、反タクシン派に分かれ、対立が激しくなっていきました。 2006年、反タクシン派の軍部がクーデターを起こします。政権は反タクシン派に渡り、その後も両派が政権を奪い合います。 そして去年5月、再び軍がクーデターを起こしました。政権から離れたタクシン派ですが、今回も選挙での政権交代を目指していました。ところが軍事政権は憲法を改正して軍の権限を強化しようとしました。こうなると選挙で政権交代が困難になってしまうのではと、タクシン派の不満が増している、というのが現在の状況です。浅見さんはこうした中でタクシン派の一部が暴走した可能性を指摘しました。

一方で、今のタイの政権に不満を持っている中国のウイグル族の関係者や、タイ南部の独立を訴えている勢力など、イスラム過激派の関与を疑う見方もあり、真相の究明が待たれるところです。

きょうの【ふかぼり】もきのうに引き続き夏休み特別版、中学1年生の北村燦來(さんご)さんと、小学6年生の舘 秀々輝(たてひびき)くんが“中国分析の賢人”遠藤誉(えんどうほまれ)東京福祉大学・国際交流センター長と中国・天津での爆発事故についてふかぼりました。

多くの犠牲者を出した爆発の現場からは、水などに触れると引火性のガスを出す「シアン化ナトリウム」が見つかりました。消防士がこの「シアン化ナトリウム」の存在を知らずに放水してしまったために爆発が起こった可能性があるとみられています。

遠藤さんによると、危険な物質の存在を消防士が把握していなかった背景には、実は中国ならではの事情があったといいます。
中国でも本来は、こうした危険物の取り扱いについて厳しい基準があります。
しかし、その基準を満たすためには多くの資金や人材が必要となるため、企業側は役人に賄賂を渡して許認可を取得することが横行しているのです。こうして十分に設備が整わず、安全とは言えない工場などの施設が作られているというのです。

遠藤さんによると、中国ではこうした「腐敗」が常態化していて、特に事故のあった天津市は、北京や上海などに比べて経済発展でおくれをとっていることの焦りから、「腐敗」の下で基準を甘くして、どんどん工場などを作りました。その結果、天津の経済は発展しましたが、危険な施設がたくさん作られることに…

こうした「腐敗」が中国共産党の内部にまで浸透していることに危機感を抱く習近平(しゅう きんぺい)国家主席は、賄賂に手を染めた腐敗役人などを次々と処分しましたが、いくら役人を処分しても一度許可をした工場は止めることができないため、今回のような問題は中国全土にくずぶり続けると遠藤さんは指摘しました。

今週の【ふかぼり】は夏休み特別版!月曜、火曜日はスタジオに中学1年生の北村燦來(さんご)さんと、小学6年生の舘 秀々輝(たて ひびき)くんが登場。“賢人” に疑問をどんどんぶつけてくれます。

自身がデザインしたトートバッグについて「スタッフが第三者のトレース(描き写し)」をしたとして謝罪をしたデザイナーの佐野研二郎氏。
きょうは、なぜ佐野氏は謝罪をしたのか?いったいどんな点が悪かったのか?を、“著作権を守る賢人”ファーイースト国際特許事務所所長 弁理士の平野泰弘さんとみていきました。

どこが悪いとして佐野氏は謝罪をしたのか、身近な例でみてみると、その意味が見えてきます。
例えば、A君は絵画コンクールに絵を出展したいと思い、絵を描くために動物園に行き、パンダの絵を描くことにしました。
そして、B君もA君がパンダを描くと聞いてパンダを描くことにしました。
二人は同じパンダを見て絵を描いているので、当然、出来上がった絵は似たような絵になります。
ではA君と似た絵をB君が描くことは、この場合問題になるのでしょうか。
平野さんはこの場合は、絵が似ていてもOK。A君の絵も、B君の絵もどちらも著作物になると説明します。
著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したもの」であり、テーマが同じで似た絵であってもこの場合は問題ないのです。

では、問題となるのはどういうときでしょうか?
新たにC君も絵画コンクールに応募しようとしていたのですが、C君は動物園に行かず、学校においてあったA君の絵を見て「描き写し」をしました。この場合、C君はA君の絵のデザインを盗んだことになり、問題となります。
ただし、A君がC君に「盗んだじゃないか!」と詰め寄っても、C君が「盗んでないよ。証拠は?」と言い返せば、実際にC君が描き写しをしたところを見ていないなら、A君は黙るしかありません。

平野さんは、このような描き写しはやってはいけないことだが、それを法的に証明するのは難しいと指摘、そのためこのような著作物をめぐっては、大事なのは “倫理” であるといいます。
今回の佐野氏の件では佐野氏のスタッフが「トレース」を行ったとされていますが、これによりデザイナーの倫理の問題として佐野氏自身にも疑惑が向けられることになります。
そしてこの疑惑の影響が出てきそうなのが、佐野氏がデザインし、ベルギーの劇場ロゴと似ているとの疑惑がもたれている、東京オリンピック公式エンブレムです。
平野さんは、エンブレムは「法的にはOK」だが、佐野氏への疑惑が東京オリンピックのエンブレムにも向けられ続けることになるので、佐野氏はエンブレムを取り下げるべきだと指摘します。
トートバッグの「トレース(描き写し)」から東京オリンピック公式エンブレムに向けられる疑惑の目、あなたはどう考えますか?

あす閣議決定され、発表される「戦後70年談話」。20年前に出された村山談話の4つの言葉「侵略」「植民地支配」「反省」そして「お詫び」、この言葉が新たな談話に加えられるかに注目が集まっています。
そこできょうは政界裏事情の “賢人” 政治ジャーナリストの鈴木哲夫さん、そしてフジテレビ政治部の山崎文博デスクと共にふかぼりました。

「侵略」「植民地支配」「反省」については、戦後70年談話作成に向けて安倍首相が設置した有識者懇談会が提出した報告書にも明記されていて、今回の談話にも加わる見通しです。しかし、安倍首相の本音としては「反省」以外は入れたくないという思いがあるそうです。

鈴木さんによると、その中でも「侵略」が本来一番入れたくない言葉だといいます。過去に安倍首相は「“侵略”の定義は学会的・国際的にも定まっていない」と明言していました。
そして「侵略」について言及するかどうかが注目された今年のバンドン会議60周年会議での演説で、侵略という言葉が盛り込まれた「バンドン10原則」を引用するという形で言及しました。今回の談話についても同様に引用して明記する可能性があるということです。

そして、一番注目が集まる「お詫び」についてはどうなるのでしょうか?
自民党の稲田政調会長や有識者懇談会の北岡座長代理は「お詫び」は不要との見解を示していますが、中国や韓国は「お詫び」に言及することが必要だとの認識を示唆しています。

鈴木さんによると、もともと安倍首相は高い支持率の中で「戦後レジームの脱却」、すなわち “歴史観を正したい” という思いのもと、新たな談話を出す方針を表明していました。 しかし、安保法案の採決などで支持率が低下。新国立競技場やTPPなどの問題も山積みで、“自縄自爆” の状態に陥ってしまっていると解説しました。

さらに今回の談話では「お詫び」を明記してもしなくても、批判の声はあがると指摘しています。そんな中で出される戦後70年談話。
鈴木さんは最後に “外交メッセージ” ではなく、日本人ひとりひとりが悲惨な戦争の歴史を振り返り、総括することのできる談話にしてほしいと安倍首相にメッセージを送りました。

皆さんはどのような「戦後70年談話」が望ましいと思いますか?

1985年8月12日、夏休みの家族旅行やお盆の帰省客などでほぼ満員だった日本航空123便、当時、“最も安全な飛行機”と言われていたボーイング747、通称「ジャンボ機」は御巣鷹の尾根に墜落しました。安全と言われた機体がなぜ墜落したのでしょうか?
また、事故の教訓は生かされているのでしょうか?
新聞記者時代に墜落事故を取材していた中央大学教授の松野良一さんと【ふかぼり】ました。

JAL123便は午後6時12分羽田を離陸し、大阪伊丹空港を目指していましたが、わずか12分後、異常事態が発生しました。事故調査委員会の報告書によると機内の気圧を調節するための圧力隔壁が損壊、機内の空気が尾翼に一気に流れ、垂直尾翼、そして油圧システムを損壊。
これにより機体は操縦不能となりました。

その後、機体は機首が8の字に揺れるダッチロール、上下に激しく揺れるフゴイドと呼ばれる動きを繰り返し、午後6時56分、墜落しました。生存者はわずか4人、死者は520人に上りました。
事故調査委員会は墜落の原因を7年前のしりもち事故の際、ボーイング社が圧力隔壁を修理した時のミスによるものと結論づけました。 しかし、ボーイング社、JAL、運輸省関係者の刑事責任は追及されず、修理ミスの根本的な原因は不明のままです。

なぜ真の原因の真相が究明なされないのでしょうか?
松野さんは日本の事故原因調査に課題があると指摘します。日本では事故調査をする時に、原因究明と責任追及を同時に進めるため、担当者は罪に問われるということを恐れ、真の証言を得ることが難しくなってしまいます。 一方、アメリカでは航空機のような巨大な科学技術に関する事故の場合、専門組織が対象者の責任を問わない前提に立って証言を得て、原因究明を行い、再発防止につなげています。 日本では責任追及をしないというのは難しいかもしれないが、この部分をはっきりさせることが必要だと松野さんは言います。

5年前、この事故で次男を亡くされた美谷島邦子さんは「犯人捜しをしたいのではない。真の事故原因の究明と再発の防止が遺族の思い」だと訴えました。 事故から30年、真相解明を願う遺族の思いは届くのでしょうか?

きょうは、川内(せんだい)原発1号機再稼働について、経済産業省のエネルギーに関する有識者会議の委員も務めた東京理科大学大学院の橘川武郎教授とふかぼりました。

福島第1原発の事故から4年5か月。
川内原発の1号機は、新規制基準での初の再稼働となります。

その新規制基準とは、福島第1原発事故の反省をもとに作られています。

福島第1原発の事故以前では、「重大事故は起きない」ことが前提となっていました。しかし、新規制基準では、「事故が起きる」ことが前提となっています。そのため、これでの設備基準の強化とともに、重大事故への対策も義務付けられています。

一方、組織についても改められました。
それが、2012年9月に発足した原子力規制委員会です。

これまでは原子力の旗振り役が経産省、そしてブレーキ役も原子力・安全保安院という経産省のもとにある組織だったのですが、ブレーキ役を独立した原子力規制委員会としました。

さらに橘川さんが画期的とみているのが、この新規制基準が、「永遠の暫定基準(バックフィット)」だということです。
「暫定」とすることで、再稼働を認めた原発も新たな知見によっては停止させることができるようになっているのです。

現在、全国には43基の原発がありますが、新規制基準に従って、各事業者は15原発、25基の再稼働を申請。そのうち合格した原発は川内原発を含めて5基です。

安倍総理は「規制基準にクリアしたと原子力規制委員会が判断した原発については、再稼働させていく方針」と発言していますので、今後も順次原発が再稼働していくものと見られます。

では、再稼働はどこまで進むのでしょうか?
政府はその目標を2030年に原発依存度20~22%と示しています。

ただ、この20~22%という目標に橘川さんは懸念があるといいます。

原子炉等規制法では原則40年で廃炉と定められていいるのですが、これをそのまま当てはめると、2030年の原発依存度は15%程度となり目標には届きません。

実は法律には例外規定があり、原子力規制委員会が認めれば、1回に限り上限20年の延長が認められるのです。

つまり60年稼働させることができれば、原発依存度を20~22%とすることが可能になり、この「60年廃炉」が常態化してしまうのではないかという懸念が出てくるのです。
橘川さんは古いものを使い続けると危険度は高くなると指摘しています。
橘川さんはきょうを「廃炉への始まり」だととらえ、使用済み核燃料の問題などももっと真剣に考えていく必要があるとしています。

おととい 東京・板橋区の住宅で、90、86、82歳の3姉妹が寝室や居間などで死亡しているのが見つかりました。家には鍵がかかっていて 3人に目立った外傷はないことから、警視庁は熱中症で死亡したとみて調べています。

東京で連日続いた猛暑。その猛暑による熱中症からどう体を守ればいいのでしょうか?きょうは熱中症対策の賢人、昭和大学病院救命救急センター長の三宅康史(みやけやすふみ)さんと「熱中症」と「命を守る冷房術」についてふかぼりました。

今回の熱中症の原因の一つには先週続いた猛暑、それと同時に起こっていた熱帯夜が関係していたとみられます。三宅さんは熱帯夜によって昼間の猛暑で疲れた体をリセットする時がなく、体の体温を下げることができなかったことを原因にあげました。

さらに高齢者は“熱中症弱者”と言われていて、気温に対して鈍感になっていたり、体温の調整能力が低下したり、体内の水分量が成人と比べて少なくなっていると指摘。そして持病を持っていたりや社会とのつながりが少ない高齢者はさらに注意が必要だといいます。

また、3人が熱中症になってしまった原因としては、エアコンが嫌いだったことも影響したと見られています。三宅さんは、熱中症にとって夜の冷房は非常に重要なことで、温度は27~28度、風量は節電の効果もある自動、そしてタイマー機能は使わずに朝までは止まらないようにしておくのが、熱帯夜を乗り切る冷房術だと解説しました。

最後に、高齢者でもそうでなくても「私は大丈夫」と考えている人こそ注意が必要だということです。三宅さんの経験によると、熱中症患者の多くは初めてなる人が多いそうで、油断から熱中症になってしまうケースをよく見るのだとか。
みなさんは、「私は大丈夫」と思ったこと、ありませんか?

「LGBT」とは性的少数者を表す言葉です。
「L」=レズビアン(女性同性愛者)、「G」=ゲイ(男性同性愛者)、「B」=バイセクシャル(両性愛者)、「T」=トランスジェンダー(性同一性障害など体と心の性が一致しない人)を意味します。
ジョディ・フォスターさんやレディ・ガガさんといった世界のセレブなどがLGBTであることをカミングアウトしていますが、性的少数者ということで社会において不利益をこうむることもあるのです。

「LGBT」として生きる人にとって、どのような問題があるのでしょうか?
きょうは、性的少数者の権利を守るため法律家の立場から支援を行っている弁護士・寺原真希子さんと、同性愛者であることをカミングアウトした元タカラジェンヌ・東小雪さんとふかぼりました。

電通による最新のネット調査によると、日本人の13人に1人がLGBTであるとのことです。これは職場など自分の身近にもかなり大勢のLGBTがいるということ。
この数字は高いと思うかもしれませんが、実は今に始まったことではなく、カミングアウトしやすい社会になってきたからだと寺原弁護士は指摘します。

しかし、同性カップルは婚姻を届け出ても受理されないために結婚ができないなど、生活していく上で様々な問題があります。
東さんはパートナーと不動産業者で入居申し込みの手続きをした際、「夫婦で住みます」と宣言したら「同性では申し込めない」と断られた経験があるそうです。
他には、入居時に「友人と住みます」と申し込んだ後で「同性のカップル」と判明した時に、「契約違反」だと退去を命じられた事例もあるといいます。

 また、職場などでも、福利厚生の「家族手当」「海外赴任時のサポート」「結婚や家事に関わる特別休暇」などが受け取れないことがあります。
 会社の制度も法律に準拠しており、法的な夫婦の証明がないと利用出来ないものが多いためです。

医療機関でも問題が起こります。
パートナーが救急車で搬送される時に、救急車に同乗させてもらえないことがあります。
また、救急病棟への立ち入りは家族以外は禁止されているのです。
特に病院は人の生死を預かる機関として内部の規定が厳しく、万一の時の訴訟などへの対応も含め、同性のパートナーを認めていないのが現状です。

こうした日常の問題を少しでも解決するために動いた自治体があります。
渋谷区が、4月に「同性パートナーシップ条例」を施行しました。
条例であるため、ある程度の強制力があり、新たに発行されるパートナーであることの証明書を示すことによって、これまであった悩みの解消が期待されています。
そして今週、世田谷区も類似の制度の導入を発表しました。
こういった証明書の発行を受けて、「ショップジャパン」で知られるオークローン社が、自治体発行の証明書を持ってくればお祝い金の支給や結婚休暇を認めるようにするなど、動き出した企業もあるのです。

しかし、同性のカップルにはまだ、住宅の共同ローン、生命保険、相続といった高いハードルがあるのです。
法的に認められた夫婦や親子のように共同名義でのローンは組めません。
一人で無理をしてローンを組んでしまい、財政的に困窮状態に陥るケースもあるそうです。
生命保険の受取人になることも出来ません。相続についても、法律上の権利がないのです。

いま、世界のおよそ20カ国で同性婚を認める動きがある中、徐々に日本も変わりつつあります。
しかし、多くのLGBTの人々が求めている同性婚の容認に反発する声も含め、社会には懸念も多くあります。
それだけに今後のなりゆきが注目されています。

70年前の8月6日、午前8時15分。
アメリカ軍が投下した原爆“リトルボーイ”によって、広島市の人口の40%、約14万人もの命が奪われました。

原爆とはいったい何なのでしょうか?
核軍縮・不拡散を研究する一橋大学大学院教授、秋山信将(あきやまのぶまさ)さんにお聞きしました。

広島に投下されたのは、ウラン235という物質を80~90%まで濃縮したウラン型の原爆です。
ただ、濃縮が3%までなら原子力発電の燃料にもなります。つまり、平和利用の延長線上に軍事利用があるのです。

そしてその威力は甚大で、爆心地から1.5キロの範囲にいた人はほぼ死亡しました。
一般市民をも巻き込む非人道的な兵器なのです。

終戦後、アメリカとロシア、当時のソ連の冷戦が始まると、核兵器の開発がエスカレートし、一時は地球上の人類が35回以上滅亡してしまうくらいの数の核爆弾が存在していました。

冷戦終結と共に核軍縮の動きが広がりましたが、新たにインド、パキスタン、イスラエルや北朝鮮など、核兵器の保有が疑われる国も増えてしまいました。

さらに秋山さんは今、「核抑止力論」が“再評価”されていると指摘します。

日本は唯一の被爆国である一方で、アメリカの核の傘の下にあり、そして近隣の中国、北朝鮮という核保有国と向き合いながら安全保障を考えなければならないというジレンマを抱えています。

東京で記録的な連続猛暑日  アツさの“犯人”を追跡

6日連続で「猛暑日」となり、最長記録を更新した東京都心。
巷では、「今年は特に暑い!」という声が聞かれますが、その暑さの“犯人”を「みんなのニュース」のお天気キャスター、太谷智一気象予報士が暴きました。

今年の猛烈な暑さの“犯人”は、非常に強い勢力をもった太平洋高気圧です。
しかし、太平洋高気圧には台風という“共犯者”がいました。
台風などの低気圧からは、温かい空気が上昇気流に乗って高気圧に流れていきます。
台風からの膨大な温かい空気によって、高気圧はどんどん大きくなっていくことに…

台風11号が日本に接近した7月中旬からそのような状態が現在までほぼ絶え間なく続いているため、太平洋高気圧はとても強い勢力をもち、日本に猛暑をもたらしたのです。

しかし、猛暑日は近年明らかに増加傾向にあるなど、日本が暑いのは今年に限ったことではありません。
実は、この暑さには“黒幕”とも呼ぶべき存在が…

それが「地球温暖化」と「ヒートアイランド現象」です。
ヒートアイランド現象に関しては、地表がアスファルトなどで覆われたこと、エアコンの室外機などの排熱し、高層ビルが壁となって熱が逃げず、さらに海からの吹く風もさえぎられることが気温の上昇をもたらし、都市部では特に暑くなってしまうのです。

さらに太谷さんは、近年になって最高気温の記録がどんどん更新される理由のひとつに観測機器の性能向上を指摘しました。
かつては1時間に1回だけだった気温の観測が、現在は10秒ごとに観測できるため、いままでは見過ごしてきた一番高い気温も瞬間的に観測できるようになったといいます。

観測体制が充実する中で、現実に進行している気温自体の上昇。
日本を襲う猛暑が今後どうなっていくのか、ますます注目されます。

ロッテグループの経営権をめぐるお家騒動。
日本はもちろん韓国で大きく伝えられているこのニュースを、元読売新聞記者でロッテを担当し、次男・昭夫氏を取材した経験を持つソーシャルアナリストの新田哲史さんと【ふかぼり】ました。

在日韓国人の重光武雄氏が日本でチューインガムの製造販売から始めたロッテ。
現在も発売されている「グリーンガム」やペンギンのマークで有名な「クールミントガム」、さらにロッテ初のチョコレート商品である「ガーナチョコレート」など、誰もが知るヒット商品を次々発売して、日本で大企業に成長しました。

1965年の日韓国交正常化の2年後には韓国に進出し、武雄氏は、90年代には日本を長男・宏之氏に、そして韓国は次男の昭夫氏に任せました。
その韓国ロッテは、デパート、ホテル、遊園地、さらには石油化学製造業など、多角的に事業を拡大していき、現在では巨大財閥に成長しています。

そんな中で起きた今回のお家騒動。
今年1月、長男の宏之氏が副会長を解任されたのです。韓国メディアによると、父親である武雄氏に無断で投資したことで、父の怒りを買ったのが原因であるとも伝えられていました。
しかしその後、先月27日になると、長男・宏之氏は父・武雄氏とともに、次男の昭夫氏を含む6人の取締役を解任すると宣言したのです。

ところが、翌28日には昭夫氏が「解任は法的には“無効”である」として、取締役会で父・武雄氏を実権のない、名誉会長とする人事を決定しました。
これに対し、長男・宏之氏は、父・武雄氏の音声を公開。その中で武雄氏は「次男はいかなる権限や名分もありません。」と述べていました。

こうして次男陣営と父・長男陣営の対立が先鋭化、この対立は重光家を二分するほどになります。
新田さんはこのような対立を招いた原因として、父・武雄氏が後継者を決められなかったことが大きいとみており、さらに巨大なロッテグループがいわば「家族経営」であり、“重光商店”であると指摘しました。
果たして、兄弟の骨肉の争いの行方はどのような結末を迎えるのか。ロッテホールディングスの株主総会に注目が集まります。

国会で審議中の安保法案をめぐり、礒崎首相補佐官が先月、「法的安定性は関係ない」と発言した問題の波紋が広がっています。

「法的安定性」とは、例えれば交通ルールのようなものです。
青は進んでよい、赤は止まれ、といった、簡単に変えてはいけない基本的なものです。
変えてしまうと大きな事故が起き、社会秩序が乱れてしまうと早稲田大学教授 河野勝(こうの まさる)さんは指摘します。

【#ふかぼり】パネルでは、安倍首相がサイドカー付きのバイクに乗って交差点に差し掛かろうとしています。
安倍首相はこの交差点の信号は青として交差点を進もうとしているのですが、実はこの交差点の名前が「集団的自衛権」。
そして、サイドカーに乗っているのが礒崎補佐官です。

礒崎補佐官は東大法学部の出身で、官僚時代は小泉内閣の参事官として安全保障などを担当しました。
政治家に転身後、安倍内閣では首相補佐官として安全保障を担当しています。安全保障の分野ではエキスパートなのです。

実は、この “集団的自衛権信号” はこれまでは “赤” でした。しかし、去年7月、安倍政権は限定的という注釈をつけて “青” としました。
安倍内閣としては赤だった信号を慎重に慎重に「交通ルールにあっていますよ」と言いながら青に変えました。
ところが、身内から青だの赤だの信号は関係ないと言い出したような形になってしまったのです。安倍首相は身内から足を引っ張られた形になっています。

政治ジャーナリストの鈴木哲夫さんは、身内から足を引っ張られるのは、第一次安倍内閣で “お友達内閣” と呼ばれたのと同じ問題が表面化してきたと指摘します。

今後も波紋を呼びそうなこの問題、野党は安倍首相の任命責任を追求する構えです。