厳しい寒さが続く北海道。日本海に面した小さな町にある一軒の民宿。そこには、大自然の中で家族と共にたくましく生きる一匹のわんこの姿がありました。
北海道の最北端、稚内市から南へおよそ60キロ。連日、氷点下の厳しい寒さが続く豊富町。この町の一面雪に覆われたサロベツ原野に一軒の民宿があります。
この民宿で暮らしているのが、「野太」です。ご主人と奥さん、そして長女と長男の4人家族と一緒に暮らしています。
毎朝、家族の食事が終わると「野太」はケージから出してもらって1階へ。
お母さんに朝の挨拶をすると「野太」はすぐに外に出してもらって家の回りを自由に散歩。雪でノドを潤して帰って来ます。
そして朝ゴハン。食べ終わると、今朝も家族と一緒にある場所へと向かう「野太」。
「野太」の家の敷地はご主人ですらどのくらいの広さがあるのか分からないほど広大な原野の一角。向かった先は家から雪の道をしばらく歩いた所にある公道沿い。
実は「野太」はスクールバスに乗り込む2人の子供たちを毎朝、ここまで見送りに来ているんです。
2人を送り出すと、「野太」の一日がスタート。まずは前の日に積もった雪の除雪作業に同行。作業をするご主人の横をいつも黙々と歩き続ける「野太」は雪を被ってしまってもまったくお構いなし、ご主人の良きパートナーです。
そんなご主人がこの地で民宿を始めたのは30年以上前のこと。その民宿に娘さんのたっての願いで生後2ヵ月の時に初代看板犬としてやってきたのが、「野太」でした。
「野太」がこの民宿へやって来て6年。もうひとつ欠かすことのない日課があります。乾いた冷たい風が吹くサロベツ原野はひとたび吹雪となれば、自分の家へと帰る道すら見失うほどの厳しい大自然。そんな中…
「野太」が何よりも気にかけているのが、学校へ行っていた2人の子供たちの帰り。今日も無事に帰って来てホッとひと安心。こうして「野太」の一日が終わります。
今日は「野太」が待ちに待った日曜日。学校が休みの日曜日はスノーシューを履いた子供たちと一緒に民宿の裏の丘へと散歩に出掛けています。
「野太」はどんなに深い雪の中でもいつも通り歩いていきます。家族のもとに来た当初はまだ小さな子犬でしたが、今では雪深い北海道でたくましいわんこに成長しました。ふたりにとって、「野太」は兄弟も同然の大切な家族です。
冬にしては珍しく遠くの利尻山がクッキリ見える絶好の天気。今日はお客さんがやってくる日。
民宿からも利尻山が見える程の晴天。こんな日は民宿の看板犬としての仕事をこなします。
「野太」が奥さんと一緒にお客さんをクロスカントリーへ案内したのはどこまでも広がるサロベツ原野。一面雪に覆われた絶景が広がる場所です。
この雪が溶け出すと、一気に命が芽吹く北の大地。これからも小さな民宿を守りながらこの大自然の中で家族と心をひとつに頑張って行こうと思っている「野太」なのでした。