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坂道が多いことで知られる瀬戸内海に面した広島県尾道市。
この街の山陽本線の線路にほど近い商店街の一角のお宅に一匹のわんこがいます。
彼女の名前は、ドビン。
ドビンは毎日この家で寝泊まりをしていますが、ここが我が家なわけではありません。
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実は7年前までは、普通の家で2匹わんこと暮らしていましたが、訳あってご主人だけが引っ越すことになり、
ドビンはそのままこの街に残ったのです。
以来、昔からの散歩友達、太郎の家で寝泊まりをさせてもらっているドビン。
居候を始めてからも、太郎とは良き散歩仲間。
以前と変わらず、毎朝、尾道ならではの石段の坂道を仲良く肩を並べて歩いています。
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そんなドビンが、散歩の度に必ず足を止めるのが、高台のこの広場。
ここはかつてご主人とよく来ていた場所。
その頃のことを思い出すかのように、ドビンはしばし遠くを見つめたままたたずむんです。
朝の散歩から戻ると、商店街はちょうど、駅へと急ぐ通勤通学の人たちが足早に通り過ぎる時間。
この時間になると、ドビンはアーケードでひとりのおじさんと落ち合い、駅前へと向かいます。
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実はドビン、ここ尾道では知らない人はいないくらい有名なわんこ。
ボランティアで観光案内をしているおじさんと一緒に、全国から訪れる観光客に尾道を案内しているガイド犬なんです。
首輪にもちゃんと「ガイド犬」のタグが付いています。
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観光客が少ない平日は、おじさんと一緒に観光ルートをひとまわり。
おじさん 「おはようございます」
おばさん 「おはようございます」
顔見知りの街の人たちに挨拶をしながら、道に迷った観光客がいないか見て回ります。
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観光ルートの中で最も人気があるのがここ「タイル小路」。
タイルに書かれているのは観光客の旅先でのメッセージ。
そこには必ずと言っていいほど街を案内してくれたドビンへの感謝の気持ちが記されています。
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