- ここまで演じてきて、どのようなことを感じましたか?
- 普通、作品を作るうえで見ている人にインパクトを与えたいと思ったら、どうしても対極な強い出来事を起こしがちで。
何かを良く見せようとするために悪いことを起こしたり、いい人を強調するために悪い人を存在させたり、感動させるために病気などの重い事実を作ったり。
でも、この作品は違うんです。
よどまず澄んでるものの中に、たった1滴の清水のしずくが落ちるだけで、波紋となって人の心に届き広がっていくということを教えられた気がします。
音楽の世界で「シンプル・イズ・ベスト」という言葉がありますが、シンプルにやるためにはあらゆるところに気を配り、いろんなことができる力を備えていなくてはいけない。 この作品も同様で、実力やテクニックを持ったスタッフやキャストの方がシンプルに作品作りに挑んだ時、とてもベストな形なものが出来るんだと感じました。
同時に、シンプルでやる潔さも感じましたね。 よどみないスタッフワークとよどみのない作品作りが、こんなにも気持ちがいいんだと実感してます。 - 畑中陽介は、護や双子にとってどのような存在であればいいと思っていますか?
陽介は"受ける側"の人間。「クジラ」の親父として、料理を盛り付けて引き立たせる器のように存在できればいいなと思っていました。
あくまで主役は料理で、それは作品でいえば護。どんなに護が迷っていても、それをうまく受け止めてあげられる器でありたいと常々考えていましたね。- 陽介と護には、大家と店子以上の関係を感じました。
- 見てくださる方がいろんな感じ方をしてくれればいいなと思っているんです。
時には兄弟のようであり、時には先輩後輩、時には世代を超えた友人…というように、あえて関係性を限定せずに演じていました。
男同士の関係ってそういうものな気がしてるんです。だから、見る人によって違った形に見えていたとしたらそれはとても嬉しいことです。
演じる側としても"どう受け止められてもいい"と思えるのは、表現のふり幅が広くなって、とても楽しく演じられました。それに、実際、人間ってそうやっていろんな面がある生き物ですよね。 護が感情のまま双子を叱ってしまって反省したり、努力をする一方で怠けたい気持ちがあったり、というように人間らしい姿を見せた時に、陽介もその時々で護に合わせた対応していけるように意識してました。 - 制作発表で彩の「孫ができたみたいでいいじゃない」というセリフに傷ついたと話されていましたが、この3か月でその傷は癒えましたか(笑)?
9話で、父の日のプレゼントとして双子から肩たたき券をもらった陽介に、彩が「よかったね、おじいちゃん」と言って「誰がじじいやねん!」と言い返すセリフがあったんですが、これは制作発表の時の僕の言葉(思い)をセリフとして使いたくてプロデューサーに相談していました。
放送開始9週目にして、制作発表でのアプローチが効いてきたようで、とてもスッキリしました(笑)。- そして、世良さんといえばエンディングの「マルマルモリモリ」、10話では「アイアイ」を踊る姿がとても話題です!
- エンディングのダンスは、よく周りからも同じ反応をされます。確かに世良公則としてはやらないかもしれないけど、双子をとてもかわいがっている陽介なら当然あれくらいはやると思うんですよね。この作品に参加すると決めた時点で、僕は陽介として画面の中に存在しているわけで、陽介としてダンスをやることには抵抗はなかったです。
僕の中では"陽介なら当然"という思いがあったので特に何も思いませんでしたが、反響の大きさには少し戸惑いました(笑)。でも、皆さんがおもしろく見ていただけたとしたら嬉しいことです。理屈抜きで楽しめるのは『マルモのおきて』のいいところですから。 - 出演者の間で合間の陶芸が大流行していますが、実は世良さんが先生だとか。
先生ということではなくて、僕は自分が趣味としてやっていた道具や土を提供しただけなんです。
最初のきっかけは「クジラ」にある器でした。実は「クジラ」の食器はいわゆる普通の食器屋さんに置いてあるようなものではなく、僕の親しくしている陶芸家たちの作品を提供してもらったんです。
その器に阿部さんや比嘉さんが興味を示されて、話をしているうちに「やってみたい」という事に。 それがじわじわと広がり「私もやってみたい」という人が出てきて、やがては伊武雅刀さんまで。
主役である阿部さんと、最年長である伊武さんがそう言うならば、僕としては応えたいなと道具と土を持ってくることになりました。僕も仕事以外のことを仕事現場に持ち込むのは初めての経験で大丈夫なのかなと思いましたが、みなさん楽しくやっていただけたようで良かったです。- みなさん、楽しそうに会話をしながら器を作っていた姿は印象的です。
- 共通の話題ができたことで会話が増えましたね。芝居の話はしないのに「あの部分はどうやって作る?」なんてことはよく話してました(笑)。中には、撮影がすごく巻いて2時間で終わった後に3時間くらい居残りで作ってる人もいましたから(笑)。
- 最終回になります。世良さんが感じたこの作品の魅力を教えてください。
世の中、100%の人が良いと評価することはまずありえないこと。良いという人が100人いたとすれば、その裏には倍ほどの反対意見を持つ人がいるのが世の中だと思います。
当然、『マルモのおきて』だって世の中のすべての人が受け入れてくれているわけではないと思います。
でも、その裏にいる人たちの存在を感じながらも、応援してくださる皆さんを信じているのがこの番組のスタッフであり作品なんです。
劇中で護が周りの人たちを信じてるように、スタッフも人を信じてる。その"信じること"を胸張って最後まで貫いているところがこの作品の最大であり最強の魅力だと僕は思っています。
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