血のつながりを超えて「家族になる」とは…
第27回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『赤ちゃん縁組〜いつか家族になる日〜』(制作:フジテレビ)
6月26日(火)26時30分〜27時25分

いま日本には、何らかの理由で産みの親の元で暮らせない子どもたちが45,000人います。そんな子どもたちを救うのが特別養子縁組制度。しかし、血縁を重視する家族観が強い日本では、いまだ偏見が根強く、諸外国に比べ浸透していない現実があります。
そんな中、長い不妊治療を経て、それでも子どもを迎えたいと強く望み、特別養子縁組を選択した家族を取材。血のつながりを超えて「家族になる」とはどういうことなのでしょうか。
このテーマに行き着いたきっかけは、児童養護施設を舞台にしたある映画です。本来なら無条件に与えられる親からの愛情を欲して、二人の女の子が母親代わりである女性保育士を我がものにすべく日々奪い合います。しかしひとたび、産みの親が施設に訪れるとすぐさま母親に寄り添うその姿に、やはり子どもには血の繋がった母親が必要なのだと感じました。またそれと同時に、保育士とはいえ24時間365日母親代わりで育てていたその女性の心情についても興味が湧きました。
そんな中、昨年夏に厚労相が特別養子縁組制度の普及に取り組んでおり、そこでは0カ月の生まれたての赤ちゃんを委託する「赤ちゃん縁組」が多いということを知りました。産みの親/育ての親は、それぞれ一体どんな思いで、この特別養子縁組という選択肢を選ぶに至るのか、その真相に迫るべくカメラを回しました。

この番組は、特別養子縁組制度で子どもを迎え入れた2つの家族を中心に描いた物語です。
1つ目の家族は、長い不妊治療を経た末に、夫婦二人の人生ではなく子どもといる人生を求め、特別養子縁組を決意した夫婦。子どもを迎え入れることを待ち焦がれた夫婦が、生後6日の赤ちゃんをその腕の中に抱きしめた瞬間に見せたあふれ出る笑顔には、この制度の「光」が見えました。
一方で、この制度には子どもを迎え入れてから半年以上の試験養育期間が設けられています。その間に産みの親が心変わりした際には、産みの親に子どもを返さなくてはならない決まりがあるのです。赤ちゃんを迎える日、嬉しさの反面、産みの親との面会を前に漠然とした不安に駆られ、入り混じる思いを露わにする夫婦。特別養子縁組を巡る育ての親の葛藤も、この番組で描きたかったことのひとつです。

2つ目の家族は、「自分には二人のお母さんがいる」と、突然のカミングアウトをする6歳の小さな女の子の家族。その唐突な言葉を発した際に少女が見せた表情には、特別養子縁組というものがもたらす複雑な心模様ものぞきます。しかし、彼女が小学校入学式の日、育ての父と母に見せたはじけんばかりの笑顔は、圧倒的なまでに家族の幸せを物語っています。そこには、無自覚に「血の繋がりに頼れる家族の絆」ではなく、自分たちの力で「家族」であろうとする家族の絆が確かに感じられました。
この2家族に加えて、不妊治療と特別養子縁組の狭間で悩む夫婦、産みの親ではない「育ての親」という見えない壁にもがく夫婦も取取り上げています。今はまだマイノリティと言える特別養子縁組制度に対する理解を促すことにとどまらず、家族という繋がりの希薄化が叫ばれる現代社会において、特別養子縁組によって家族以上の「家族」であろうとする人々の思いから、家族のありようそのものを問いかけるのが、この番組の狙いです。

【コメント】
●ディレクター・守田美穂(フジテレビ情報制作センター)
「この番組の制作当初は、もっと多くの日本人に特別養子縁組という制度を正しく知ってもらいたい、さらにはこの制度を通して家族になった人たちが、偏見に悩まされずに過ごすことができるようになって欲しいという思いを持って取り組んでいました。ただ、それぞれの家族を記録していくうちに、いつか大きくなったこの子たちに見せられる番組を作りたい、という思いが強くなっていきました。待ち焦がれた子どもと、共に暮らす幸せを味わう夫婦の姿から、この特別養子縁組の意義を目の前で感じたことで、その夫婦のリアルな姿を将来子供たちにも伝えたいと思うようになっていったのです。"血の繋がりを超えて家族になっていく人々"を描くことで、特別養子縁組とは関係がなくても、この番組を見たことで、あたたかい気持ちになったり、自分の家族に会いたくなったり、そんな気持ちになってもらえるとうれしいです」

【番組概要】
▼タイトル
第27回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『赤ちゃん縁組〜いつか家族になる日〜』(制作:フジテレビ)

▼放送日時
6月26日(火)26時30分〜27時25分

▼ナレーション
寺島しのぶ

▼スタッフ
▽プロデューサー
宮下佐紀子(フジテレビ情報企画開発センター)
▽ディレクター
守田美穂(フジテレビ情報制作センター)
▽構成
石井成和
▽編集
宮島亜紀
▽撮影
金子徹
後藤一平

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