ほんとにあった怖い話
-ほん怖ファイル-

「魂の分岐点」

京子(水川)は、看護学校を出て、開院したばかりの病院で働き始めた。手術室勤務だった京子は、ある日、予定されていた手術の開始時間が延びたため、先輩看護師の安恵(石川)とともにカンファレンスルームで待機していた。するとそこに急患の連絡が入り、応援のため安恵がそちらに行ってしまう。ひとり残され、誰もいないカンファレンスルームにおびえる京子。そのとき突然、手術室の自動ドアが開閉する音が聞こえてきた。京子は、恐る恐る身を乗り出して廊下の突き当たりにある手術室に目をやるが、手術室は暗いままだった。手術室の自動ドアは、入り口の下方にあるペダルを踏まないと開閉しない仕組みだった。ほどなく、再びドアが開閉する音が…。京子がそちらのようすを伺うと、手術室は相変わらず暗いままだったが、一瞬、白い影のようなものが横切った。京子は、意を決して手術室に向かった。水川あさみ 京子が手術室に入ると、そこには誰もいなかった。が、京子が戻ろうとすると、背後に、壁を向いたまま立っている男(川島)の姿が…。その男の服は切り裂かれたようにずたずたで、体からは出血もしているようだった。男は、京子の呼びかけにも反応せず、壁を向いたままうつむいている。すると男は、右手の中指にはめた指輪を壁に打ちつけはじめた。怪訝に思った京子が男に声をかけると、男は動きを止め、ゆっくりと京子の方に振り向き始めた。その瞬間、京子は後ろから腕をつかまれた。安恵だった。「見てはダメ!」と京子に告げる安恵。腕を解かれた京子が、もう一度男が立っていた壁を見ると、すでにその姿はなかった。水川あさみ 手術室を出た京子は、数人のスタッフに運ばれてくるストレッチャーを目にする。交通事故で、ここに収容される前に息を引き取った男の死体だった。すれ違う瞬間、京子はあるものを目にする。シートからはみ出した右手の中指に、指輪がはめられていたのだ。それは、壁を向いて立っていた男と、同じ指輪だった。

脚本/高木登
演出/三宅隆太

西川京子(22)…水川あさみ
飯島安恵(29)…石川素子
壁を向いた男…川島伸也

もどる
セカンドシーズン
ほんとにあった怖い話 TOP
(C)フジテレビジョン