ほんとにあった怖い話
-ほん怖ファイル-

「潮騒の夢」

ある夏の夜のこと、遠距離恋愛中だった信吾(石垣)と美紀(大西)は、久しぶりに再会し、夜の海でデートをしていた。その時、美紀は、波打ち際で遊んでいる少女の姿を見つける。それは、信吾と同じアパートに住んでいるあすか(松元)だった。信吾たちは、こんな時間にどうしてひとりでここにいるのか、とあすかに尋ねたが、彼女はじっと俯いたまま何も話そうとはしない。あすかがずぶ濡れだったことに気づいた信吾たちは、バスタオルで体を拭いてやると、彼女を家まで送り届けるために車に乗せようとする。しかしあすかは、何故か美紀を突き飛ばし、車の外へと逃げてしまう。車の前方にいき、背を向けたまま立ちつくすあすか。信吾が彼女に近づくと、あすかは大粒の涙を流していた。するとあすかは、突然走り出し、姿を消してしまう。ふたりは必死にあすかを探すが、何故かどこにも彼女の姿はなかった。

もしかしたらひとりで帰ったのかもしれない、と思った信吾たちは、アパートに戻り、あすかの家を訪ねた。すると、父親の俊之(小林)が顔を見せた。信吾が、あすかを見かけたことを伝えると、俊之の顔色が急に変わった。信吾たちが海での出来事を話し、あすかの体を拭いたバスタオルを差し出すと、俊之の目から涙があふれた。
俊之から事情を聞いた信吾たちは言葉を失った。5日前、あすかは、あの海で溺死していたのだ。家族で海に遊びに行った際に、ほんの一瞬、俊之と母親の聖子(川田)があすかから目を離したために起きた悲劇だった。信吾と美紀は、祭壇に飾られたあすかの写真に手を合わせた。
信吾は、美紀と一緒に、あすかとよく遊んだという公園に行った。そこで信吾は、あすかとの思い出を静かに話し始めた。「俺、もっとあの子と遊んであげればよかった…」と涙を流す信吾を、美紀は何も言わずに抱きしめた。信吾の思いが、あすかに届いていることを祈りながら…。

脚本/清水達也
演出/星野和成

川村信吾(22)…石垣佑磨

岩瀬美紀(22)…大西麻恵

山本あすか(6)…松元環季
山本俊之(26)…小林高鹿
山本聖子(26)…川田希

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