ほんとにあった怖い話
-ほん怖ファイル-

「亡者の棲む土地」

数年前、袴田は、テレビドラマのロケである地方に行った。撮影がひと通り終わり、宿泊先に戻った袴田は、飲みに誘われ、スタッフが泊まっている別の旅館に遊びに行こうとする。その時、撮影隊は3つの旅館に分かれて泊まっていた。袴田が行こうとしていたのは、彼の宿泊先から1キロほど離れた場所にある旅館だった。それを知った坂本(田中)は、その旅館まで行く途中に3つあるトンネルのうち、2番目のトンネルには気をつけるよう助言した。袴田は、以前別のドラマで共演した役者から、坂本には不思議な力がある、と聞かされていたが、そのときは半信半疑だった。
自転車で旅館に向かった袴田は、やがて2番目のトンネルにたどり着いた。袴田がそこを通り抜けようとすると、背後から「ガシャン!」という音が…。が、後ろを振り返っても、そこには何もなかった。
無事旅館に着いた袴田は、スタッフたちと飲み、ほろ酔い加減で宿舎に戻った。再び2番目のトンネルに着くと、またもや背後から「ガシャン!」という音が聞こえてきた。坂本の言葉を思い出した袴田は、急いでトンネルを抜けようとするが、その途端、自転車のチェーンが外れてしまう。袴田は、慌ててチェーンを直し、自転車にまたがった。彼の背後にはいつの間にか落ち武者が近づいていたが、袴田はそれに気づかずに、宿舎に向かった。
疲れのせいか、体が重いような感覚にとらわれた袴田は、寝る前に温泉に浸かろうと浴場に向かった。するとそこに坂本がおり、凄まじい形相で袴田を見つめ、大丈夫か、と声をかけた。坂本には、袴田に張り付くようにして立っている10人ほどの落ち武者が見えていたのだ。
坂本に御祓いをしてもらった袴田は、翌朝もロケを続けることが出来た。坂本によれば、この辺りの土地には古くからの霊が集まりやすく、袴田に憑いていた霊もそういったたぐいのものだったという。

脚本/三宅隆太
演出/鶴田法男

袴田吉彦…袴田吉彦
坂本克郎…田中要次

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