ストーリー
* 第9話 *

芦屋瑞稀(前田敦子)は、絶縁状態にあった佐野泉(中村蒼)と彼の父・岳彦(鶴見辰吾)の確執に首を突っ込み、佐野とケンカになってしまう。ひとり涙を流す瑞稀を優しく抱きしめたのは、中津秀一(三浦翔平)だった。「俺じゃダメか?」と瑞稀に告げる中津。しかし瑞稀は、彼の気持ちに応えることは出来なかった。中津は、そんな瑞稀に、友だちに戻れるまでもう少しだけ好きでいさせてほしい、と言ってその場を立ち去った。

桜咲学園の校舎取り壊しまで1週間を切った。難波南(桐山漣)らが集めた署名運動も効力はなく、寮生たちに残された希望は佐野の優勝のみだった。普段は何かと競い合っている第1寮と第3寮も、一致団結して佐野を応援しようと盛り上がる。佐野とケンカして以来、中央千里(西井幸人)の部屋に寝泊まりをしていた瑞稀も、佐野の勝利を願ってお守りを作る。萱島大樹(柳下大)も、瑞稀の横で横断幕を作った。

同じころ、桜咲学園に女子が紛れ込んでいるらしい、という噂がささやかれ始める。瑞稀がこっそり着替えているところを、何者かが目撃したのだ。

一方、中津の元に再びやってきた母・かの子(濱田マリ)は、大阪に戻ってくるよう、改めて息子を説得する。その時、野江伸二(鈴木勝大)と桂真史(松島庄汰)が、慌てて飛びこんできた。まだ取り壊しの期限前だというのに校舎が潰されるというのだ。急いで校舎へと向かう瑞稀や中津たち。すると、瑞稀の携帯電話に、陸上誌記者の烏丸絹子(東風万智子)から連絡が入る。それは佐野の父が倒れた、という知らせだった。瑞稀は、佐野の元へと走り事情を伝えた。しかし佐野は、父親とは縁を切ったのだから病院には行けない、と言い出す。「ここで意地を張る佐野なんて大嫌いだ!」。瑞稀は、そう言い放ち、関目京悟(山田親太朗)とともに、佐野をタクシーに押し込んだ。その際、瑞稀は、佐野の手に手作りのお守りを握らせた。

天王寺恵(満島真之介)、難波、オスカー・M・姫島(徳山秀典)ら寮生たちは、解体業者の前に立ちはだかって工事を防いだ。樹桃雄(奥田達士)は、そんな寮生たちに免じて、とりあえずその日の工事は諦めたが…。

絹子は、病院に到着した佐野に岳彦の言葉を伝える。岳彦は、佐野がまだ本来の力を出し切っていないと考えていたが、自分が口出しすれば反抗するだろうから、と話していたのだという。さらに岳彦は、倒れたことも黙っているよう、絹子に頼んだらしい。岳彦は、持病である十二指腸潰瘍が再発したとのことだった。目を覚ました岳彦は、佐野と弟の森(横倉拓哉)に、自分の夢を押しつけてしまったことを詫びた。続けて岳彦は、バーを跳ぶのは自分だけだが、見守ってくれる存在がいて、そのために跳びたいと思えたら強い、と言うと、佐野が持っていたお守りに目をやり、「お前にはいるのか?」と続けた。

病室を後にした佐野は、岳彦とケンカして家を出たことを森に詫びた。森は、そんな兄に、ハイジャンを続けると宣言し、絶対に追いついて見せる、と言って笑顔を見せた。

寮に戻った佐野は、仲間たちに向かって、いまならみんなに恥じないジャンプが出来る気がする、と告げる。その言葉を聞いて盛り上がる寮生たち。それを見ていた三寮長も決意を固めた。

あくる朝、三寮長は、純白の長ランに身を包んで寮生たちの前に現れる。桜咲学園内において、唯一、学園側と対等に渡り合うことができる花桜会として、理事会と交渉しようというのだ。理事会は、花桜会の提案を断ることはできなかった。その代わり、不祥事が起きた場合は、寮長たちが退学することで責任を負わなければならないのだという。

理事長室を訪れた天王寺、難波、オスカーの3人は、校舎の早期取り壊し撤回を求めた。自分たちが守りたいものは建物ではなく、学園の仲間たちの心だ―3人は、そう主張し、交渉を成功させた。

報告を受けた寮生たちは、佐野と心をひとつにして応援しようと準備を開始する。神楽坂真言(佐藤祐基)も、佐野との勝負を心から待ち望んでいた。
そんな中、CDを探して図書スペースにやってきた瑞稀は、誤って脚立から転落し、気を失ってしまう。物音に気付いて駆けつけた中津は、苦しそうにしていた瑞稀の胸元を緩めてやった際、彼女が女性であることに気づいてしまい…。

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