ストーリー
* 第8話 *

桜咲学園の廃校をなんとか阻止しようとダンスパーティーを開催した寮生たち。パーティーの後、部屋で芦屋瑞稀(前田敦子)と佐野泉(中村蒼)が踊っているところを目撃してしまった中津秀一(三浦翔平)は、ふたりの気持ちに気づき、複雑な心境だった。それでも中津は、瑞稀やサッカー部員の放出光太(栗原吾郎)らの前ではあくまで明るく振る舞う。

瑞稀は、自らに気合いを入れるため、空手部に入部させてほしいと部長の天王寺恵(満島真之介)に申し出る。

同じころ、寮の食堂には訪問者があった。ズカズカと遠慮のないその勢いに寮生たちは恐れおののき、第2寮長の難波南(桐山漣)ですら手に負えない。それは中津の母・かの子(濱田マリ)だった。そこへ中津が練習を終えて戻ってきた。かの子は、もう桜咲学園はなくなるのだからただちに大阪に帰ってきて家の仕事を継げ、と息子に命じた。まだあと1ヵ月ある、と難波がかの子をなだめようとすると、かの子は、保護者に送られてきたという校舎解体工事開始の通知を見せる。その通知によれば、工事開始日は1週間後だった。

瑞稀は、寮の外で桃郷学院の神楽坂真言(佐藤祐基)に呼び止められ、桜咲と桃郷の陸上合同練習のプリントを佐野に渡しておくよう頼まれる。神楽坂は見知らぬ少年と一緒だった。その少年とは、佐野の弟・森(横倉拓哉)だった。森は、来年、桃郷学院の陸上部に入ることが決まっており、今回の合同練習には佐野の父・岳彦(鶴見辰吾)も特別コーチとして参加するのだという。

天王寺、難波、オスカー・M・姫島(徳山秀典)の3寮長は、解体工事の件で理事長たちを訪ねた。そこで樹さくら(若村麻由美)は、廃校が嫌なら何かで結果を出すことだ、と3人に告げる。

夕方、瑞稀は、森に会ったことを佐野に話す。すると佐野は、「何を話したんだ?」と声を荒げ、ひどく動揺したようすを見せた。

あくる朝、難波たちは、寮生たちにさくらの言葉を伝える。第一寮は空手の大会で、第三寮はアカペラコンテストで、中津ら部活組もそれぞれの試合で結果を出す、と意気込んだ。さらに、難波や中央千里(西井幸人)、野江伸二(鈴木勝大)たち第二寮生は、聖ブロッサム女学院の岸里樹理(柏木由紀)らの協力も得て、廃校撤回の署名活動を開始する。霊感少年の萱島大樹(柳下大)は、お百度参りを始めていた。

佐野の件で落ち込んでいた瑞稀は、天王寺の言葉で元気を取り戻す。天王寺は、大事な試合を控え恐怖を感じていることを明かした上で、真の強さとは、恐怖や不安といった己の弱さと向き合う中で初めて得られるもの、と瑞稀に告げた。部員たちが次々と辞めてしまい、へこんでいた中津も、そんな瑞稀に励まされていた。

佐野は、父親に対する複雑な思いを振り払うかのように練習に没頭していた。弟の森は、父親だけでなく、そんな佐野に対しても歪んだ思いを抱いているようすだ。瑞稀は、練習から戻った佐野に、無理し過ぎではないか、と声をかけた。すると佐野は、家族が壊れたのは親父のせいだ、と瑞稀に打ち明ける。

空手大会の当日、思わぬ騒動が起きた。試合に備えて練習をしていた天王寺が、腰を痛めて出場できなくなってしまったのだ。そのショックのせいか、第一寮生は試合に敗れた。第三寮生も一次審査で落ちたのだという。瑞稀と中津は、落ち込む寮生たちを何とか励まそうとした。見かねて立ち上がった難波は、寮生たちを外に誘った。その日は、毎年恒例の花火大会の日だった。寮生たちは、さまざまな思いを胸に、夜空に打ち上げられた美しい花火を見つめていた。

同じころ、佐野は、室内練習場でウェイトトレーニングをしていた。そこにやってきた岳彦は、自分が指導をしている学校のパンフレットを佐野に渡そうとした。しかし佐野は、今度の大会には桜咲学園の生徒として出場すると主張し、このまま廃校が阻止できないのならハイジャン選手の道を諦めてもいいと思っている、と返す。

花火を見つめているうちに涙が込み上げてきた瑞稀は、それを皆に悟られないようにして寮に戻った。するとそこに、佐野が戻ってきた。佐野に差し入れを届けようとした際、偶然、岳彦と話す機会を得て彼の本心を何となく感じていた瑞稀は、きちんと向き合ってみたら誤解も解けるのではないか、と佐野に告げた。しかし佐野は、そんな瑞稀の言葉に怒り、人の心の中に土足で踏み込むな、と怒鳴る。瑞稀の目から涙が溢れた。そのやりとりを聞いてしまった中津は、泣きじゃくる瑞稀を後ろから優しく抱き締め…。

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