ストーリー
* 第6話 *

芦屋瑞稀(前田敦子)は、佐野泉(中村蒼)や中津秀一(三浦翔平)らと夏休み期間中の生活費を稼ぐため、銭湯でアルバイトを始めた。その銭湯は、難波南(桐山漣)の母親で、保健医・梅田北斗(斎藤工)の姉でもある難波伊緒(山本未來)がオーナーだった。そこでアルバイトをしていた大学生・蒔田高巳(阿部進之介)は、瑞稀に目をつけ、馴れ馴れしい態度で近づく。佐野や中津は、そんな蒔田に不信感を抱き、気をつけるよう瑞稀に忠告していた。

ある夜、蒔田からドライブに誘われた瑞稀は、彼に襲われかける。瑞稀がいないことに気づいた佐野は、必死に彼女の行方を追っていた。蒔田の車を見つけた佐野は、何とか瑞稀を救い出した。だが、パニック状態に陥った瑞稀は、その場から逃げるように走りだし、後を追いかけてきた佐野の手を振り払おうとした拍子に、山の斜面を転げ落ちてしまう。
佐野は、足をケガしてしまった瑞稀を抱きかかえ、近くの作業場のような場所で休ませた。そこで夜を明かすふたり。佐野は、瑞稀を背負って寮に戻った。夜が明けるのを待って瑞稀たちを捜しに行こうとしていた難波や中津らは、梅田を呼び、瑞稀の手当てを頼んだ。

そんな中、資金稼ぎのため売ってしまったガラクタが、実は理事長たちの親の遺品だったことを知った難波、天王寺恵(満島真之介)、オスカー・M・姫島(徳山秀典)の3寮長は、寮生に呼びかけてそれらを何とか回収し、視察にやって来た理事長たちに謝った。理事長たちが帰る際、難波は、桜咲学園の廃校は免れないのか、と尋ねる。すると、樹さくら(若村麻由美)は、「すべてを大人が決めているわけではない。お金を握っているのは大人。では子どもたちは何を握っているの?」と返す。寮生たちは、自分たちが握っているものとは何なのか、自問するが…。

夏休みが終わり、新学期が始まった。佐野や関目京悟(山田親太朗)らは、2週間後に迫った高校陸上競技会の地方予選に向けて、トレーニングに余念がない。が、関目は、コーチからハードル競技への転向を持ちかけられ、悩んでいた。関目から相談を受けた佐野は、迷っているヒマはないのだから早く決めろ、とそっけなかった。

ある日、瑞稀のもとに、陸上専門誌の記者・烏丸絹子(東風万智子)がやってくる。佐野の復帰を追いかけていた絹子は、同室の瑞稀に彼の写真を撮って欲しい、と半ば強引に依頼した。

関目の件を知った瑞稀は、佐野にその話を切り出す。すると佐野は、復帰もできていない自分がアドバイスするのは無責任だと思った、と返し、やってみる前に可能性をせばめてしまうのはもったいない、と続けた。中津によれば、佐野は、ハイジャンプの有名選手だった父親の手ほどきを受けていたが、自分には合わないと気づき、自ら新しいフォームに切り替えたのだという。それがきっかけで、いまでも佐野は父親と仲違いしているらしい。瑞稀は、佐野の言葉を関目に伝え…。

瑞稀は、蒔田に襲われかけたことや、洗濯室に下着を忘れてしまった件もあって、もし女性であることが発覚したら桜咲学園の仲間たちにも迷惑をかけてしまうことを痛感し、自分は何をするべきか考える。同時に瑞稀は、絹子から手渡されたカメラで、仲間たちの写真を撮り始めた。

高校陸上競技会の地方予選が始まった。ハードル競技に出場した関目は、好成績を収める。関目は、佐野に抱きつくと、いまはハードルにかけるが長距離も諦めない、と笑ってみせた。

その夜、寮生たちは、食堂で瑞稀が撮影した写真を見ていた。そこにやってきたオスカーは、自分たちが握っているものとは、自分自身の可能性であることに気づく。その言葉を聞いた寮生たちは、口々に自分の目標を掲げ、学園のためにお宝になろう、と盛り上がり…。

あくる日、佐野は、ハイジャンプの予選に挑んだ。ライバルの神楽坂真言(佐藤祐基)はすでに一発で予選をクリアしていた。1本目、2本目をミスってしまい、焦りを隠せない佐野。中津は、そんな佐野に、もっと格好悪くあがけ、と言い放つ。その言葉で吹っ切れた佐野は、雄叫びをあげ、気合いを入れ直す。

同じころ、寮の205号室には瑞稀の姿はなく、佐野のベッドの上には真新しいハイジャン用のシューズが置かれており…。

もどる
花ざかりの君たちへ TOP

(C)フジテレビジョン