ビブリア古書堂の事件手帖
インタビュー vol.3

志田肇役
高橋克実さんインタビュー

*志田は、「ビブリア古書堂」に出入りをする「せどり屋」という役柄ですね。

古書を、背表紙を見て買うから「せどり屋」。そんな言葉や職業があるってことを今回初めて知りました。それに、なかなか実体が想像できない仕事ですよね。僕自身、「古い本にそんなに価値があるの?」というタイプですし、実際、古本を転売して生活できるのか想像もできません。とはいえ、古本や古書店は好きなんです。子供の頃に「貸本屋」というのがあってよく通っていたのですが、その雰囲気と神田や神保町の古書店の雰囲気が似ていて。ちょっと懐かしい気持ちになれるので、たまにふらっと古書店に行くのは好きですね。

*どんな本をお求めになるのですか?

映画関係の本とか、俳優さんが書かれたエッセイとかですね。今回のドラマに出てくるような高価なものは買いません。第2話で志田がずっと大事に持っていた本として、小山清の『落穂拾ひ』が出てくるじゃないですか。そういう本なら自分も読んだほうがいいだろうと思い、インターネットで探してみたらなんと1万2000円だったんですよ!もとは数百円の文庫本なのに。それで買うのをあきらめていたら、当然ですがそれが撮影現場にあったんです。その本も数千円したものだと聞きましたが、撮影が終わったら借りて読んでみたいと思っています。でもそうやって考えると、数百円の文庫本が何倍もの価値になることがあるんですからね、「せどり屋」も成立するってことですよね。

*そして、古書は単なる読み物ではなく、そこに過去の持ち主を含めたさまざまな物語がある、というのがドラマのテーマです。

古書と聞くと、「読み古された過去の本」というイメージがありますけど、あえてそんな本に目を向けて、今起こっていることと対比しながら描いていくのがこのドラマの面白いところ。過去の秘密を暴いて悲しむのではなく、そこにある種の楽しさを見出していくのがいいですよね。第1話の大輔(AKIRA)のおばあさんのエピソードだって、実は大変な出生の秘密なんだけど、『それから』のストーリーと併せて紹介されると、「おばあちゃん、やるじゃん!」って思えてしまうという。そう思わせるのも、古書ならではなのかな、と思います。

*撮影現場ではいかがですか?

まず、ロケ地が鎌倉っていうのがいいですよね。海が近かったり、江ノ電が走っていたり、お寺があったりすると、東京にいるのと時間の進み具合が違うようで、ゆったりとした気分になれます。「ビブリア古書堂」の店内はセットですけど、実際にものすごい量の古本が置かれているから、古本の匂いがしてなんだか落ち着くんです。それに、「夏目漱石全集」とか「芥川龍之介全集」とか文学作品に囲まれていると、読んでもいないのに自分がインテリになったような気もしますしね(笑)。

*共演の剛力彩芽さん、AKIRAさんとはいかがですか?

剛力さん、かわいいですね。アニメのキャラクターみたいな黒目がちな瞳がキラキラしていて、ピュアな感じがします。長いスカートをはいて、ストールを肩にかけて本を読んでいる姿を見ると、あんなに若いのにすごく落ち着いた雰囲気が出ていて素敵だな、って思いますね。かわいい女の子が本を読んでいる姿というのは、伝統的な「萌え」なんだな、なんて思いながらご一緒させていただいています(笑)。AKIRAくんは、メガネをかけて髪型を変えるだけで、踊っているときの彼とは別人みたいに思えます。お芝居もストレートな感じでカッコイイですよね。レギュラーキャストは僕ら3人だけですので、落ち着いた雰囲気のなかでも、引き続き楽しくやっていきたいと思っています。

*そんな剛力さん演じる栞子と志田の関係も気になるところです。

2話で本人が説明していたけれど、ホームレスをやりながら「ビブリア古書堂」に本を持ち込んでいたら、栞子の母親(安田成美)に気に入られて部屋を提供してもらい、今では栞子と文也(ジェシー)の父親代わりもしているという。そんなポジションは、今後も変わらないんじゃないでしょうか。ただ、栞子の母親のことについては、明かされる部分もあると思います。

*志田は"謎の男"という設定ですが、衣装もダンディですね。

ああいう帽子は被ったことなかったんですけど、自分でもあんなに似合うとは思いませんでした(笑)。こだわった仕事をする人だから、服にもこだわりがあるだろうということで、あの衣装になりました。でも、あれ全部古着なんですよ。だから自分のサイズじゃなくて、実はかなりパツパツだったりします(笑)。

*最後に、視聴者のみなさまへメッセージをお願いします。

通常の連ドラとは違ったゆったりと落ち着いた時間が流れていますし、展開もミステリー的な要素はありつつも、人間味あふれるものになっていますので、どうぞ、ゆったりとした気分でご覧になってください。よろしくお願いします!

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