山田太一の『ありふれた奇跡』
第10回「最終回に向けての展開」
(2009/03/13)

最初に、この話はマイナスを背負っている男女の恋物語と話しました。タイトルに"奇跡"とありますが、マイナスがプラスになるという奇跡は起こりません。いくら連続ドラマといっても年代記ではないし、3ヶ月間で描く時間経過は1年くらいがやっと。そんな短時間で人間が背負っているものを全部解決するなんて不可能だし、それでは調子よすぎると思うんです。だから、小さな希望を見出す終わり方にしたい。マイナスを背負ったまま幸福になる方向に1歩を踏み出すという結末にしたいと思っています。ハッピーエンドですね。やはりテレビドラマだし、3ヶ月見ていただいた方が、最後見終わった時に気持ちが沈んでしまっては申し訳ない。いい気持ちになってもらいたい。

といって、別に見ている方たちのために無理やりハッピーエンドにしようというのではありません。僕自身、今こうして生きてるのはこれから先に何かしらの希望があるからだし、そういうことをみなさんが作品から感じてもらえればいいなと思っています。

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