

松本清張氏が描く壮大で緻密なミステリーを得て、
その魅力をありのままにシナリオ化しました。
事件をきっかけに引き寄せられていく人々の運命を軸に、
ミステリアスなストーリーが進んでいます。
その根底に流れる平和への祈りを感じて欲しいと願っています。
この作品の企画意図は、まず『球形の荒野』はこれまで何度か映像化されてはいるものの、ストーリーの軸が親子の話ということもあり、『砂の器』『点と線』『ゼロの焦点』など、他の松本清張作品に比べるとサスペンス色が若干薄く、サスペンスというよりもメロドラマふうに描かれた作品が多かったんですね。ですから、この作品のサスペンスの部分だけを抽出した、いわゆる“正統派のサスペンス”として、松本清張作品に正面から取り組んでみたいと思ったこと。そして、戦争や東京オリンピックの記憶がすさまじい勢いで風化し、“昭和”という時代がどんどん忘れ去られていく昨今、昭和の中で実際に起こった大きな出来事、つまり『戦争と復興』、そして『オリンピック』、その2つをうまく対比させることで、戦争からオリンピックへと時代が変わっていき、そして現代に繋がっている、ということを表現したかったからです。ドラマ化するにあたって、脚本の君塚良一さんとじっくり話し合いながら台本を作っていきました。

最大の見どころは田村正和さん、江口洋介さん、生田斗真さんという、3世代の主演男優が集まったということ。また、ヒロインには比嘉愛未さん、そして草刈正雄さんや佐野史郎さん、小日向文世さんなど、重厚な演技をしてくれる役者さんが集結しています。
さらには脚本のすばらしさ。主演の田村さんからは、とにかく脚本が面白く仕上がっているとお褒めの言葉を頂きました。そして江口さんも、戦争もオリンピックも知らない世代ですが、役者としてきちんと年齢を積み重ねてきた存在感の重さが出ています。ドラマのラストに、田村さん演じる野上顕一郎と江口さん演じる鈴木刑事が空港で出会うシーンを加えましたが、お互い“日本という国をどう考えているのか”、そして、“国のことを真剣に思っている”ことを、お二人が実にうまく表現してくれました。
原作を読んだり、昔の作品をご覧になったことのある方が見てもびっくりし、かつ納得してくれる作品に仕上がっていると自負しています。