インタビュー Interview

松嶋菜々子 / 大庭式子

すべての撮影を終えられた今のお気持ちを聞かせてください。

クランクアップをして「ああ、終わった…」という達成感はすごくあります。
この作品は第一夜と第二夜、合わせて5時間にもなる大作ですが、収録に入って1週間ほどでラストシーンを撮り、その後に最初のシーンへ戻りと、ストーリーを前後して撮影していたんですね。男女の愛憎劇がひとつの軸にもなっているので、式子の微妙な気持ちの動きを、行ったり来たりするシーンのなかで計算しながら演じるのですが、ハードながらもやりがいのある作業でした。

最初に台本を読んだ時には、どのようなことを感じましたか?

5時間分を一気に読んだのですが、大庭式子という女性の半生を描いた山崎豊子先生の素晴らしい原作を、浅野(妙子)先生が見事に台本にしてくださったと感じました。戦後の1950年代にファッション業界に生きた式子は、周囲の人たちの野心や嫉妬によって激しく翻弄されながらも、自分のプライドを貫き通します。そんな式子なりの人生や生き方を視聴者の方々が共感でき、そして応援していただくにはどうしたらよいだろうか、ということも考えました。

どのような結論を出して、撮影に臨まれたのですか?

式子を作ったのは、両親の教えや裕福な家の出身という環境もあると思いました。世間知らずなお嬢様でありながらも、素直に真っ直ぐに育ってきたので行いも正しいですし裏がないんですね。それが自然と自分のプライドを保つ生き方にも繋がってきたので本当にストレートに演じてみようと思いました。

まさに、凛とした式子が印象的でした。

松嶋菜々子 / 大庭式子

少し独特なセリフの順番があるので、話し方が難しかったのですが、それが時代感や空気を作ると思って、台本に忠実に演じました。そして、用意していただいた衣裳がとても品のある女性を美しく見せるようなものばかり。式子は自分自身が広告塔になります、と言ってしまうほど洋服や洋裁学校への思い入れが強いデザイナー。私自身、この素敵な衣裳の良さが伝わるようにと、背筋を伸ばすことはもちろん、立ち振る舞いにも心を配りました。

そんな式子は、ビジネスのパートナーでもある銀四郎(玉木宏)によって翻弄させられますね。

撮影が始まってわりとすぐに、銀四郎さんと式子と三人の愛弟子(ミムラ、相武紗季、木南晴夏)とのやりとりがあったのですが、その時、過呼吸になりそうなくらい息が詰まる緊張感があったんです。一方で、白石教授(長塚京三)とのシーンでは、ものすごくホッとした。それは、式子の気持ちそのものだったのかもと思いました。振り返ってみると、銀四郎さんにはすごく走らされているけれど、自信を持ってスパッと言い切ってくれるところは気持ちがよかった。ちょっとした中毒性やカリスマ性を感じていたのかもしれません。白石教授は、物事を引いて見ながら式子を諭してくださる方。どちらの男性も魅力的でした。

もっとも長い時間をともにされた玉木宏さんとはいかがでしたか?

松嶋菜々子 / 大庭式子

撮影が終わる頃には、「銀四郎さんのまくしたてるような大阪言葉を聞けなくなると思うと少し寂しいです」なんていうお話もしていましたね。玉木さんは、膨大なセリフ量でしたがほとんどNGを出さずに完璧に役作りをされていらっしゃいました。とても落ち着いていらして、現場にいらっしゃる姿もスマートなので、時々、「私よりも年上なんじゃないかしら」と思うほどでした(笑)。

パリロケも行いましたし、都内のロケやスタジオでも、時代を反映した美しい舞台で撮影がされましたね。

はい。素晴らしいロケ地を探し出してくださったのもそうですし、セット、美術、衣裳にいたるまで、とても美しく、スタッフのみなさんの力が集結してできた作品だと実感しています。第二夜で登場するパリは、この作品にとってはとても大事な場所。どこを切り取っても画になるような美しい街なので、注目していただけたらうれしいです。

いよいよ放送日も迫ってきましたが、視聴者のみなさまへ改めてメッセージをいただけますか?

松嶋菜々子 / 大庭式子

「女の勲章」は、1950年代という、現在とは女性の発言力や地位が全く違う時代設定ですが、プライドを支えにたくましく生きる女性の物語です。主人公の式子はもちろん、誰もが戦後日本の復興と発展を信じて生きていた、パワーみなぎる時代の情熱がしっかりと描かれていると思います。とても見ごたえのある作品になりましたので、是非ご覧になってください。

衣装について

今回、式子の衣装として60着近く用意していただき、そのうち10着ほどオリジナルで作ってくださいました。主人公がデザイナーという役柄とはいえ、こんなに贅沢なことはないと実感しています。式子は、自分のデザインした服を自ら着ている設定なので、大前提として服が似合っていないといけません。なので、常に洋服を美しく見せなければと緊張感を持って撮影をしていました。
どの衣装もとても印象的なのですが、特にと言われれば、まずは、「十大デザイナーショー」(第二夜)で着たオレンジ色のワンピース。合わせた帽子もとても可愛いらしく、ワンピースの生地が特別な感じがして素敵でした。そして、式子が最初に甲子園に洋裁学校を開校した時(第一夜)に着ていたロイヤルブルーのワンピース。トークという帽子とのマッチングも素晴らしかったのですが、着用するのに少し照れてしまったので記憶に残っています。そして、「東京ランベールショー」(第二夜)というファッションショーのシーンで着ていた白地に赤いボタニカル柄のワンピースも。カチューシャのような帽子と合わせて着こなせるか自信がなかったのですが、挑戦する気持ちで着用しました。

松嶋菜々子 / 大庭式子