第1回「感動ノンフィクション大賞」の選考会は、大石静氏、重松清氏、ダ・ヴィンチ編集長・横里隆氏、フジテレビ常務取締役・山田良明氏、幻冬舎編集本部長・舘野晴彦氏の五委員により、平成18年2月3日、センチュリーハイアット東京において開かれました。その結果、下記の通り受賞作が決定いたしました(応募総数420編。今回、特別賞は2作品になりました)。
大賞賞金は500万円、特別賞賞金は各50万円です。尚、大賞は幻冬舎より刊行され、フジテレビでドラマ化される予定です。たくさんのご応募、ありがとうございました。
【最終候補作】
- 「劇団きらきら物語」
- 田中靖子
- 「生まれてきてくれて、ありがとう」
- 工藤淳子
- 「雪のかけら」
- 武田克江
- 「父と過ごした二ヶ月半」
- 君島結香
- 「この道を歩く」
- 橘高浩気
【大賞】
「劇団きらきら物語」
田中靖子さん(たなか・やすこ) 福岡県在住 49歳
<受賞の言葉>
大賞のお知らせをいただいた時は、とても信じることが出来ませんでした。その後、担当の方が電話をくださる度に「間違いでした」と言われるのではないかとドキドキしていました。一晩明け、新聞の小さな記事に今回の受賞のことが載っていました。大賞には確かに私の作品名と名前が書いてあります。「やっぱりほんとうだったんだ!」やっと実感が涌いてきて、今は家族一同で大喜び! ほんとうにありがとうございました。
【特別賞】(2作品)
「雪のかけら」
武田克江さん(たけだ・かつえ) 千葉県在住 40歳
<受賞の言葉>
幼いいのちの為に、沢山の人が関わり、願い、悩み、涙を流しました。母としてドナーとして私は、娘の人生を一過性のものではなく、重みのあるものとしてこの世の中に残したいと思い、この手記を書きました。この賞は沢山のものを私たちの心の中に遺していった娘、茉奈実への特別賞ともいえるかも知れません。今回この作品を読んで下さった選考委員の方々、そして今もなお見守って下さっている方々に、心から深くお礼を申し上げます。
「この道を歩く」
橘高浩気さん(きつたか・こうき) 北海道在住 75歳
<受賞の言葉>
惰弱な自身に負け、酒に溺れて尊い半生を無に帰した来し方を、貴重な体験を、いつの日か綴り世に残して、酒害に悩む人たちの心の灯火になれるなら、その希いが、はからずもこのたび「感動ノンフィクション大賞」の特別賞受賞につなげることができました。これで、私の人生の最終章を飾ることができるとの感謝の念いが、ひとしお身に染みて胸いっぱいに渦巻いております。ありがとうございました。
【選評】
大石 静
活字離れが嘆かれるようになって久しいが、この賞には400編を超える応募があり、活字に携わる者として喜ばしい思いがした。
大賞受賞作『劇団きらきら物語』は、言葉使いの間違いや誤字が多いが、それを超える力強さがある。子供と自分の人生を諦めない作者の、はじけるような精神力に打たれた。うまさではなく、強さで押し切った受賞。このお母さんに育てられた子供達は幸福だと、心から思った。
特別賞受賞作『雪のかけら』の作者は客観性もあり、表現力もあり、大賞受賞作とは対極にある“うまさ”があるが、品よくきれいにまとまった分、力強さに欠けると感じた。
重松 清
最終候補作五作、いずれも「きずな」が描き出されていたことが印象的でした。苦境を支え合った夫婦のきずな、悲しい別れのあとでも決して断ち切られることのない親子のきずな、そして、大賞受賞作のように、人から人へとつながりを広げていくきずな……。「感動」を生むものは決して「苦労」や「悲しみ」だけではありません。誰もが、誰かとつながって生きている――その尊さを、笑ったり泣いたりしながら教えてくれる五編の物語と、僕もまた「読む」という行為を通じて、きずなを結ばせてもらいました。感謝します。
ダ・ヴィンチ編集長/横里 隆
感動ノンフィクションは、まず書き手自身を救うものなのだと思い知りました。候補作の著者はみな、書くことで、迷い苦しみながら歩んできた自らのたどたどしい足あとを振り返り、精一杯うなずき、そこから明日踏み出す力を得ているように感じたからです。それこそ、ものを書くことの最大の効能ではないでしょうか。そして優れた作品は、書き手の救済に留まらず、溢れるエネルギーで読む者をも救い出してくれます。どの作品にも描かれた小さな奇蹟は、言葉でカタチを与えられ、多くの人に響くことで、大きな奇蹟になるでしょう。私も、力をもらいました。ありがとう。
幻冬舎編集本部長/舘野晴彦
大賞受賞作の『劇団きらきら物語』は、とにかく人間の根元的なエネルギーに圧倒される思いで読みました。誰にでも平等に与えられたはずの日常をどう生きるのか。日々のささやかな出来事、つまり途中経過を楽しむということが人生にとって大切なことだとすれば、この著者にとってのそれは、いかなるものなのか。さまざまなことを考えさせられました。素敵な原石ともいえるこの作品が、書籍化・映像化により、さらに大きく輝きを増すことを期待します。
フジテレビ常務取締役/山田良明
大賞受賞作『劇団きらきら物語』は、ご自分の一番好きな「演劇」でわが子を育てる、すばらしいお母さんだと思いました。演劇への情熱、子供たちへの愛情が見事な舞台公演となって結実する様が手に取るように浮かんできました。
特別賞受賞作『雪のかけら』は、子を思う母親の愛の強さに幾度となく涙しました。書くことは伝えることであると共に、自分自身を見つめ直し成長していくために本当に大切な行為なのだと感じました。同賞『この道を歩く』は、凄まじい人生です。お酒に溺れるご自分の弱さから良く立ち直られたものだと思います。
★第4回「感動ノンフィクション大賞」結果はこちら
★第3回「感動ノンフィクション大賞」結果はこちら
★第2回「感動ノンフィクション大賞」結果はこちら